表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い出の夏祭り 〜君が私の気持ちに気づくまで〜  作者: 長岡更紗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/80

51.撮影

 招待客がいなくなったところで、私たちはよしちゃんに近付いた。


「よしちゃん!」

「園田! 来てくれてありがとう! ほんっとビビっちゃったよ!」


 うわぁあ、今日のよしちゃんの笑顔はとびっきり!!

 やってよかったなぁ、私も幸せ!!


「拓真くんもありがとうね。雄大もすごく驚いてたよ」

「ならやった甲斐がありました」

「ありがとな、タクマ。ミジュちゃんも!」

「いえいえ。喜んでもらえて、私も嬉しいです! ねぇよしちゃん、私と写真撮ってもらっていい?」

「もちろんいいよ。撮ろ撮ろ!」


 私が素早くよしちゃんの隣に行くと、拓真くんがいっぱい写真を撮ってくれた。ふぁー、満足!


「ありがとう、よしちゃん! 疲れてるだろうのに、ごめんね」

「大丈夫だよ。あ、そうだ。園田、ちょっと待ってて」


 そう言うと、よしちゃんは急いで披露宴会場に戻っていく。と言っても、重いドレスに高いヒールを履いているから、いつも歩くよしちゃんのスピードよりも遅かったけど。

 少しして戻ってきたよしちゃんの手には、綺麗なブーケが。


「これ、私持って帰るつもりでブーケトスしてなかったんだけど……園田にあげる」

「え……ええ?!」


 カサブランカの白くて滝のように流れるブーケ。キャスケードブーケっていうんだっけ。すごく素敵。

 トスをせずに持って帰るって気持ち、わかるよ。なのに、私なんかにくれるとか……だ、ダメでしょ!!


「芳佳、持って帰って新居に飾るって言ってたのに……いいのか?」

「私、これをどうしても園田に持って帰ってほしいんだ。雄大はいい? 花言葉でこれに決めたけど、園田にあげちゃっても」

「俺はいいよ。元々人にあげるもんだと思ってたし」


 えええ……い、いいの?? どうしよう、嬉しい……っ


「はい、園田、受け取って。次は園田が結婚できるように」

「うわあぁ、ありがとうよしちゃん! どうしよう、嬉しくて泣けてきちゃう〜っ」

「ただのブーケで泣かないの。泣くのは結婚式までとっておきなさい!」

「そんなの、一生泣けないかもしれないじゃない!」

「だいじょーぶ。結婚できるよ、園田も」


 ほ、ほんとかなぁ? 結婚、できればいいけど……。

 綺麗なブーケ。私もいつか、ブーケを誰かにあげられるのかな。


「あ、ねぇ、カサブランカの花言葉って?」


 さっきのよしちゃんの言葉が気になって聞いてみる。

 すると二人は顔を見合わせてから、照れ臭そうに教えてくれた。


「色々あるんだけどね。純粋とか無垢とか、祝福とか。その中で一番気に入ったのは……雄大な愛、かな」

「あ、三島さんの名前……っ」

「園田も、雄大な愛に包まれますように……って、園田はこの雄大じゃないからね?!」

「わ、わかってるよ! よしちゃんの場合は雄大な愛じゃなくって、雄大()愛でしょ!」


 よしちゃんは夫となった人の腕を取って、あははと楽しそうに笑ってる。三島さんのよしちゃんを見る目が優しくってもう……。

 ああ、嬉し過ぎて泣けてきちゃうよ。よかった……よかったねぇ、よしちゃん。


「ふふ、園田もブーケ似合ってるじゃない」

「ありがとう」

「写真撮ってあげるよ。拓真くん、カメラ貸して」

「俺が撮りますけど?」

「拓真くんは園田と一緒に入ってあげてよ。一人で撮るのも寂しいでしょ」


 そう言いながら、よしちゃんは私にそっとウインクしてくれた。

 よ、よしちゃーーん! ありがとうううう!


「じゃあ俺が撮るから芳佳も入ったら?」

「雄大は黙ってて。いいの、私が撮るんだから」


 頭にはてなマークを浮かべる三島さんを制して、よしちゃんは拓真くんの持ってたカメラを奪っていく。

 わあ、どうしよ……ドキドキしちゃう。


「ほら、もっと寄って寄って」


 私がチラリと拓真くんを見上げると、拓真くんも同じように私を見て、一歩近付いてくれた。


「うーん、まだ違うなぁ。雄大、私達が写真撮った時って、どんな風に立ってたっけ?」

「えーと、確かもうちょっとお互いに体を向けて……こうかな」


 三島さんが拓真くんの足を、横じゃなくて少し縦になるようにした。私も三島さんの指示通り、少し内側を向く。


「園田、ブーケはもうちょっと下の方で持つの。そうそう。じゃ、こっち見て笑って」


 い、いきなり笑ってって言われても……、む、無理!


「園田、顔が引き攣ってるよ」

「だ、だってー!」

「ほら、拓真くんも笑顔ー!」

「うーん、ミジュが吹っ飛んだ時のことでも思い出すかなー」

「ちょっと、拓真くん!」

「ハハッ」

「も、もう〜」


 そう言いながら、私もクスクス笑っちゃった。

 その間に、よしちゃんがいっぱい写真を撮ってくれてる。


「よし、これだけ撮れば、一枚くらいはいいのがあるでしょ」

「ありがとうよしちゃん!」


 カメラを受け取って、大事に抱える。ううー、嬉しいよ……拓真くんと二人の写真。それも、スーツ姿とパーティドレス姿。さらにはブーケまで!

 印刷して、部屋に飾っておこう。

 私たちはよしちゃんと三島さんにお礼を言って、拓真くんと一緒に家へ帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ