お勉強は
「それでは、お嬢様、今日のお勉強は王国についてです。食べ終わったら、いつもの勉強部屋で先生がいますから、行ってくださいね」
焼きたてのパンをちぎって、食べようとした時、アイサがメイド服のポケットから手帳を出し、開いて説明してくれた。
「今、食べる時に言わないでよ。私、それ、苦手なんだよ。それ聞くだけで、なんか落ち込むよ」
頰を膨らませた。
「お嬢様、これは立派な淑女になるためにも必要な学びです。それに、少しでも苦手な分野があっては主人様のようになれませんよ。お母様のようになりたいのですよね」
最後の言葉には暖かさが感じられ、私は
「ハァイ、分かりました」
そう言って、スプーンでスープを口に運んだ。口の中に優しいスープの味が広がり、私は嫌な気持ちを忘れて、笑顔になった。
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「はい、今日の授業はここまで、次は魔法についてじゃ」
私は教科書を閉じ、木製の椅子から立ち上がり
「ありがとうございます」
元気よく挨拶をした。
「ああ、いい返事じゃ。お嬢様は賢いからな。教えがいがありますよ」
そう言って、先生は自分の体を覆い尽くすぐらいもっさりしている白い髭を触った。
「えへへ、そう言ってくれて、嬉しいです」
私は笑って、そう答えると先生は台から降りて、私の頭を撫でてくれた。同じ身長でやりづらそうだけど、先生はよく撫でてくれた。
「いやいや、本当の事じゃよ。お嬢様はよく頑張っているよ」
先生、私と同じ身長のお爺さん、ドワーフのヴォルハ先生はそう言ってくれた。
「それじゃあ、そろそろ、お嬢様のお母様も帰ってくる頃合いじゃから、お迎えに行きますか」
ヴォルハ先生はそう言って、部屋の扉を開けてくれた。
「お嬢様は先に行っていてください。儂も片付け終わったら、早く行きますから」
私は頷いて、服の裾を上げ、ヴォルハ先生に上品に礼をすると、走り出していた。
城の入り口、玄関ホールに向かってる、お母様が帰ってくる場所に向けて。