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寝取られ暗黒騎士の狭い生活  作者: 十個のでんぼ
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3

テントから外に出てこれからの事を考える。

彼女を探し家に帰り王子と結婚することをすすめるか。

もしくは、何もせず、このままぼーっとしているか。

いや、二択にするにしてももう少し、何かないか考えよう。

えーっと、ヒョウちゃんが言っていたのは、ユナが消えてしまった事。

親か諸侯が決めた戦争を無視しユナを王子は探している事。

他の仲間は、戦争に参加し、自分の権力を増やそうとしている事。

まぁ権力を増やすのは、間違いではないし、それは全然いい事だと思う。

家ってか国家が無くなるのよりましだし、王子がユナを探しているのは正解だ。


で、俺の選択肢は、王子の後を追い、ユナを探すことを手伝う。

単独で探し、ユナを探す。

他の勇者の仲間を探し手掛かりを聞く。

行きつけの娼館に行って愚痴を吐きつつ、もう少し考える。


「おーい! どうだった?すごい音してたけど大丈夫か?」

傭兵団の頭もとい、俺とどっこいどっこいの顔の悪さの男が話しかけてきた。

名前はキース、顔は汚いが弓の腕はぴか一だ。

難点が不ぞろいの顔のパーツと腕の長さ。

見ていて不安になるが此奴も化け物に近い存在だと思う。

そっと目を逸らし他人の振りをする。

「え?」

向こうが疑問の声を上げるが無視する。

「良いってそんなの恥ずかしいだろ!」

恥じらいを見せる顔をするが、三十人のロングボウ隊を指揮する頭だ、魔力を筋肉に乗せ、引き絞る弓の張力は180kgワイバーンの腱を使った弓の威力は、凄まじいが、正直に言うともっと弱い弓を使って何本も放った方が強いのでは無いだろうか。


「お、おおう...そ、そうか」

若干きょどりなが言うも化け物同士、はたから見たら嬉しくない構図だ。

正直に言うとさっさと二人とも何処かへ行ってほしい。


顔を赤らめる二人はおぞましく林の中へ消えて行った。


「おう! 帰ったぞ」

隣で大声で言い俺はうるせぇと言いそうになるが、堪え周りを見る。

真面な装備をしている奴らは居なく着ているのは布の服や動きやすそうな服の集団だ。

「頭と名無しの旦那! そろそろ飯が出来やすんで少しお待ちくだせぇ!」

小汚い男が手も洗わず鍋をかき混ぜる。

「どっから拾ってきた肉だその辺に落ちてる肉は俺は食わねぇぞ」

俺がそう言いつつかっぱらった重い袋を隣に居た小男に投げる。

「いつもすいやせんね! これで釣りは入らねぇっていつも貰い過ぎでさぁ」

今回は袋の中に石を詰めその中に銅貨を一枚だけ混ぜておいた。

後で笑えるだろう。

石の袋を貰った男はその中を見て怒る。

「旦那ぁこりゃねぇですよ!」

「うるせぇゴブリン! お前の頭にもう渡したわ!」

そう言って指をさした後切り株に座る。


すると、兵士について回る娼館の女が出てきて俺の首にしな垂れかかる。

「今日も儲かったって聞いたよ? 今日こそ一緒にどうだい?」

この女はアンジェリカ、ガチのビッチ金さえもらえれば犬にも股を開くと噂だ。

体は良いのだが、血痰を所かまわず吐く。

「寄ってくんな病気になったらどうすんだ」

そう言い銀貨を渡し離れてもらう。

「失礼すぎ! ヤらないで金なんて貰わないわ!」

そう言って吸っていた煙草と銀貨を叩き返される。

銀貨を拾うついでに落ちた煙草を拾い見えるように煙草を舐めまわしながら吸う。

「おーい! 報酬を配るから集まれ!」

頭が叫ぶ。

わらわらと集まる傭兵たちを見つつ次の予定を考える。

いや、考える必要も無いか。

「キース! 飯食ったら俺ちょっと出るわ多分帰ってこないから世話になった」

そう言い俺は混ぜていた男に近づき叩き返された銀貨を渡しよそってもらう。


男は何も言わず汚い眉を垂らすが、そのまま器を貰い目の前で飲み干す。

「人間入ってねぇよな? 新鮮な肉の味がするぞ」

そう言い俺はその場を後にする。




歩く方角は王都だ、今居るところは西の端、向かうは必然的に東だ。

さて、行きますかぁ







まぁ何も無く王都近郊までこれた、途中で山賊らしき集団の気配を感じるも出てこず、こちらから出向こうとすると逃げられた。

実につまらん、こっちは何日も人と話さず、話し相手が欲しかっただけなんだ。

そりゃ、跳躍した方が早いと思い、何度も跳ねながら移動した。

遠目から見ると魔物にも見えるだろう。

でも人型でなおかつおーい! と手を振り満面の笑みで山の中に入ったのにな。



でだ、王都にたどり着いたのは良い物の、王都に入るには厳重とは言わずとも入ってすぐに王子の行くへを知っている奴に会えるとも思えない。


使うときが来たか....この力を。

俺はそう思いボロボロになった短剣を掴んだ。


「我は、セバスチャン家の賓客である! この紋章を見よ!」

デカい声で城下で叫びながら歩く。

後ろから大量の兵士が付いてくるが止めようとしない。

持っている短剣の家紋は本物、王都に入るまではフリーパスだったが、王城までは立ち入らせて貰えなかった。

でだ、俺はそこで妙案を思いつく。

王都は大きくセバスチャン家を知っている貴族もいる筈だ、それを調べるために片っ端から貴族街を練り歩く。

しかし、何度も行ったり来たりを行うも皆窓を閉めたり遠目から様子を伺うだけだ。

趣向を変えてみようと思い門を守る門番に家を聞こうとするも無視をされ、目を逸らされる。

ついて来ている兵士も見ると首を振る。

うーん、あいつ嘘ついてたのか? いや、そもそも準男爵ならだれか知っている筈だろ?


そうこうしていると、やっと、大物が来たようで、大量の兵士を引き連れ男が歩いてきた。

前門の虎後門の狼とはこう言う事か、血を見ないで逃げられないし、まぁ逃げる必要も無い。


線の細さに、腰つき、肩幅それらを見ると女性のようだ、それから着ている鎧からして位が高いのが分かる。

「お嬢さん! 私はセバスチャン家の賓客故もてなしを願う!」

まぁ迷惑をかける分殺してほしい人か、欲しい城が有ったら綺麗にしてあげてあげよう。

そう思いつつ、走って近づく。


獣の速度で近づくと兵士たちが慌ててお嬢さんを守るため飛び出し剣を構える。

ギリギリ剣が触れるかどうかの所で止まりそのままこうべを垂れる。

「拙者の名は名無しの権兵衛と申す、先ほどセバスチャン家とつながりが有るような物言いをしましたが、何も彼らとは関係が無く、この短剣も闇市で売られていたもの故、罰するのであればこの私権平だけにしてくだされば....あと、宜しければここで言える事とも思われないのですが、勇者の行くへと言えば分かりますか?」

そう言うと、そのお嬢さんが手を上げる。

すると躍り出た兵士は後ろに引く。

「ははぁ! 有難うございます、着いて行けばよろしいですか? ええはい、着いて行きます」

彼女が後ろを向き、歩いて行くのを俺は着いていく。

暫く歩き、周りを囲まれるがそのまま歩く。

隣を歩いていた兵士に思い出したかのように短剣を渡す。

「これ返しといて」

そう言うと兵士はボロボロの短刀を鞘から抜き絶句する。

骨ごと断ち切った刃は歪に曲がり先端は折れ最後の方は鈍器として使ったのだろう、峰は堅い物を叩いた跡が多数有った。

「セバスチャン家の物って言ってたからさ、切れ味はもう無いけどまだ使えるよ」

そう言って肩をバンバンと叩き歩く。


城にたどり着くと城門が上がり道が開かれる。

「はぇぇぇ」

感嘆の声を上げ観察をする、まるでお上りさんだ。

足を止めず観察しついて行くとある一室の前で止まった。

お嬢さんが扉を開ける。

「いやぁどうも悪いね」

拝み手をしつつ中に入ると豪華なソファーと机が有り、メイドも待機していた。

上座に座り、ソファーに両手を伸ばしもたれ掛る。

「俺は冷コーでお願い いやぁ暑いねお絞り有る?」

するとメイドがハンカチを渡してくれた。

「濡れてる方が良いんだけどな」

そう言いながら顔をごしごしと拭く。

良い匂いがする所を見るともしかしたら彼女の私物かもしれない。

汚い汁も付いているかもしれないが、戦場の近くで川で水浴びしただけだ、川上から死体が流れてきたが、恐らく綺麗だ。


机をオットマンにしつつふんぞり返り煙草に火を付ける。

気が付くと、お嬢さんが扉の前で固まっていた。

「いやぁ、悪い悪い、育ちは悪くも無いんだけど、頭の病気でやりたくなったらやめられないんだよ」

そう言いつつ煙草の灰を灰皿に捨てる。

固まっていた彼女はそう言うと目の前の椅子に座りこちらを見る。

「こんなに暑いんだったらプレートアーマーもしんどいだろ? 見てるこっちが暑いわな」

そう言いながらメイドさんに相槌を打ってもらおうとするも無視される。


「ああ、そうだった、勇者、まぁユナ? とか言う女が行方不明になっただろ? でだ、俺は竹馬の友とは言い難いが、まぁそんなもんだ、向かった所の予想は着くが、もしかしたら違うかもしれない、一応の整合性を固めるためにお宅の王子に話を伺いたいんだが...ああ! 居なかったら場所だけで良いよ、俺から向かうし? そっちの方が早い」

そう言って熱々の紅茶をズズッと飲む。


口に含み紅茶を味わう。

すると、彼女が兜を外す。

「私がユナですが、貴方は....」

下を向き思い切り吹き出す。

ズボンがビシャビシャになるのにも構わず、立ち上がる。

「ヒョウちゃんにちょっと話す事出来たから帰るね!」

そう言い俺は扉に行こうとするも扉が開かない。

すると扉についていた小窓が開き男が顔を覗かせる。

「馬鹿め俺を忘れたか、兵右衛門から連絡済みだ」

顔を覗かせたのはあの荷物持ち糞! 退路を断たれた!


バックステップを行い肩から外に通じる小さな窓に飛び込もうとする。

しかしそれより早く剣が俺の胸を貫き頭と肩は外に出たものの剣がつっかえ壁尻状態になる。

「おおーい! 絶対殺す! そこの荷物持ちと兵右衛門! お前ら二人とも最後の日の光を楽しめ!」

じたばたしつつもがくも全く話にならない、そう言えば城壁は女神の加護で馬鹿みたいに固くなっているって言うのを思い出した。

投げナイフを取り出し首を掻っ切る。頭だけ有れば生き返れるはずだ。

ゴリゴリと切っている途中で中に凄まじい力で引き戻された。

それからの動きは速かった。

切っていたナイフを取り上げられ金属製のワイヤーで縛られる。


「我は暗黒騎士なり! この扱いは何たる事か! 剣で持って勝負を挑む!」

「ライリー...」

「でっすよね! まぁ居てよかったよ! 紅茶なんぼ? 姉ちゃん会計!」

そう言って立ち上がろうとするもワイヤーを引かれもう一度座りなおす。

「ユナ...」

「貴方が生きてて良かった...お母さんから貴方が生きてるって聞いた時....」

お母さん? お義母さん! 糞バカ親&兵右衛門!

「じゃあ俺がまともじゃないって事も聞いてるよな?」

そう言って目に魔力を流す。

眼窩を砕き膨れ上がる眼球。

俺の体七不思議の一つ良く見えるようになる目

相手の毛穴から皮膚に居る物絨毯にいるダニや、扉の裏で待ち構えている王子、絵画の裏に居る荷物持ちまで全て見える。

良く見えるどころか要らない物まで見える。

凄まじい情報量により鼻や耳からも血が出始める。


「これが人か? 糞王子と荷物持ち出てこい」

そう言って机を蹴り降り絵画と扉にぶつける。

絵画は破れ荷物持ちが転がり落ち剣士は割れた扉の隙間から中を見た後入って来た。

「メイドの姉ちゃん外に出とけ」

そう言い外に出そうと促すも外に出ない。

「あたしを忘れたの?」

そう言う声に聞き覚えが有った。

「イリナって言ったか? じゃあ魔法使いの男は何処だ?」

「エッカーは忠一と一緒に居る筈よ」

忠一...ああ、兵右衛門の事か。

「まてまて、俺見てないぞ」

「だって彼、専門は治療よ、今回の戦争でも味方の回復要員として向かったの」

見てねぇに決まってるだろボケ俺のボケ。

「じゃあ、勢ぞろいって訳か、なんだ、暗黒騎士ライリーを殺すか?」

そう言って殺気立つ。

いや、無理やり殺気立たせる。

肩が段々と震えてくる。

「だめだ! 堪えられねぇ!」

そう言って俺は笑い出した。

「何笑ってんだ!」

荷物持ちが言う。

「兵右衛門が言っていた事は本当の事だったんだ、彼女はお前を探しに」

次は剣士だ、イライラしてきた。

「へぇ、で、ヒョウちゃんから連絡が有って急いで帰ってきたって訳か?」

「っそうだ! お前をさが」

「じゃなくてだ、探す云々の前にお前はユナの事好きじゃないのか?」

そう言ってワイヤーをパンプアップさせ引きちぎる。

口から血を吐き出しながら、ぐしゃぐしゃに折れ曲がった煙草に火を付ける。

「ユナ、お前も言ってたよな? 剣士、いや、バルだか王子の事が好きだって」

そう言うと彼女は気まずい顔になる。

それを聞く王子は若干驚き口角が少し上がる。

「だろぉ? まぁ腹立つことは、バル、お前がしっかり彼女を掴んでないから俺が出張って探そうとしたのが発端だ、本当ならこれから俺とお前の冒険記に花を咲かせ見事勇者を見つけて俺はカッコよく去るって言うのが俺の考えた筋書きだ...まぁこんな簡単に見つかるって俺は考えてなかったけどな」

そう言って煙草を一呼吸ですべて吸いもう一本に煙草に火を付ける。

「若干話変わるが、お前それ禁制品の麻薬か?」

荷物持ちが言う。

「ちげえよ診断書もある! ずっとラリッてんだ、これでも色んな衝動抑えてんだ」

そう言い、吸い込む。

「でだ、これで晴れて結婚できるって訳だ何が問題が? 問題は俺の存在か? ユナ 答えろ!」

そう言うとユナは泣きそうになりながら答える。

「違う! バルの事は本当に愛している! 私が毎日教会で女神や、神官に戦闘を教えてもらっている時バルに何度も助けてもらった!」

「んで、好きになったと、バル! お前はどうだ? 好きなんだろ? 聞いてる限りずっと一緒に戦闘の訓練してたんだもんな」

「ああ、はじめは、謁見の間で会った時にひとめぼれした、それから彼女の事を助けたいと思い、一緒に訓練した」

「だろ? おい荷物持ち! お前ユナの事好きか?」

急に話を振られ荷物持ちが狼狽する。

「え? 何、俺? 俺はもうちょっと歳食ってるほう」

「よし、何が問題が有る? あとユナもし俺を見つけてどうするつもりだった? 何を言う、王子の事が好きです、だから私の事を諦めてください? なんだ俺がらりって戦闘させられてる時俺の愛するのは触手の君だけだった、まぁずっと俺が女役だったがな」

怒涛の俺の告白俺も恥ずかしい。

「よし、じゃあ結婚しろ愛しているなら結婚しろ」

そうして怒涛のこの話は幕を閉じ冒頭に戻る。











訳ねぇだろ

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きないんかい
[一言] 女勇者は結局何がしたいんだ。 祝福されたいのか、泣き言が言いたいのか、 まさか復縁したいとか言い出す訳でもあるまい。 顔が見たかった? 暗黒ちゃんには効きのいいショック療法かもしれんけど、…
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