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思い出の夏祭り 〜君が私の気持ちに気づくまで〜  作者: 長岡更紗


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13/80

13.仲間

 食事が終わると、午後の部が始まった。

 と言っても、午前の方に試合を多く入れてたみたいで、昼食は一時からだったし、今はもう二時になってる。


 ご飯を食べて元気いっぱいかと思いきや、オカシな国チームは午前と比べて動きにキレがない。

 あっという間にポロっと負けてしまった。


「あいつら、ご飯食べ過ぎよ……バカじゃないの!? まったく、三島さんや平さんまで食べ過ぎちゃってー!」


 結衣ちゃんはご立腹。でも、どれを食べてもあんなに美味しいんだもん。食べ過ぎちゃうのは仕方ないと思う。

 かく言う私も、お腹が破裂しそうなくらいに食べちゃった。


 そして最後の試合はどうにかこうにか勝ってた。成績は、五戦三勝かな。

 すべての試合が終わって、表彰式が行われる。

 マイクを持ったおじさんが、優勝チームの発表をした。


「優勝は五戦全勝した、『バリバリアクセル』チームです!!」


 おおおお、と喜ぶ声が体育館に響く。五戦全勝ってすごい。昼食直後に、拓真くん達がポロっと負けたチームだ。


「続いて、準優勝──」


 ど、どうだろう……三勝だから、厳しいかな……。


「三勝したチームが、二チームありました! 『オカシな国』チームと、『おじさま〜ず』チーム! セットカウントは共に七対七! しかし、得失点差で……」


 ど、どっち!?


「『おじさま〜ず』チームの勝ちです!!」


 わああああ、と盛り上がる会場。

 ああ……負けちゃった。すごく残念。

 でもオカシな国のメンバーは、くそーと言いつつ楽しそうに笑ってた。

 本当に悔しそうだったのは、結衣ちゃんの方。


「ちょっと、お昼にあんなに食べ過ぎなきゃ、午後イチの試合であんなにボロ負けしなかったんじゃない? そしたら得失点差で負けなかったかもしれないのに!」


 結衣ちゃんがそうプリプリ怒っても、みんなは苦笑いしてるだけだった。

 体育館の片付けを手伝って外に出ると、もう夕方の五時になってる。本当にバレーの試合を観るだけで一日終わっちゃった。


「今日はバレーの練習はあるの?」

「今日は日曜だからナシ。あってもさすがにやらねーって」


 結衣ちゃんの質問に、拓真くんが口を引きつらせながら答えてる。


「じゃ、解散?」

「どーすっか。反省会という名の打ち上げでもするか?」

「おー、いいねー」

「金ねーし、買い物して晴臣の家に行こうぜ」


 大きな男の子と男の人たちが、わいわいとスーパーの方に向かって歩き始めた。

 私はもうお(いとま)した方がいいよね?

 なにも言わずにそっと抜けるのも悪いから、「じゃあ私はこれで」と小さな声で邪魔にならないように言って抜けようとしたんだけど、結衣ちゃんがそれに気付いてくれた。


「え、園田さん、帰っちゃうんですか?」

「あ、うん。私は部外者だし……」

「そんなことないですよ! オカシな国を応援する、仲間じゃないですか!」


 仲間。

 結衣ちゃんの言葉に、なんだかジンとくる。看護師以外での仲間って、思えば私……初めてかも。


「で、でも……なんか悪いよ」

「悪くなんかないっすよー!」

「よかったら園田さんもどうぞ」

「キレイなお姉さまなら、大歓迎だぜー!」


 晴臣くん、一ノ瀬くん、ヒロヤくんたち学生が誘ってくれた。

 行っても……いいのかな?

 どうしようかとチラリと拓真くんの顔を確認してしまう。


「来てよ、園田さん」


 はい、行きます!!

 もうもう、その笑顔反則だよぉ!! 断れるわけないじゃない!!


「じゃ、じゃあ、お邪魔させてもらうね」

「よっしゃーー!!」

「うおおおお、やったー!」


 な、なんでかわからないけど、晴臣くんとヒロヤくんがテンション高く喜んでる。ヒロヤくんはキレイなお姉さまって言ってくれたし、こんなに喜んでくれるのはちょっと嬉しいかも。

 拓真くんも……ちょっとは喜んでくれたかな? 鬱陶しい監視役が来たって思われてなければいいんだけど……。


「晩飯なに作っか?」

「全員で買い物行く必要ねーだろ。半分は先に晴臣ん家行っとこうぜ」

「ああ、俺は買い物についてくよ。お前ら未成年じゃ、酒は買えないだろ」

「タクマがいれば、疑われずに買えそうだけどな!」

「うっせー、どうせ老け顔だっての!」


 みんながどっと笑ってドキドキしたけど、拓真くんは気にした様子もなく一緒に笑っていてホッとする。

 結局、三島さんと結衣ちゃん、それにヒロヤくんと一ノ瀬くんが買い物。

 私は拓真くんと緑川さん、平さんと家の主の晴臣くんで先に部屋に行って、待っていることになった。


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