セミの抜け殻
セミの抜け殻。
意味もなくたくさん集めたり。
あの子の服にくっつけて驚かしたりもしてたっけ。
かつてメトロポリスと呼ばれた大都市。
今は人の姿がない廃墟と化していた。
高層ビル、高層マンションだったコンクリートは、ひび割れ屑鉄が剝き出しになり崩れている。
機械化された高性能な人工知能を搭載したAI監視カメラはまだいくつか機能している。
葛などのツタがあちこちからのびて垂れ下がっている。
セミの声だけが廃墟の街に響いている。
新たな人跡もなく。
閑さやビルにしみ入るセミの声
人々は滅びたのだろうか。
何処へ行ったのだろう。
民、眠、見ん。
一目。
AI監視カメラがセミの抜け殻をとらえた。