56.告白の決心
年末年始はみんな忙しかったり、帰省したりで会わなかった。
私も例年通り仕事だったしね。
年始にバレーで会った時には、緑川さんが少し大人しくなってた。拓真くんや晴臣くんたちが色々と注意してくれたみたい。
まぁ、誰にだって間違いはあるよね。あの時はお酒が入ってたし、なおさら。
私も人のことは言えないし、謝ってくれた緑川さんを許してあげた。次はないからと、一応脅しておいたけどね。
「ミジュちゃん、ちょっとおいで」
オカシな国対おじさま〜ずの後は、いつも混合での試合が行われる。その時に外れたメンバーが、私のへなちょこバレーの練習に付き合ってくれることになってた。
今日の相手は初恋の君、三島さん。
でも三島さんは練習する様子はなく、ボールをタンタンと床に突きながら話し掛けてくる。
「この前、芳佳に聞いたよ」
「え? なにをですか?」
「ミジュちゃんって、タクマのことが好きなんだって?」
ふぁ?!! ちょっとよしちゃん、なんで言っちゃうのーーーー!!
「きゃーー、それは、その……ッ」
「ミジュちゃんはかわいいなぁ〜。あ、芳佳の方がもちろんかわいいけどね!」
そうでしょうとも。そのとろけるような笑顔を見てればわかります!
「い、言わないでくださいね、お願いですから……!」
「ああ、言わないけどさ。ヒロヤがクリスマスの日のこと教えてくれたんだけど、晴臣はミジュちゃんのことが好きなんだって?」
「えーと……はい、そうみたいです……」
「おお、すごい。ドラマみたいな三角関係だなぁ。タクマに好きな人がいるのかはわからないけど」
ちょっと三島さん、楽しんでない?
「芳佳がミジュちゃんの手助けしてやれって言うんだけどさ。なにかしてほしいことってある?」
「もう、よしちゃんってば……いえ、特にないです」
「そっか。まぁなにかあったら、うちに話しにおいで。芳佳も相談してもらえると喜ぶ奴だから」
「ありがとうございます!」
三島さんとよしちゃん……特によしちゃんは、私のことを気に掛けてくれてるみたい。
早く、いい報告ができればいいんだけどな。
「告白はいつするの?」
「ええっ! 告白とか、まだ考えてなくて……もっと仲良くなってからって、ずっと思ってるんですけど」
「来月にいいイベントがあるでしょ。頑張ってみたら?」
なんだか三島さんがけしかけてくる。
来月……あ、二月はバレンタインデーがあるんだ。もう何年も参加してないから、すっかり忘れてた。
バレンタインに、告白……で、できるかな……
「うわぁ、どうしよう。今から緊張しちゃう!」
「上手くいくように祈っとくよ、頑張って」
告白とか、具体的にいつしようとか考えてなかったけど……。
こうやって、具体的な期限を付けた方がいいのかもしれない。
ズルズルずっと好きでいて、そのまま離れて終わっちゃったりすることもあるもんね……今目の前にいる人に、私はそうだった。
告白しておけばよかったなぁって、何度も思ったっけ。
告白。
私、生まれてこのかた、誰にも告白したことなんてないんだけど。
一生に一度くらいは、勇気を振り絞って告白してもいいかもしれない。
多分……多分だけど、拓真くんも私のことを気にしてる……気がするから。
気のせいかも、しれないけど。
私はこの日、拓真くんに告白することを決めた。




