第101話 アストラオスの不穏な未来視
この度もお読み頂きまして誠にありがとうございます。
先日、友人が結婚して東京へ嫁いだのですが、日中でも玄関を始め家中の鍵をかける(空気の入れ替えは除く)ことに驚いたそうです。私も驚きました。
と言うのも私たちが住むのはとても田舎。日中は家族が頻繁に出入りする事もあり、外出時以外は鍵を閉めていないのです。ご年配の方が住む家なんて鍵どころか玄関のドアが全開なのです。そりゃもうギャップしか感じません。
でも防犯的には鍵閉めが正解ですよね……ヒトが家に居ても入って悪事を働く輩はいるので……そう思うと鍵って大事ですね(今更感)
だから、日記じゃねぇっつの。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
フィニィの精神面を考慮し、捕虜部屋に彼女を1人残してアストライオスさんの部屋の戻って来た俺たちは、椅子に腰かけてエクラが淹れてくれた紅茶を飲んで一息ついていた。
「はあ、アンフィニの前でこんなことを言うのも悪いが、前途多難だな」
中々進展がない状況に思わず溜息が出てしまう。一旦席を外したエクラから解放され、1体で椅子にちょこんと腰かけるアンフィニも暗い表情で頷く。
「ああ。焦るのは良くないとわかっているんだが、フィニィを目の前にするとどうしても気持ちが逸って自分の気持ちを押し付けてしまうんだ」
「気持ちはわかります。それだけフィニィさんのことが大切で、復讐をやめて幸せになって欲しいって想いが強いってことですものね」
シルマが俯くアンフィニに優しく声をかけたが、頷きが返って来ることはなかった。そのまま無言の時間が続く。
空気を読んでか誰も口を開かない。重い、空気が重すぎる。いっそのこと話題を変えるべきか?何をどう発言するべきか悩んでいたその時だった。
「も~、何でそんなマイナス思考になるかな。無事フィニィちゃんを保護することが出来たんだよ。十分進展してるじゃん。そこは喜ぼうよ!あ、クッキー焼けたからどうぞ~」
エクラが気分を鎮めている俺たちを軽く咎めながら、皿に山盛りになっているクッキーを机の上に置く。見た目も匂いも美味しそうなチョコチップクッキーだった。でもこれだけチョコが入っているクッキーは普通に買ったら絶対に高い。
「わーい、ありがとう。エクラ」
すっかり人間のお菓子が好物になったシュバルツが、色々あってお疲れモードの重い空気の中、1人テンションを爆上で両手を上げて喜んだ。きちっと御礼が言えるようになったのは大きな成長である。
誰よりも早く焼きたてのクッキーに手を伸ばし、それを小動物の様にもさもさと食べ始めたシュバルツを見ているとなんて言うかこう……癒される。見た目は中高生男子なのになんか和む。おいしそうに食べる系の学生っていいよな。いや、俺も生前は学生だったけども。
「そうですね。フィニィさんとお話できるチャンスを得られただけでも十分な成果だと思います」
シルマがはにかんで素直にエクラの言葉に頷き、紅茶とクッキーの効果もあってか沈んでいた空気が少しだけ柔らかくなるのを感じた。
「そう!物事は何でも前向きに捉えないとね。悪いところより、良いところを見つけていった方がモチベーションも上がるっしょ」
エクラは大きく頷いて自らが焼いたクッキーを口の中に放り込み「うん、美味しい!」と満足そうに笑った。
「はっ、呑気な奴だな。目に見えた成果も進展もないのに何がモチベーションだ」
ミハイルがみんなを元気づけようとしてくれているエクラの気持ちを踏みにじる様な言葉を吐いた。相変わらず空気をぶち壊す奴だなこのクソフクロウ。
「ミハイルくんって、マジで意地悪だよね~。意地悪な言葉しか吐けない口はこうしてやるっ」
「むぐ!?」
不遜な態度を取り続けるミハイルに流石に腹が立ったのか、笑顔を引きつらせながらエクラがクッキーを丸のまま鋭利なくちばしに突っ込んだ、と言うかねじ込んだ。
突然の行動だったため、ミハイルはまともにクッキーを口に含んでしまい目を丸くして苦しそうにもがく。
しかしエクラは相当カチンと来ていたのか、クッキーを口から吐き出すべく、必死で羽を動かして距離を取ろうとしているミハイルをしっかりと捕まえて離さなかった。執念とはこう言うことをいうのだろうか。うん、ちょっと違うかもだが。
「あれはヤバい。喉に止まる危険な行為だし、その前にフクロウにクッキーなんて与えて大丈夫なのか」
『クッキーって言うか動物にチョコをあげるのは大分危険な行為だと思うけど、ミハイルは一応魔族でフクロウは仮の姿っぽいから厳密には動物じゃないし、平気じゃない?』
目の前で起こる攻防にドン引きして聖に話しかければ、同じくドン引きしながも無責任な言葉が帰って来た。もう乾いた笑いしか出ない。
争いを止める勇気も義理もないので、俺は目の前に置かれた紅茶とクッキーに視線を落とす。気分と空気はどうあれ、エクラがせっかく出してくれたんだ。冷めてしまっては申し訳ないと思い、紅茶を一口すすった後にクッキーを齧った。
紅茶はアッサムに近い味で、甘い香りとまろやかな渋みがとても好みだ。ミルクも用意されていたが、ストレートでも十分美味しく頂ける。クッキーもチョコをたっぷりと混ぜ込んであるため、とても甘く食感もあって美味しかった。
「しかし、あの少女と改めて話をするにしても、いつどんな言葉が彼女の琴線に触れるかわからない以上はこちらの態度も考えなければならないな」
紅茶とクッキーですっかり幸せ気分に浸っていると、目の前で繰り広げられているエクラとミハイルの争いに動揺1つ見せず、シュティレが至って真面目に冷静に言った。
その言葉で本来の目的を思い出した俺は、たるみかけていた気を引き締めてさも同じことを思っていたフリをしながら冷静に頷いた。
「そうだな。フィニィの意志も固い様だし、どんなにアンフィニが懸命に想いを伝えても永遠に話し合いに決着がつかない気がする」
フィニィが抱える聖を含めた神子一行への恨みは深い。フィニィとアンフィニの親代わりだったこの世界の前長は世界の滅びを望んでおり、世界を守るために神子として選ばれた聖とその仲間たちにその野望を阻まれ、その命を落とした。
結果的に世界は存続し、多くのヒトが救われたが、フィニィたちからすればこの世界を守るためとは言え家族の命を奪われたのだから、恨む気持ちはわからなくもない。
こちらがどんなに誠心誠意を尽くしてフィニィに歩み寄っても家族の仇の味方をする相手の話など、今後を見据えても聞き入れてもらえるかも怪しい。
『フィニィちゃんとの話し合いの件もそうだけど、問題はネトワイエ教団の動きだよ。いくらここが侵入困難な場所だったとしても、流石にあの子を放置するとは思えないし』
「だよねー。おじいちゃんの未来視によるとあの子を助けに来るヒトがいるんだよね。もうこの国に入国した感じ?」
聖の真面目な発言にエクラはあっさりとミハイルと争うのをやめてさらっと会話に入って来た。
クッキー捩じ込み攻撃から解放されたミハイルは激しく抵抗したせいでヨレヨレになり、羽をボロボロにした状態でやっとのことでエクラと距離を取る。
ああ言うカンジのつっけんどんなキャラって基本的にパーソナルスペースが海の様に広いギャルとかパリピに弱いよな。ボロボロになっているのは気の毒だが見ててちょっと面白い。
「あの娘の仲間なら、既に入国したぞ」
エクラの問いにアストライオスさんはさらりと答えたが、それを聞いて俺の中で焦りが生まれる。
「入国したって……そんなあっさり言うことですか。と言うか寧ろそれが分かっているんだったらそいつの入国を禁止するとか、敵を回避する方法はいくらでもあったんじゃないですか」
「相手の目的はワシの命とそれに加えてあの少女の奪還じゃろう?だったら何としてでも、どんな手を使ってでも我が国に侵入を試みるじゃろうし、止める方も骨が折れる。であれば招き入れて完膚なきまでに叩きのめして戦意を喪失させた方が速いじゃろうて」
アストライオスさんは顎髭を撫でながら平然と怖いことを言ってのけた。何そのやられる前にやる精神。
「簡単に言いますけど、ネトワイエ教団の連中、結構な実力者ですよ。そんなに簡単に叩きのめせますかね」
ネトワイエ教団と本格的な戦闘になったのは過去に2回。1度目は風の国アエラスで教団のリーダーであるライアーとの戦闘。2度目は電子の国エレットローネで敵のハッカーであるヴァイラスとの戦闘だ。
「そうですね……何度か戦闘になりましたが、得体がしれない上にかなりの強敵でした」
アストライオスさんの発言をシルマも不安に思ったのか、過去の戦闘を思い出してか眉を下げて肩を落としていた。
『そうかな。ハッカーを相手にした時は割と楽に決着がついたと思ったけど』
「あの時はあの場にいたメンバーが実力者揃いだったと言うことも勝てた要因だったと俺は思うぞ」
いつ苦戦したっけと言ってきょとんとする聖に俺は即座にツッコんだ。ヴァイラスも相当の実力者だと思うが、あの時はシェロンさんとペセルさんと言うかつてこの世界を救った英雄が2人もいたのだ。
それに加えて竜の谷一番の実力者であるシュティレの活躍もあったし、思ったほど苦戦を強いられることはなかった。と言うか、俺は何もしてないし苦戦もクソもないわけなのだが。
しかし、問題はライアーだ。彼は実力魔未知数の上に頭もキレるイケおじなのである。罠にハメられ、空間を断絶された場所で戦闘になったが、あの時もあまり実力を開放している様子はなかった。
それでもえげつないナイフ捌きだったし、強い者と戦うことに快楽を覚えるタイプのサイコなのであの時シルマが助けに来てくれなかったら危なかったのかもしれない。
そんなイカれた奴が入国して命を奪いに来ているかもしれないのに、わざわざ迎え入れるとかドMなのかな。
せめて入国した奴がライアーではありませんように!だって、あいつ俺が異世界から来たことに勘付いて、なんか才能あると思い込んで命も狙っているんだぞ!?誰が再会したいなんて思うかよ。
でも未来視ではアストライオスさんでも相手をするのに苦労するみたいなこと言ってた気がするのが凄く嫌な予感しかしない。
『因みにここへ来た仲間の姿は視えているの?』
アストライオスさんの御身はもちろんのこと、自分の身の安全も考えて、ライアーと再会したくないと強く祈っていると聖がズバリと質問した。
「ああ、バッチリ姿が視えておるぞ。茶色いスーツに臙脂色のネクタイ、片眼鏡で銀の髪をオールバックにしておるな、口ひげもある。一般的に言うところの初老の男じゃ。まあ、ワシから見れば若造もいいところじゃがの~」
はははは。と豪快に笑うアストライオスさんだが、それを聞いた俺の体温がどんどん下がって行く。
「やっぱりライアー来ちゃったーッ」
「ほほう、ライアーと言うのか。名前も胡散臭い奴じゃのう。ほっほっほっ」
頭を抱え、真っ青になって頭を抱えて顔に絶望の色を浮かべる俺とは対照的にアストライオスさんは相も変わらず呑気に笑う。
「いや、だから!笑い事じゃないですって。一番ヤバい奴が来てますよっ」
その特徴は間違いなくライアーじゃねぇかよ!予想はしていたけどやっぱりあいつが来てんのかよ。ダメだ、絶望過ぎて眩暈が。
『君、よく眩暈起こすよね。心労溜めない方がいいんじゃない?』
「この状況で心労が溜まらない奴はいないと思うぞ」
『じゃあ、もっと物事を楽天的に捉えるとか。エクラちゃんみたいに』
「ある程度は前向きに捉えられるが、これ以上プラス思考になれと言われたら俺の性格的に無理だ」
戦いも始まっていない内から精神的にダメージを負っている俺に聖が呆れた様に声をかけて来たが、そんな反応をされても困る。だって、俺には強敵を倒す様な力は備わっていないのだから。
非常に残念なことに二次元でよくある“弱いと思っていたら実は強かった”とか“弱いふりをしているけどスタータスは最強”とか“秘めた才能を持つ存在”とか言う設定は何1つとして持ち合わせていない
こんなことを力強く断言したくないがマジでガチの雑魚キャラなのである。そりゃあ、素材を集めてレベルアップして、戦い方を学んで、必死に努力すればそれなりに戦闘に参加できる実力は得ることが出来るだろう。
しかし、しかしだ。どんなに努力しても雑魚はそう簡単に強者に追いつけない。漫画じゃあるまいし、付け焼刃の努力ではボスっぽい相手には絶対に勝てない。絶望的な状況でも勝利できるのはメタ的に言うと主人公補正があるからなのである。
それ以外はモブはもちろんのこと、例え主人公側の仲間であってもボス系キャラに勝てることはない。悲しいことに人生はそんなに甘くないのである。
ライアーがフィニィを取り戻しにやって来て、次いでにアストライオスさんの命も奪いに来たとして、果たして全員無事に生き残ることはできるのだろうか。
「アストライオスさんでも苦労する相手……ライアーって一体なに者なんだろう」
もうすぐ再会することになるであろう、実力も明らかになっていないライアーに改めて不安を募らせていると聖が突然思いついた様に声を上げた。
『あ、そうだ。ねぇ、アストライオス。君の未来視で敵の正体が分かったりしないの?』
意外な言葉に俺は驚きながらも感心する。ライアーはアナライズによって素性を暴かれない様、自分と仲間のステータスに魔術を使ってジャミングをかけているのだ。
それは力をセーブしている聖のアナライズ能力では解析できないほどレベルが高い魔術らしく、そのせいで相手の情報や実力が全く分からずに困っていたのだが、聖の言う様に未来視なら戦い方などで手がかりを掴める可能がある。
未来視で相手の素性を探ると言うのは盲点だった。いや、盲点とか言う前に未来視なんて誰でもできる芸当じゃないけど。
「未来視は予知ではない。何でも見通せる力ではないぞ。視るだけ無駄な気もするがのう」
『いいじゃない。何か分かるかもしれない可能性があるなら、便利な能力は使っておかないと損でしょ?』
渋い反応を示すアストライオスさんに聖はケロッとして答え、アストライオスさんの眉間に不機嫌と言う名の皺がギュッと寄る。
「ヒトを小間使いするではない。それにアキラ、お前だって未来を視る力があるだろう。確かにワシはこの件については関係者かもしれんが、今現在深くかかっているのはお前さんたちじゃ。ワシに頼ってばかりではなく、自分で視たらどうじゃ」
不機嫌で面倒くさそうに、そして呆れた様に返すアストライオスさんに聖はムッとした声で返した。
『シェロンにも言ったけど、僕はネタバレとかは嫌いなタイプなんだよ。あんまり未来を視る力は使いたくないんだ。それに立場上、僕は未来視すると視え過ぎちゃうから遠慮したいの』
「未来視でなくとも、今のお前には相手をアナライズする能力があるじゃろう」
頼まれ事をされるのが気に入らないのか、ただ単に面倒くさいだけなのか、何かと文句をつけて聖の申し出に対して中々首を縦に振らない。俺的にはそれが非常にもどかしかったのだが、それは聖も同じな様で、明らかにイライラとした声で返す。
『相手がステータスにジャミングをかけているから視えないんだよ。立場的に僕はあんまり本気を出せないから、君の力を借りるしかないの!』
「そっちの小さなAIの少女もアナライズ能力があるのではないか。見たところペセルの分身のようじゃし。ジャミングされているならそれをハッキングすればよかろうに」
アストライオスさんが俺の肩の上に腰かけるアムールをチラリと見やる。突然視線を向けられたアムールはきょとんとしてから眉を下げて申し訳なさそうに首を左右に振る。
「わたしもそれを試みました。でも、あのライアーと言う男のジャミングはとても複雑で、見たこともない術式だったのでハッキングは叶いませんでした」
それをきいたアストライオスさんは「ふむぅ、面倒じゃのう」と唸った後に聖の方に向き直って言った。
「お前が立場的に力を貸せないと言うのであればこの件は、現段階ではさほど世界の危機に直結していないと言うことじゃろ。なら、ある程度放置しても問題は……」
『いいから!君の未来視で相手の正体は分かるの、分からないの、どっち』
聖は何故かこの状況で渋り続けるアストライオスさんの言葉に食い気味で凄んだ。それを受けたアストライオスさんは口を尖らせながら面倒くさいのぅ、と本音でぼやき大きな溜息をついた後に口を開いた。
「ふむ、未来視だけでは明確なことは言えんが……ここにやって来る胡散臭そうな男、ライアーと言ったか。視た限りでは魔族で闇系統の魔法とナイフを使った暗殺戦法を得意としておるみたいじゃの」
『うーん、それは先の戦いでも分析できたことだなぁ……』
聖は期待外れの結果に残念そうに唸った。おい、ヒトに頼んでおいてその態度はよくないと思うぞ。がっかりするしにてもまず御礼を言ってからの方が良いんじゃないのか。ほら、アストライオスさんすっげぇ睨んでるし。
「ホレ、見て見ろ。何の成果もなかったではないか」
「まあまあ、おじいちゃん。そんなにふてくされないで。お茶のおかわりいる?」
すっかり拗ねてしまったアストライオスさんの肩を慰める様にポンポンと肩を叩き、エクラは笑顔でお茶のおかわりを進めた。
「優しいのはエクラだけじゃの。流石は我が孫じゃ。うんうん、おかわりをおくれ。クッキーももらうぞ」
エクラに気を遣われたことが余程嬉しのだろう。さきほどのグチグチと拗ねた様子はどこへやら、アストライオスさんはデレッデレになりながらエクラにティーカップを差し出した。
「はい、熱いから気をつけてね~。ねえ、おじいちゃん。さっきの敵さんの話だけど、能力意外に視えたことは何かないの?戦い方の癖とか。今後の戦闘の結果が視えているんだったらどう言う行動を回避したらいいか、とか具体的なアドバイスはない?」
淹れたてのお茶を差し出しながらエクラが先ほどの未来視に対し、踏み入った質問をする。アストライスさんはゆっくりと紅茶をすすりながら考える素振りと見せた。
「うーん、それがのぅ……このライアーと言う男、実力がある上に相当警戒心が強いようじゃな。この後の戦いでも中々手の内を出さんのじゃ」
「この後、この後ってことは戦闘にはなるんですね」
嫌な単語をしっかりと拾ってしまい、思わず乾いた笑いを交えて聞けばアストライオスさんはしっかり肯定した。
「ああ、どうころんでも奴はワシらの元へやってくるし、戦闘になる。そして未来はワシが参戦する者としない場合の2通りあるが、そのいずれも奴は本気を出していないな。と言うか、中々卑怯な戦法をとりおるぞ」
『え、でも君が苦戦する様な戦いなんでしょ。本気をだしてない相手に君が苦戦するなんてあり得るの?』
そんなこと信じられないと言う口調で驚く聖の言葉を受け、アストライオスさんがエクラの方をちらりと見て言いづらそうに言った。
「流石のワシも、かわいい孫を人質を取られてしまうと弱いからのう」
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聖「次回予告!未来視をしたアストライオスからのまさかの衝撃発言に動揺がとまらない。未来視でも不安を与えてくる得体の知らない男、ライアーにクロケルたちはどのようにして立ち向かうのか」
クロケル「取り合えず、ライアーが穏やか紳士な見た目な割にクソ野郎だったと言うことは確かだな」
聖「次回、レアリティは最高ランクだが素材がないのでレベル1 第102『未来を選択せよ、避けられぬノブレスオブリージュ』ついにライアーと本格的な戦いを繰り広げることになるかも」
クロケル「エクラのことは心配だが、戦闘になるんだったらアストライオスさんは戦力的に絶対に居て欲しい。何とか未来を変えられたらいいけど……」
聖「おお、クロケルが戦闘に前向きに……ようやく主人公としての自覚が出て来たの?」
クロケル「変なところで感心してんじゃねぇ」