魔法ファッショ
今をさかのぼる事、三十余年前、私が中学生の頃、マンガ週刊誌の「少年ジャンプ」にバスタードという魔法使いダークシュナイダーを主人公とするエロがふんだんに盛り込まれたマンガが連載されていた。
思うに80年代というのは表現の自由が特にサブカル面で厚く保証されていた時代だったのではないか。しかし、このマンガは「自由」過ぎた。単純に言って、特に田舎の中学などでは、ビーバップ・ハイスクールに代表されるような「不良高校生」に憧れる中学生が大多数であった。このマンガの後の展開を見てもわかる通り、「神話」や「キリスト教的世界観」を基にしたストーリー展開は当時、斬新すぎたというべきであろう。
筆者などはエロ本を中学の頃から隠し持っていたため、別にその面で不自由はしていなかったが、そういう世情を加味しての事だったのだろう。連載は、長く続いた。
で、やや少し前にはなるが現在である。必要に迫られてではあろうが、田舎の公立図書館に携帯対応の「巨乳サイト」の情報の本が何故か納められたりしていて、もっともすぐに除籍になったりしている。
エロをめぐる下世話な小説はたくさんあるが(フランス文庫など)、想像力をめぐらされてしまう良い小説にはなかなかめぐり会うことは難しいようだ。
そのうち、大人背伸びして、村上春樹さんの「海辺のカフカ」の解説エッセイなどを書くことが出来たら良いかなとは思っている。
今現在の私が、詰まり44歳の私がこの漫画を見たらやはり懐かしむと思う。それが文化と言うものだからである。同時に二度と見ないであろう。それが、嫌いになった文化と言うものだからである。