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第114話 ライアーの記憶と過去

この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。


最近仕事が落ち着いて来たかと思いきや、私生活が慌ただしくなって参りました……。諸々の準備、手続きって大変ですね。そして面倒くさい……。


でも手続きをして下さるお役所の方々はもっと面倒で複雑な作業をして下さっているので、文句を言わずに黙って書類を書く日々でございます。似たような仕事をしている身としては手続きをする側の気持ちも分からなくないですし……。


何故前書きで愚痴を書いている。軽く流して本編を楽しんで頂ければ幸いです。若干中だるみがひどいような気がします……え、元から?


本日もどうぞよろしくお願いいたします。

「娘の、死」


 思いもよらない衝撃過ぎる言葉に俺は身を固くしたまま、ミハイルの言葉を繰り返す事しかできなかった。


「娘か……そう言えば、そなたらとネトワイエ教団の情報集めのために教会を訪ねた際にそんな話を聞いたのう」


 動揺から言葉が出ない俺の代りにシェロンさんが腕組みをして記憶を辿って発言し、シルマも首を小さく縦に振って言った。


「はい、元教団員のソンバさんからお話を聞いた際に聞いた記憶があります。ライアーには娘さんがいらっしゃると」


 まだ頭が混乱していたが、シェロンさんとシルマの言葉を聞いて、俺の脳裏にもあの時の教会内での記憶が徐々に蘇って来る。


「そうか、あの時確かにソンバさん言ってたな。ライアーから娘が1人“いた”と言う話をされたって」


 あの時も1つの可能性が頭を過ってはいた。“いた”と過去形になっていたことから、もうこの世にはいないのではないかと。


 しかし、ソンバさんはそれを直接確認していたわけでもなく、確証はなかったので記憶のなかで可能性の1つとして流してしまっていたが、やはりそうなのか。


 ソンバさんの様な第三者の口から聞くよりも本人の記憶の一部ある“ほぼ本人”のミハイルから聞いた方が現実味と重みが増すな……。


『あんまりこう言う言い方はしたくないけど……家族を理不尽な理由で亡くしたことで世界を滅ぼすって考えに行き着くのはよくあることだね。具体的な理由を聞いてもいい?』


 聖は極めて霊背に話の続きを促した。ライアーのきっかけを“よくあること”だと流していたが、そんな一言で片づけてもいいのか?


 確かに、二次元の世界においては家族や大切なヒトをなくして運命の歯車を狂わせるキャラは数多いる。世界を滅ぼす魔王になったり、特定の種族を殲滅させる復讐鬼になったりするのは鉄板と言える展開だ。


しかし、このシリアスな状況下で現実と二次元の世界を一緒にするのよくない、と思いかけたが、聖の雰囲気や口調は妙に真面目で真剣だったため、その発言が聖自身が心から思う価値観であることを悟る。


寂しさと諦めさえ感じ取れる聖の達観様子に、神子として旅を終え、そして長となって世界を見守る中で似たような状況下に直面し、心を痛めながら阻止して来たのかもしれないと思った。


「詳細か……断片的ではあるが思い出せるぞ。ライアーは娘が15歳になるまで共に暮らしていた様だ。母親は……病死しているな。親子中は悪くない、寧ろ仲が良すぎる方だと思うぞ」


聖から具体的な情報が欲しいとリクエストされたミハイルが自らの中にあるライアーの記憶を辿りそれを必死で絞り出す。


本人も言っていた様に“ライアーにとっての良い記憶”以外は断片的にしか分からない様で、記憶を辿る際も、言葉を紡ぎ際も、始終難しい顔をしていた。


「うわー、ミハイルくんが父親とかちょっと違和感があるよねー。ちょっと短気だし、子供っぽいし、協調性ないし」


 エクラがニマニマと笑いながら、楽しさ半分、嫌味半分でミハイルを見やると一瞬だけヒクッと眉を動かした後、ミハイルは怒りを抑える様に体を震わせ、淡々と返した。


「……今はそれどころではないから俺をバカにしたことはとりあえず保留してやる。そして何度も言うが俺はあくまでライアーの記憶だからな。家族としての感情はほぼ本体にあるから、本体の欠片でしかない俺には父親としての感情はほぼない」


「へえ、そうなんだ。確かにミハイルくんは父親っぽくないもんね、納得」


 特に新しい疑問を持つわけでもなく、追及するわけでもなく、エクラはあっさりと納得した。これはあれだな、さっきの質問に特に意味はなく、思ったことを口に出しただけだな。


ただ、エクラの質問とミハイルの回答を総合的に考えるに、俺個人としては例え記憶の塊であろうが本質は本体(ライアー)と変わらないのでは思わなくもない。ミハイルに本体とは異なる自我が生まれた故に“父親”としての側面が薄くなっただけの様な気がする。


と言うことは、あんなに物腰が柔らかくて丁寧なライアーも実は短期でキレやすい可能性があるのか。うん、ありそう。二次元界隈では普段物腰が柔らかいキャラほど内面がえげつないのはセオリーだもんな。


自分の中で色々と勝手考察していると、完全に真面目モードにスイッチを入れた聖が深く頷きながら次の質問をミハイルに投げかける。


『ふむふむ、記憶を共有しても本体の感情には直結しないと。娘さんのことは思い出せる?性格とか特徴とか。君が思い出せる範囲で教えて』


「娘について……か。ちょっと待て、今記憶を辿る」


 ミハイルは固く瞳を閉じ、先ほど以上に顔をしかめて、唸り始める。数秒待ってもまだ記憶を辿れないらしく、来やし推すに


「なんだ、そんなに思い出せないものなのか。こちらに時間がないんだ。その話は一旦保留でもいいんじゃないのか」


 直ぐには出ない答えを待っていても時間の無駄だと判断したのか、ケイオスさんが止めに入る。


確かに、ライアーを知るためにはなるべく詳細な情報が欲しところだが、猶予がない俺たちには申し訳ないことに、ミハイルを急かすことはできても待つことはできないのだ。


 ミハイルもそれをわかっていてか、気まずそうに瞳を開け、彼にしては珍しく申し訳なさそうに口を開き、謝罪の言葉を口にした。


「……悪い。映像は浮かんでいるんだが、ひどくぼやけていてよく見えないんだ。思い出どころか娘の姿すら認識できない」


「ふむ、先ほどまでは鮮明に記憶を遡ることができたと言うのに、娘の記憶は混濁して折るのか」


シェロンさんが淡々とした様子で首を傾げるとシャルム国王も表情1つ変えることなく冷静に分析した。


「そうね……可能性があるとするのであれば、ライアーは娘の記憶だけは極力切り離したくなかったのかも」


『もしくは、ライアーと娘さんの思い出に、親子の幸福を塗りつぶすほどの辛い出来事があった可能性も考えられるね。うーん、娘さんのことが何か分かればライアー対策になるとおもったんだけど……はあ、そう上手くはいかないかぁ』


 シャルム国王に続き、聖も自分の考察を述べた後、明らかにテンションを下げて思惑が外れてしまったことを嘆いていた。


「対策って何を想定していたんだ」


 そこまでがっかりするほど自信があった作戦だったのだろうか。気になった俺は聖が思いついたライアー対策とやらを聞いてみる。


『変化とか幻術とかを使って娘さんの姿を模すとか。少なくとも動揺させることができるんじゃないかな』


「こちら攻撃力が弱いなら精神攻撃で立ち向かうってことね。悪くな戦法だけど頼みの綱であるミハイルが思い出せないのなら、その作戦は無理そうね」


 すらすらっと答えた聖にシャルム国王が同意した後に、現状では使えそうにない作戦だったため残念そうに溜息をついた。


「せ、精神攻撃……そんなの考えもしなかった」


「戦法は個人によってことなるからな。相手が強敵であれば無理に力でねじ伏せるのではなく頭を使った戦法も時として有効だ。私は如何なる場合も肉弾戦を好むがな」


 シュティレが頭脳戦と言う戦い方も間違ってはいないと表現しつつも、拳を握りながら自分が攻撃型であることをアピールした。うん、冷静なフリした狂戦士(バーサーカー)かな。とは言え、俺も戦いと言えば武器をぶん回すイメージがあるから同類か。


でも、精神攻撃を仕掛けるのってこう、卑怯っていうか性格が悪い戦い方じゃね?二次元で主人公側が精神攻撃を受けることはあっても仕掛けることってあんまりないからだろうか。


「うんうん、分かるぞ、竜の谷の騎士!シュティレと言ったか。やっぱり戦いは拳で行くべきだよなぁ」


 肉弾戦を好むと言うシュティレの言葉が聞こえたのか、ケイオスさんが深―く頷いて言った。


「いや、シュティレは拳じゃなくて槍ですけどね」


 時間が限られているこの状況で突然本筋から逸れたところに興味を示し始めたケイオスさんに俺は秒速でツッコミを入れて会話を断ち切ろうとした。しかし、ここに来て余計な援護射撃がある。


「そうじゃのう。敵に向かって直に攻撃を当てた方が戦っておると言う感じがして快感じゃよなぁ。肉弾戦こそ戦いの神髄と言うものよ」


 今まで大して会話に参加して来なかったくせに肉弾戦と聞くや否やアストライオスさんが自らの腕に力こぶを作り、無駄に筋肉アピールをして来た。ムキィッという暑苦しい効果音が聞こえた様な気がする。


「いや、いや、あんたら2人とも魔術師だろ。なんで肉弾戦を推すんだよ。どちらかって言うと頭脳派だし後方支援型だと思うんですが。何故最前線に立とうとしてるんですか」


 ダメだ、関係のない話は無視して話を進めるのことが正解の気がするのが、自分の性分のせいかツッコミが止まらない。


「なんだぁ?価値観が狭い奴だな。身一つで戦える魔術師がいたっておかしくないだろ」


「その通りじゃ。魔術と体術、両方を兼ね備えた戦士ほど優秀で頼りになる者はないじゃろうて」


 え、なんでブーイング食らってるの。えっ、えっ間違ったこと言ってないよな。なんで俺の価値観が狭いみたいな話になってんの。俺か?俺がおかしいのか?


『あっははは。脳筋馬鹿うざーい』


 圧倒的力技派な2人を前に聖が大爆笑しながら聖がディスる。この流れに慣れた様子の聖に俺は小声で呼びかけた。


「なあ、俺思ったんだが筋力があって魔術も使えるってケイオスさんとキャラ被りしてねぇ?」


 今聞くタイミングではないだろうと思ったが、聖が神子だった時はキャラが濃いメンバーでパーティを組んでいたことは実のところすごく気になっていた。


 主にパワーバランス的なものが一番気になる。氷の魔術と剣技を得意とするシャルム国王(当時は国王ではなかったみたいだか)、魔術と体術を組み合わせて戦う自称魔法格闘家(マジカルファイター)魔法格闘家(マジカルファイター)のケイオスさん、実力と人気を兼ね備えた電脳アイドルペセルさん。


 そして神の血を引く由緒ある星の一族でご老体にも係わらず、筋骨隆々で未来視の能力を持つ魔術師のケイオスさん。こうして並べてみても豪華で濃い。各々の個性もプラスしたら二次元作品波の濃さである。


こんな風変りなパーティーにパワータイプの脳筋魔術師が2人もいるってありえないだろ。奇跡かな、だとしたら奇跡の無駄遣いだよ?


『あー、確かにキャラ被りしてるかもねぇ。あの2人、当時から魔術要素はバリバリにあるのにそれをまるで無視して身一つで戦ってたなぁ……』


タブレット越しからも伝わる哀愁。これは多分、遠い目をしている。魔術を使わない魔術師なんて職業詐欺にも程がある。身一つで戦うなら格闘家をなのればいいじゃんよ。


ケイオスさん至っては、一応魔術師と言う部分にもこだわりがあるのかは知らんが、魔法格闘家って名乗ってるけど。なんでマジカルつけたの、なんでちょっとファンシーな響きにしたんだ。と言うツッコミをしたくなる。


「ちょっと、そこの脳みそまで浸食されたおバカさん2人。アンタたちの好みの戦闘スタイルと筋肉なんてどうでもいいのよ。時間がないのにこれ以上話を逸らさないで」


 緩やかに話が逸れ始めた空気を察したシャルム国王がすっぱりと止めに入ってくる。それはいい加減にしろと言わんばかりの苛立った言い方だった。この感じ……このヒトも2人の筋肉自慢には慣れているな、と確信した。


「おい、俺からも質問しても構わないか」


 先ほどからあまり発言をせず、ただ事の成り行きを見ていたアンフィニがぬいぐるみ特融の丸い手を上げて口を開いた。


『もちろんだよ~。と言うか、この件に一番関わり合いがあるのは君だしね。何か気になることでもあるの?今は仲間割れとかしている場合じゃないから、ライアーとミハイルが同じ存在って理由で喧嘩売るのはヤメてね』


 聖が穏やかな口調で返してアンフィニは不満そうな表情で言った。


「失礼な奴だな、俺だって区別はできる、ミハイルに憤りは一切感じていない。ただ気になることがあって確認したいだけだ」


「確認したいこと?何か気がついたことでもあるのか」


 俺なんてここまで話を聞いても違和感すら持てないと言うのに……他のみんなもある程度話を理解できているみたいだし、どう言う思考を持って話を聞いたらそんなに理解力があがるんだ。


そんな思いを抱きつつもアンフィニにこれまでの話のどこに違和感を持ったのかを聞くと、ふいっとミハイルに視線を向け淡々と質問を投げかけた。


「お前はフィニィと違って本体に匹敵する力があるのだろう?であれば本体の意識を乗っ取ることはできないのか。どうせ同一存在が1つになる必要があるのなら、お前が体の主導権を得ればいいじゃないか」


「意識を乗っ取る……そんなこと思いつきもしなかったぞ」


 いやでも、敵の体を乗っ取って制御する意味最高に便利で合理的な戦法だよな。ちょっと正々堂々に欠ける気がするけど、対面で戦うよりも勝率も味方側の身の安全も保障されそうな戦法である。


 しっかし、精神攻撃をしかけるだの意識を乗っ取るだのよくそんな物騒な考えに行き着くよなぁ。これが頭脳戦なのか?何か微妙に違う様な気もするが。


 もしかして戦い=相手をただ倒せばいいって考え方は脳筋と称されるケイオスさんとアストライオスさんぐらい単純な思考なのだろうか、だとしたらちょっぴり、本当にちょっぴりショックである。


『おー!それはアリかもしれないね。寧ろ精神攻撃よりも確実だそ、有効そうだ。どうなの?ミハイル、ライアーの意識を乗っ取るのは可能?』


 ナイスなアイディアだと声を弾ませて聖は期待とワクワクたっぷりにミハイルに問いかける。


 だがハイテンションになった聖の期待を裏切るローテンションでミハイルは力なく首を横に振った。


「俺はライアーの一部と言えど“記憶”だからな。意志や魂とは若干性質が異なるから、乗っ取ることは不可能かもしれん」


「かもしれんって何、その言い方だと可能性はあるって感じ?」


 微妙な言い方をしたミハイルの言葉を聞き零さなかったエクラが即座に前のめりになって聞くと「耳ざといな、お前」と嫌そうに呟いた後、ミハイルは続けた。


「可能性はあるかもしれない、と言ったレベルだな。そこのタブレットも推測していたが、俺はラピュセルと契約したことによって魂が独立しているみたいだからな。そしてあいつの一部でもあることが上手く作用すれば、体を乗っ取れる可能性はある、かもしれない」


『その言い方だと期待はしない方が良い感じ?』


 あまり乗り気ではないミハイルの心中を察した聖がテンションを押さえて確認すると今度はしっかりとした頷きがあった。


「ああ、本体を乗っ取れると言う保証はないし、そもそもどうやって乗ってればいいかもわからないしな」


「えーっと、幽霊が生者の体を乗っ取るみたいな考え方でいいのか」


『あー、そうだね。でも、この場合は本体(ライアー)の記憶を有した別の(ミハイル)が魂ごとライアーに成り代わるって表現した方が近いかも。ミハイルの記憶と感情を持ったライアーが生成される感じ?』


 回りくどい言い方をされ、あまり理解ができなかったので自分なりに噛み砕いた解釈をしてみたが、本質的にはちょっと違っていたのか隣で浮いていた聖が訂正した。が、訂正されて余計にこんがらがってしまったので俺は考えるのをやめた。


「ふむ、ライアーをミハイルが乗っとると言うのは興味深い作戦ではあるが……可能性の範囲であればやめておいた方が良さそうだな」


 シュティレが冷静な視線で乗っ取り作戦を却下し、続いてシルマも聖に遠慮をしながらその意見に同意した。


「はい、仮にライアーの意識にミハイルさんが潜り込めたとしても、意識を飲み込まれて消滅してしまうリスクもあるますものね」


「それに、ミハイルくんは敵に認識されちゃうと消滅するってリスクを背負ってるし。ミハイル君を本体に接近させるようなやり方は良くないんじゃないかなぁ」


 最後にエクラからも自分が思いついた作戦を却下され、聖はタブレットの体でがっくりと項垂れて残念だと盛大に溜息をついた。


『そっか、そうだねぇ。リスクは大きくて可能性が低い作戦は避けた方がいいよね。せっかくいい作戦だと思ったのになぁ……残念だよ』


「ん、待てよ。乗っ取りは無理だとしてもミハイルとライアーの魂が繋がっているんだよな。で、ミハイルとラピュセルさんは眷属の契約を結んでいる。これ、ライアーにも有効にはならないのか」


 総出でダメ出しを食らいひどく落ち込む世界の長(笑い)を気の毒に思いながらもふと疑問に思ったことを口にする。


「それは……考えたことがなかったな。だが、俺の魂がラピュセルの力によって独立しているのであれば、俺との契約は成立していてもライアーと契約していることにはならないと思う」


「う、そうか……」


 ミハイルからの歯切れの悪い返答にこの作戦も有効でないと悟って落胆してしまった。ライアーのことを色々聞けるかと思ったが、結局のところほぼ進展なしの八方塞がりである。


『うーん、ミハイルが勇気を持って正体を明かしてくれた上に、これだけヒトが集まっても突破口は開けないのか。仕方ない、これ以上の話合いは無駄だ。最終決断だよ、クロケル』


 中々突破口が開けずもどかしい空気の中、これ以上時間は割けないと判断した聖が俺に唐突に最終決断を求めた。


「は!?何でこの大事な状況で俺に判断を委ねるんだ」


『君はこのパーティーのリーダーでしょ、忘れたの』


 ああ、そうだった。俺、何か流れでリーダーにされたんだった。慣れない言葉に戸惑っている俺に仲間たちの視線が突き刺さり、観念した俺はここまでの状況をまるっと考慮して、俺は最終結論を下した。


「よ、よし!ミハイルには参戦してもらうが、仲間を失う様な戦法は取らない。戦いを有利に進めるにはこいつの存在が不可欠だ。最初に出た意見に倣い、俺たちがライアーの気を引きつ、ミハイルにはタイミングを計ってライアーに攻撃してもらう戦法で行く!」


 その決断に異論はないようで、仲間たちもしっかり頷き、同時に立ち上がってライアーとの戦いへと決意と士気を高めた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖「次回予告!ようやく方針が固まり、立ち上がったクロケルたち。彼らが選んだ道は茨の道なのか、それとも無明の道か……ついにライアーとの戦いの火蓋が切って落とされる」


クロケル「茨の道と無明の道って、どっちも試練ってことじゃねぇか。戦いが始まる前からそう言う不穏な表現はやめろよな」


聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1第115『押された背中、踏み出した足』いよいよ決戦だよ、クロケル。気合いを入れてゴ―!!」


クロケル「気合いを入れてもらっておいてアレだが、何かあんまり最終決戦の雰囲気じゃないんだよな……ゲームとかで言うところの敵ボスの実力を見るための中間戦みたいな空気をビンビンに感じる」


聖「あー、それは僕も思うなぁ。何でだろうねぇ」


クロケル「みんなの意向が固まりすぎているって言うフラグが立ったからじゃねぇか?」



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