表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

おじさんに死神説があるようです

「アハハハハハハ! 何すかそれ? ケッちゃん、私を笑い死にさせる気ですか?

 通勤初日に部下に逃げられて、それでその原因がやっぱりケッちゃんにあるかもって‥‥ プックスクス。 ね? ケッちゃん? ねぇ? どう落とし前付けるんっすか?」


(*≧m≦)プークスクス。 (^ω^#)ピキピキ。 


「ケッちゃん顔真っ赤! 分かり易ーいっす! ホント、ウケるんですけどー!」


ケーニスは、やり場のない怒りに打ち震えていた。

流れで、魔人の少女に当たり散らす選択肢もあったが、そんな方法を選べる魔人ならケーニスはもう少し楽な生き方が出来ていたと思う。

そんな生き方が出来ないからこそ、裏で多少の人気があったみたいなのだが、そんな事実はケーニスのあずかり知らなぬ場所でキッチリっと握り潰されており、ケーニス自身が知る事は無かった。


レグノーゼは薄っすらと事情を知る人物であったのだが、彼女自身が想定していた内容よりズレた今回の出来事に、最早笑う事しかできなかったのである。


傍らでは、事情を話し終えた魔人の少女が、汗でぐっしょりと濡れた額を拭う事無く成り行きに身を任せる。少女は身に迫る終わりを感じ取ってか、先程よりは力が抜けており、落ち着いた様子だった。

しかし、覆らないであろう裁定を待つ表情はどこか重く、崩れる事は無った。


ケーニスは、そんな少女の姿を眺めこれからの事を思う。




「はぁ~」


重いため息は、遣る瀬無く空へと掻き消えて行った。







―――出だしから長々と‥‥‥ 失礼。


初っ端、レグノーゼの馬鹿笑いに始まり、僕の取り乱す姿。

幼気な魔人の少女を慰めず放置する行い。

大変にお見苦しい。


本当に申し訳なく思う。


でも、僕も甚だ遺憾ではあるのだが…… 

今回の件、レグノーゼが言う様に、どうやら僕にも一因がある様です。


何処から話していいものか、僕には悪い噂がる。

皆さんも見当はついていると思うが…… 僕の友達が少ない理由。

まさか、ここでも謎の怪異現象に足元をすくわれるとは思っていなかった訳で……



てか、おかしくないですか?

あくまでも噂ですよ? 噂!

それを真に受けて、誇り高き魔軍の一員が、職務を放棄して逃げだしたんです。


そんな事したら、場合によっては死罪です。

確かに僕と友好を深めた方の中に死んだ者もいますが、魔界の、それも軍の中での話しです。

戦場に死は付きもの。 何を恐れる必要があるのか? 噂に踊らされて死罪とか、本末転倒もいいところではないでしょうか?


どうやら人間界の魔族は弛んでる様です。




重ねて申し上げますが、遺憾である。


遺憾ではあるのだが、怪異現象は実際に起きている事実です。

名誉の戦死ならともかく、意味もなく消えて逝くのは誰だって嫌だろう…… と、思います。

理不尽な死など誰も望んでいないのですから。


前置きはいいとして、噂が流れて来たそうです。 人間界まで……




『死神のケーニス』。 言われるとちょっと恥ずかしい二つ名まである様です。


曰く、話しかけると殺される。

曰く、握手すると殺される。

曰く、食事をすると殺される。

曰く、遊びに誘うと殺される。

//// 省略 ////

曰く、仲良くすると殺される。

曰く、同じ部屋に長時間いると殺される。

曰く、やはり時間は関係なく同室にいると殺される。

曰く、殺される。 殺されるったら殺される。

生存者は語る。『惨たらしく凄惨に殺される』と。


要約すると、怪異現象に殺されるらしい。

何とも恐ろしい能力である。

何故『死ぬ』ではなく『殺される』なのか?何故生存者がいるのか?分らない部分あるが、何時からそんな能力に目覚めたのか…… 僕にはそんな特殊技能を所有していたらしい。


勿論、そんな強そうな力が実際にある訳ないんだけどね。 有ったら苦労はしないのです。



と、まあ、そんなふざけた噂話を信じた馬鹿共がいたわけで…… 突っ込みどころ満載です。

ですが、魔人の少女は涙ながらに語ってくれました。


これが真実だと。


そう、真実。

魔界では在りえないのですが、人間界には在りうるらしいです。

それを可能にするが、人が神より授かった贈り物『ギフト』である。


僕が大嫌いな勇者も『ギフト』の一つ。 それは、理不尽極まりない魔族への対抗手段である様です。

魔族に『魔人』と言う階級システムが在る様に、人間には『ギフト』というトンでもシステムが存在しているのです。


だからこそ魔軍は人間界側を警戒し、ある時は侵略して根絶やす方策に出ると勇者に返り討ちされ、ある時は侵攻を掛けて来た人間達を魔人総出で潰した経緯があります。それは一進一退であり、長く続く歴史でもありました。


しかし、ゲーティアの悪夢以降、話は変わった。


勇者の電撃的な作戦により、殺された事になっている前代魔王。

その圧倒的な力の差を前に、魔軍上層部は上位魔人の人間界完全撤退を決定したのです。


と、僕ものその辺は知っていましたが、その後、残された下位魔人達は人間の持つスキルと戦いながらも翻弄され、細々と生きてきた経緯があったそうです。


だからこそ、噂話を信じたらしいのですが…… 僕は魔人な訳で。


確かにルーツはハーフホビット。

憎き人間の血が入ってるけど、『ギフト』なんて持っていない。

誇り高き『魔人』が、そんなふざけた力に頼るものか! 

有ったら有ったで少しうれしいかもだけど、そんな物は存在しないのです。




はぁ~。 ホント、どうしたものですかね…… 


とりあえず、勤務先にでも足を向けてみますか。(;´д`)トホホ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ