朝の出来事
「おはようございます。お嬢様」
目を開けると私の寝たいな天蓋付きのベッドの横で礼儀正しくお辞儀しながら言う侍女が立っていた。窓から太陽の光が差して、彼女の顔を輝かせる。
「おはようございます。アイサ」
ベッドから上半身を起きながら、挨拶をすると侍女は透明な手を叩いて、
「良い挨拶です。お嬢様は将来、立派な淑女決定です」
ガラスの透明の顔に彫り込んでいる目や鼻、口は全く動くことは無い、無表情だが、侍女が喜んでいる。だって、ずっと一緒にいたのだから。
「えへへ、そうだったら、嬉しいな。私もお母様みたいになりたいから」
アイサは頷いて、きっとなれますよと言ってくれた。
お母様はいつも美しくて凛としていて、自慢のお母様だ。
「ねぇ、アイサ? 今日お母様が帰ってくるだよね?」
私はアイサに訊ねるとはいと答えた。
「主人様は午後には帰ってくるらしいので遅くはなりますがお昼は一緒に食べれますよ」
その言葉に自然と笑みを浮かべた。
「本当!? やったぁー!」
ベッドから体を起こして、フカフカのベッドの上を飛び跳ねた。
だって、大好きお母様と一緒に入れるだけでなく、一緒にお昼を食べれるのだから。
ぴょん、ぴょん、飛び跳ねているとアイサが近づき、ぴょんと飛び跳ねた私を両手に捕まえ、抱き上げた。硬い体だけど、いつも暖かさが感じられる。
「お嬢様、嬉しいのは分かりますが、ベッドで飛び跳ねてはいけません」
声を少し硬くしたアイサの声は私を叱り付ける声だった。
「ごめんなさい。でも、嬉しくて、体が勝手に動いたの」
顔を上げて、アイサの顔を下から見上げるとアイサは何故か、うっ、と言って、咳払いをした後、
「私もお嬢様が嬉しいのは伝わりましたし、お嬢様の幸せが私達の幸せなのです。ですが、例え、ベットとは言え、危険なので飛び跳ねてはいけません。分かりましたか?」
私は顔を下に俯きながら頷き、気をつけますと言った。アイサはフッと息を吐いて、
「分かったのなら、良いのです。お嬢様、元気を出してください。今日はお嬢様の大好きなジャガイモの冷製スープが朝食に出ますよ」
「えっ、本当! やったぁー」
私はアイサの腕に抱えながら、両手を上げて、喜んだ。今日は良いことは尽くめだ。
「だから、着替えて、朝食を食べに行きましょう」
そう言って、アイサは私を下ろして、洋服棚からワンピースを出してくれた。
ピンクと黄色の花の模様とフリルがいっぱい付いているワンピースで私のお気に入り。
そのお気に入りのワンピースに着替えるとアイサが私を膝に乗せて、髪をツインテールにしてくれた。これも、お気に入りの髪型で、私は気分良くアイサの手を握りながら、寝室を出た。