第109話 シャルム国王との再会、エクラの事情……ってなんで話がそれてんの!?
この度もお読み頂いて誠にありがとうございます。
ああ、執筆しながら後付けの思いつき設定がどんどん増えて行く……タイピングする度に設定が増えて大変なことに……。過去のお話と辻褄が合う様に注意しながら書かなければと頭を抱えております。
いや、本当に着地点どうするよ(自業自得)
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
「お久しぶりです。シャルム国王」
慣れ親しんだとは言え、やはり相手は一国の主。俺たちは深々と頭を下げて挨拶をした。初対面であるエクラもしっかりと頭を下げている。見た目はギャルでパリピだが、この子やっぱり礼儀をわきまえている。
例によって仲間であるアストライオスさんと聖、ミハイルとぬいぐるみ2体は頭を下げるどころか挨拶すらする気配はない。おいおい、かつて仲間だった2人はともかく、後の奴らは大分無礼じゃないか。
「はいはい。毎度堅苦しい挨拶をありがとう。頭を上げなさい」
鬱陶しそうに頭を上げることを許してくれたシャルム国王の言葉に倣い、俺たちは頭を上げる。
頭を下げなかった連中へのお咎めが一切ない辺り、本当に寛大な国王様だと思う。おとぎの国の女王みたいなヒトだったら極刑だぞ、多分。
「それにしても……随分と仲間が増えた様ね。初対面になるのは小さなAIさんと随分と煌びやかなお嬢さんね、お名前を伺ってもいいかしら」
シャルム国王から優雅に指名を受けた2人はピンと背筋を伸ばし、それぞれに元気よく自己紹介をした。
「わたしはアムールです!この素敵な名前はご主人様につけてもらいました!見て頂いてわかる様にペセルの分身なのです。国王様のことはペセルから情報共有をしてもらっています。よろしくお願いします」
「ええ。アタシもあなたのことはペセルから聞いたわ。あの子の代りにクロケルたちをサポートしているらしいじゃない。ペセル以上に愛らしい子ね、こちらこそよろしく」
何故か俺アゲ発言を交えつつ興奮気味なアムールに小動物を愛でる様な視線を向けてシャルム国王は優しく笑った。
「あたしはエクラって言います。アストライオスおじいちゃんの孫です。その節はおじいちゃんがお世話になりました。孫の私もお世話になってしまいますが、よろしくお願いいたします」
「ま、孫!?アストライオスの孫なの、アナタ」
ギャルらしからぬ丁寧でしっかりとした挨拶をしたエクラだったが、シャルム国王が引っかかった場所は違う様だ。
聖も引っかかっていた“アストライオスさんの孫”と言う言葉に、常にクールなシャルム国王が珍しく声を上ずらせ、顔に動揺を浮かべながらエクラに確認する。
「はい!こんな見た目ですが、私は正真正銘の星の一族。おじいちゃんの血を色濃くひいているんですよ」
過去に何度か自分の見た目が由緒ある星の一族としてふさわしくないと思われたり、注意されたことがあるのだろうか。エクラは自分の見た目をフォローしつつも、決してそれを恥ることなく、淀みない返答をした。
いや、かくいう俺もお堅そうなイメージがある星の一族にエクラみたいな明るめな存在がいるのには戸惑ってしまった記憶はあるし、シャルム国王もかなり驚いている様子だし、もしかするとエクラはこの反応には慣れっこなのかもしれない。
なんだろう、ちょっぴり罪悪感……。こう言うのって既成概念に囚われちゃいけないことなんだろうけど、つい自分の中の常識で物事を考えてしまう己の価値観の狭さが情けない。
「個人の自由だからアナタの見た目はどうでもいいのだけれど。あのアストライオスに孫がいるなんて……にわかには信じがたいわ。だって子供とは不仲だって聞いていたから」
なんと言うことか。シャルム国王はエクラの見た目に戸惑っていたのではなかった。しかもそれをどうでもいいと斬り捨てていた。価値観が狭いのは俺だけだった……ショック。
俺は自分自身に情けなさを覚えながらも、渋い表情を浮かべるシャルム国王から紡がれ言葉に気を取られた。
多分、それは今この状況では関係のないことだし、超絶デリケートな匂いがするし、そもそもアストライオスさん本人とその家族であるエクラがいる状況で確認できるわけもなく、気にしない方が良いと分かりつつもつい視線をエクラに向けてしまう。
「ん?あたしの両親のコト聞きたいの?いいよ、別に。隠す様なことでも恥ずかしいことでもないし」
「い、いや、でも……」
俺と目が合ったエクラあっさりとそう言ってのけた。隠し事を一切使用としないその態度に潔さと格好良さを感じつつも、こんな形でなにやら重たい気配がする事情を聞くのは罪悪感しかなく、返答に困っていると彼女の方から口を開いた。
「って言っても色々と複雑だから、敵が迫っているこの状況下で詳しく話せないけど……ざっくり言うとおじいちゃんの直系のひとり息子、つまり私のおじいちゃんが跡継ぎの修行に耐えきれなくなって、お母さんと逃げたんだよね」
エクラは口元に手を当ててなんてことない世間話をするように軽く言ったが「へぇなるほどそう言うことかぁ」と流せる様などう聞いても内容ではない。
「その時お前は生まれていたのか」
“気になる”と言う気持ちが罪悪感に勝り、今度はこちらから質問を投げかけるとエクラは平然とした態度で続けた。
「生まれてたよ、って言うか生まれたてかな。置いて行かれたの」
『え、何それ。一族の責任と修行に耐えきれなくなって逃げだした上に、妻は連れて行くけど我が子を置いて行くとかクソじゃん。クソ親じゃん』
エクラから語られた衝撃の過去に聖が悪態をついた。俺も正直似たようなことを思ったが、そんなクソ親でもエクラにとっては“親”だ。第三者が悪く言って良いものではない。
「ばっか!エクラの前でそんなこと言うなよ。後、なんで2回もクソって言うんだよ」
「あはは、いいよ。気を遣ってくれてありがとう、クロケルさん。でも大丈夫、あたしは両親のコトマジで全っ然覚えてないから、どう評価されても気にならないんだ。私もこの話もおじいちゃんから聞いた時、自分の親だけどクソじゃんって思ったから」
聖を嗜めたが、エクラは本当に全く気にしていない様子で言った。無理して笑っている様にも見えないし、言っていることや感情に嘘も偽りもないのだろうが、話を聞いているこちらが気まずくなってしまう。
返す言葉が全く見つからないのは俺だけではないようで、話に耳を傾けていた全員が口噤み、何とも言えないモヤモヤとした空気が流れる。
『と言うか、アストライオス。君、未来視ができるならこうなるってことも分かっていたんじゃないの』
聖はタブレット越しに疑わしい視線をアストライオスさんに向けた。この様な常に素知らぬ態度を取り続けていたアストライオスさんが今回ばかりは痛いところを突かれたと目を逸らし、罰が悪そうに答えた。
「……言っておくがワシは常日頃から未来を視ているわけではないぞ。必要な時以外は基本未来なぞ視るものか」
「あっ、そうなんですね」
ちょっと驚いた。だってアストライオスさんは割とライトに未来視をしている気がするから。未来視って勝手に視てしまうものじゃないんだ。ちゃんと力をコントロールしてたんだな。
それもそうか。勝手に未来が視えるなんてたまったもんじゃないもんな。自分の予期せぬ形で未来が視えるなんて考えただけも精神的に来そうだし。
「それにあやつ……エクラの父親は真面目に修行をしていた。どんくさくて才能がないことは指摘したが、まさかこんな形で逃げ出すとは思わなんだ」
アストライオスさんはエクラの父親に逃げられた時のことを思い出してか、疲れた様に溜息をついて言った。
「つまり、修行を放り出して逃げ出すとは思いもしなかったと言うことか」
「ああ、そうじゃな。こうなるぐらいなら未来を視ておけばよかったよ」
シュティレの短い問いにアストライオスさんは短く答えた。続いてシルマが困惑を浮かべて小首を捻る。
「ですが、どうして生まれたばかりのエクラさんを置き去りにしたのでしょうか。一緒に連れて行くと言う選択もあったはずです」
その疑問にアストライオスさんは尚も平然とするエクラの方をちらりと見てからしんみりと言った。
「この子を自分の代りに跡継ぎにして下さいとメモが残されておったからな。あいつは一人息子であるが故、跡継ぎがいなくなることに多少の罪悪感があったのやもしれぬ」
『ただ跡継ぎを残すために生まれたばかりの子供に自分が背負うべき運命をなすりつけて置き去りにしたってこと?もうクソ以下じゃん。どこに逃げたかとかわからないの?』
聖が改めてエクラの両親に悪態をつき、その行く末を確認した。それは俺も気になるところだ。エクラに全てを押し付ける様にして出て行ったあとの両親はその後どうなったのだろうか。
「そうだな。無関係な俺たちが気にするのもおかしいかもしれないが、エクラの両親の現状は気になる。そういうものは未来視でわからないんですか」
別に批判をしたいわけではない。エクラは問題なく、寧ろ星の一族としての才能を開花させて成長したが、子供を置き去りにしてまで自分の役目を放棄したヒトたちのその後は ただ単純に現在の状況が気になるのだ。
「さあのう。ワシはあやつらとは縁を断ち切った故、その後を知りたいとも思わん。向こうからの連絡もないしのう。お互いに干渉しなくて良いのではないか」
アストライオスさんは未来視ができるのだから、両親の現状も分かるのではないかと思ったのだが、返って来た言葉はひどくそっけないものだった。
あれ、あんまり気にしている素振りはないと思ったけど、一族を継ぐための修行を放棄した挙句、エクラを置いてけぼりにしたことにキレていらっしゃる?
「あ、それについては私もおじいちゃんに同意かなぁ。別に恨んでいる訳でもないけど、今どうしてるかなんて興味ないかな」
エクラもあっさりと言った。嘘だろ、こんなに重たい話をそんな「どーでもいいでーす」見たいなテンションで終わらせるのか!?
「そう、デリケートなことを話すきっかけを作ってしまってごめんなさいね。話を戻しましょう」
これ以上話が逸れるのも良くないと思ったのか、シャルム国王も特に追及することなく、話を戻す。
「改めて、長い旅路を途中トラブルに巻き込まれたらしいけど、無事にアストライオスのところまで辿り着けてよかったわ」
「ええ、それについてはもう本当に色々あって……って何で色々あったことをご存じなんですか」
涼やかな視線を俺たちに向けながら、シャルム国王がこれまでの苦労を見て来たかの様なく口ぶりで言ったことに驚きが隠せない。尋ねてみるとシャルム国王はすんなりと答えた。
「事前にアストライオスから未来の詳細を聞いたのよ。アナタたちがどこでどう言う苦労をしてルシーダまで辿り着くか、全部聞いたわ」
「アストライオスさんから?はっ、未来視か」
シャルム国王の言葉に誘導される様に俺たちの視線が素知らぬ顔で紅茶を啜るアストライオスさんに集中する。
「ああー、シャルムからネトワイエ教団についての連絡を受けた際に、お前たちの話を聞いて面白い……いや大変な未来が視えた故、それを伝えた記憶があるような~ない様な気がするのぅ」
『うわ、すっごい曖昧。そしてわざとらしいのが腹立つ』
けろりとするアストライオスさんに聖が嫌そうな口ぶりで言った。俺も相変わらずのらりくらりな態度を貫き通すアストライオスさんの態度には若干イラッとする。
「あら、まさかアストライオス……あなた自分が視た未来をこの子たちに教えてあげなかったの?」
シャルム国王も目を丸くして驚く。そして悪びれることなくまた紅茶を口につけて素知らぬ態度を貫き通すアストライオスさんの姿を見て深く、もうそれは深く溜息をついた。
「はあ~相変わらずねぇ。まあ、あなたらしいと言えばあなたらしいけれど……緊急事態なんだからある程度の危険が伴っている場合には助けてあげなさいよ」
「一応、ペセルを通してふわっと伝えておったぞ。なあ、お前さんたちもペセルから苦労する旅路である旨は聞いていたであろう?」
なあ?とアストライオスさんは平然と同意を求めてきたが、首を縦に振れると思うか?確かにペセルさんからは「災難に巻き込まれるから気をつけろ」みたいなことを言われた覚えはあるがそれだけで危機感を持てるわけがない。
ふわっと伝え過ぎだろう。こちとら異世界転移に巻き込まれたんだぞ。しかも元の世界に戻れるかどうかも分からない危機的状況に見まわれたんだぞ。
どこまで視えてたかは知らんが、せめて異世界に行くことやその経緯ぐらいは教えてくれよ。心構えとかできたと思うぜ、絶対。
『今更文句を言ったって無駄だよ、クロケル。こいつの趣味、自分が視た未来の通りに他人が苦労するのを見て楽しむのが趣味だから』
「とんでもねぇ趣味だな」
『うん、とんでもねぇ趣味だよ。あいつが未来を教えてくれる時は大概、自分がトラブルに巻き込まれそうになった時とか自分が危ない時だけだから。基本、自分勝手なんだよあいつ。気にするだけ無駄、こっちの心が疲弊するだけだよ』
聖の声は完全に感情を失っていた。多分、かつて共に世界を救うための旅を共にしていた時、未来視関連で色々と苦労をしたんだろう。
シャルム国王も頭を痛めているっぽいし。昔からこんな感じだったんだろうなぁあの爺さん。ある意味一番のトラブルメーカーじゃねぇか。あんなのがいてよく世界を救えたな。
「そうね、アストライオスの悪趣味は注意したところで直るものでもないし、終わったことを追及しても時間の無駄よね。話を進めましょう。連絡を頂いた理由はなにかしら」
アストライオスさんへの追及をすっぱり諦めたシャルム国王は、何事もなかったかの様に俺たちが連絡した理由を追及して来たのでこちらも気を取り直して答えた。
「はい。実は、ラピュセルセルさんに会わせて欲しくて」
現段階でミハイルに目的を悟られてはまずいと判断し、遠くで控える彼には聞こえないよ言うに小さな声で願い出た。
「あら、その態度……どうやら訳ありの様ね。ラピュセルの力が必要ってことはミハイル関連かしら」
俺の態度と言葉を聞いたシャルム国王は直ぐにある程度の状況を把握した。流石、かつて神子と共にこの世界を危機から救い、グラキエス王国の現国王様。頭の回転が速い。
「うう、鋭い。その通りです……実はですね」
これは幸いと小声でこれまでの経緯を話す。シャルム国王は小さく頷きながらつたない俺の話に耳を真剣に傾けてくれた。
「なるほど、確かにネトワイエ教団とライアーの実力はまだ未知なるものだし、未来視で結果が分かっている以上は少しでも有利に持って行きたいわよね」
「はい、アストライオスさんによるとミハイルの参戦で戦いが大分楽になるみたいで……でもあいつはどうしても戦いたくないみたいなんです。それに、いつも以上に不機嫌と言うか何か隠している気がして」
「それで、事情を知っていそうなラピュセルに情報を貰いたくてアタシに連絡して来たのね。OK、状況は把握したわ。ちょっと待っていなさい。クラージュ」
話を聞き終わったシャルム国王は緩やかに左手を挙げて状況の把握したことを示した後に、画面には見えないところに控えていたらしいクラージュに呼びかけた。
「はい。お呼びでしょうか、旦那様。あっ、クロケルさんたち!お久ぶりです~」
シャルム国王の呼びかけに騎士らしくキリッと返事をして登場したクラージュだったが、俺たちの姿を確認した瞬間、突如として子犬モードに切り替わり人懐っこい笑顔を浮かべて千切れんばかりにこちらへ向かって手を振ってきた。耳と尻尾の幻覚が見える……。
「久しぶりだな、クラージュ」
クラージュの明るさに引っ張られる形で俺が手を振り返すと彼女はより一層嬉しそうに笑った。
「挨拶も済んだみたいだし、さっそく用事を頼んでもいいかしら」
「はいっ、何なりとお申し付けください!」
改めて呼びかけたシャルム国王に向き直ったクラージュは弾む様な返事と眩い笑顔で答えた。元気過ぎる彼女に愛おしそうに微笑みを返した後、シャルム国王は優雅に口を開く。
「うん、良い返事。じゃあ、ラピュセルをここへ呼んで来て頂戴。クロケルたちが話をしたいらしいわ」
「はい、お話合いをするのであれば大きな鏡の方が良いですよね。少々お待ちください」
クラージュは元気よく頷いて小走りに画面から消えて行った。相変わらず元気でキビキビとした奴だよなぁ。と思ってから数秒、キャスター付きの大きな姿見を押してクラージュが画面に再び姿を現した。
銀色の縁に薔薇の彫刻が施された気品と高級感が溢れる姿見がきらりと光り、そこにラピュセルさんの姿が映し出された。
「ごきげんよう、みなさん。お久しぶりに会えて嬉しいですわ。お変わりはないかしら」
「お久しぶりです、ラピュセルさん。俺たちも会えて嬉しいです。色々ありましたが、とりあえず無事にここまでくることができました」
一応ラピュセルさんも小声で話してもらう様に頼んでから、ネトワイエ教団関連で起きている問題は知っている彼女にも簡単な近況報告を済ませる。
「それはご苦労さまでしたねぇ。どうかしら、ミハイルはお役に立っている?」
「そ、それなんですが……」
のんびりのほほんと微笑んで気遣ってくれるラピュセルさんに心が癒されかけたが、話の流れでミハイルが話題になったのでこれはチャンスと本題に入ろうとしたその時だった。
「ラピュセルッ!!」
俺たちはなるべく小声で会話をしていたので恐らく詳細な内容は聞こえていないだろうが、空中に浮く画面は遠くで控えていたミハイルにも見えていたのだろう。
画面越しにラピュセルの姿を確認したミハイルが爆速で飛んできて目が悪くなるぞとたしなめたくレベルの至近距離で空中に浮かぶ画面に顔を近づけた。
くっ、流石ラピュセルさんガチ勢のミハイル。あれだけ重い空気になっていたエクラの過去でさえガン無視していたのにラピュセルさんの姿が見えた途端これだよ。
今更だが通信画面を小さくしておくべきだった。叶うことなら小声でこっそりミハイルのことを聞きだそうと思ったのに……本人がいると聞きにくいっていうか邪魔される可能性があるじゃねぇかっ。
「ら、ラピュセルさんにお願いがあります」
「はい?なにかしら。私にできることなら何でも協力するわよ」
ええいままよ。と俺はラピュセルさんに呼びかける。彼女は優しい笑顔で了承してくれて、それに心が癒されかけたが視界の端でミハイルがもの凄い眼光で俺を睨んできたので心がスンと冷める。
いや、負けてなるものか。ここで心を折っていてはせっかく連絡を繋いだ意味がない。俺は気合いを入れ直して、すっと息を吸って力強く言った。
「ミハイルの素性を、知っているかぎり教えてください」
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聖「次回予告!ミハイルの話を聞くつもりがエクラが抱える事情を聞くことになり、その内容に心が重たくなってしまったクロケルたち。ラピュセルさんとの再会は叶ったけど、今度はミハイルの抱える激重事情を知ることに……?」
クロケル「ダメだ、個々の事情は複雑かつ重すぎて胸焼けしそう」
聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1 第110『ミハイルの秘密』胸焼けって神経からもくるもんなんだねぇ。新発見」
クロケル「新発見って……呑気だなお前」
聖「どうせ気が重くなる話なんだよ。なるべく明るい心づもりじゃないと絶対しんどくなるよ?」
クロケル「そうかもしれないが、真剣な話を明るく呑気に捉えるのもなんか違うような……」