《第41話》駐留地……
夕方。ランターザ・ガイズの団が使用している幕舎の入口の前で団のメンバーが出撃の準備をしたり、団の作戦の再確認などしながらたむろしていた。ドニエと何人かは他の顔見知りの傭兵の元に顔を出しに行っているところだった。作戦を前にした多少の緊張感と、戦い慣れした傭兵たちの落ち着きとで独特な空気が漂う。
そこに現れた人物がその空気を一変させた。
ドニエの仲間がこちらに向かって歩いてくる人物に気づき、次いでその人物がこの戦いの最高指令官であることをその姿から認め、何事かと息を飲む。駐屯地の視察にしては、将軍は他の者には意識を向けず、まっしぐらにこちらに向かってきたのだ。
将軍アミールは、驚いて手にしていた飲み物を落としそうになった男に声を掛けた。
「インフィはいる?」
「あ、ああ。いえ、はい。中に」
言って幕舎を指差す。
「ありがと」
アミールは幕舎へ向かう。入口の前に立ってひとつ深呼吸をする。そして垂れ布をまくりあげた。
入ってきた人物を確かめ、そしてそれが将軍だと気づいて驚いたのは、しっかりとした体つきの茶髪の男と、華奢な黒髪の男-エリックとサディウスだった。
「ええっと……?」
突然の来訪に唖然とするエリック。
「インフィはここにはいないの?」
「ええ、今は……」
サディウスが言葉足らずに答える。
「そう」
アミールはテントの中を見渡す。一角を鋭く睨んだ後、テントを出ていった。
「……焦った」
幕舎内が静まりかえると、アミールが睨んだ一角の布の下の方を捲ってはい出て来たのはインフィだった。
「何も隠れることはねぇだろ」
「なんか、つい……」
「気づかれていたようですよ」
「う……やっぱり?」
インフィは苦い顔をしている。
「ちゃんと会えばいいだろうが」
「だって……」
「意地の張り合いにならないようにした方が良いですよ」
「別に意地張ってるわけじゃないよっ」
ふてくされるように言うインフィ。




