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おじさんは部下に恵まれていないようです

リュミスが魔界で大暴れする少し前。

まだケーニスが人間界に向けて出立する準備を整えていた時の事……





「何で僕が、自ら準備をしているんですかね……」


ケーニスは器用に作業の手を止める事無く、どこか遠い目をして愚痴を漏らした。


ケーニス自身、最近愚痴っぽくて駄目だと感じてはいるのだが、目の前のぐうたら娘には少し思うところがあるので嫌味ったらしく聞こえる様に口にしたのだ。


「それはケッちゃんの転勤の準備ですし。 仕方ない事だと思うっす! パリポリ」


まるで敬意を感じない片手間の返事。

聞き慣れた言葉遣い。

主人を前にしても変える気が無いふざけた態度。


てか、スナック菓子食って寛いでるし……

ソファーに寝そべって何やら書物を読んでるし……


あれれ、おっかしいぞ?

何で雇用者の僕が働いて、被雇用者が休んでいるんですかね…… 立ち位置おかしくない?


決して口にする事は無い、いつもの不満にケーニスは頭を痛めた。


そうこうしてる内に、ぐうたら娘はスナック菓子で汚れた指を貸し与えているメイド服で拭う始末である。



だらしない。


いつもの事なのだが…… 本当にコイツは女の子なのだろうか?

周りの女性陣が女の子女の子してるから、こいつを見ると嫌悪感が半端ない……


失礼! 言い過ぎた。セクハラだったね。口にしてないからセーフだよね?



「ケッちゃん! セクハラは良くないっすよ! まーじ引くわー!」



……え?

うっそだろ? お前…… 心読めるの?



期待していた訳ではないが、返事は帰ってこなかった。

どうやらケーニスが、執拗に彼女を見詰めていた事をセクハラだと言いたいらしい。 しかもドヤ顔で……



少しイラッとした心を落ち着け、ケーニスは大人の対応をする事にした。

というか出立の準備を急ぎたい。

ケーニスはその一心で心を無にし、作業に集中した。




それはケーニスにとってありふれた部下とのやり取り。

いつもの光景。

いつもの勤務時間内における雇用者と労働者の関係であった。(´;ω;`)ブワ





皆さんは、何でそんな奴雇ってんの?って思うかもしれない。


ホントになんでだろ……





それは簡単♡


圧力です。 上からの圧力です。

大事な事なので2回言ってしまいました。仕方のない事なのです。



何処から? そりゃーもう1等級魔人リュミス様から、直々に。

派閥入りを断ったのが不味かったのか、あの時はホントに怖かった。


普段はお馬鹿で愛くるしい幼馴染なんだけど…… キレるとヤバい。

断った瞬間に壁ドンされたんだけど、ドン!された壁が無くなっていました。

僕の背後が綺麗さっぱり更地になってましたよ。


僕、その時のあまりの恐怖で尻もちついたので覚えてます。




何も言えなかった僕に出された譲歩案が、彼女を部下として受け入れる事でした。


彼女…… それが、2等級魔人 ラ・レグノーゼ女史殿。

何で同等級を寄こしたのか…… 僕、3等級にも舐められてるのにね。

扱えるわけないよね…… (´;ω;`)ブワ


しかも何故だろ…… 偶然、それまで僕には部下がいなくて……

2等級魔人なのにね、部下いなかったんですよ…… おかしいですよね?


何人か内定者はいたんですよ。

でも、その後みんな辞退するんです。

辞退された方の中に、一人事故にあわれて生還された方がいて、お見舞いに行ったんですよ…… すると……

絶対安静の方なの筈なのに、急に立ち上がって土下座してきたんです。

今回の内定を取り消して下さいって…… 原形を留めていない変形した顔を地面に擦り付けてですよ……

そこまでするのかと、正直へこみましたよ……


そんな訳で部下がいなくて、断るに断れなかったんですよ。



で、来たのが…… いらっしゃったのがこのぐうたら娘。

ラ・レグノーゼ女史殿その人でした。


このぐうたら…もとい、女史殿はリュミス様以外にはずっとこんな態度で、ホント酷いんです。

でも、裏では仕事をしてるみたいで、知らない内に仕事が減ってたり、部屋とか何時も綺麗だし…… 普段からそうしてくれれば…… 何というか気分屋さんで、僕の前では働きたくないらしいです。はい。


彼女のスペックは申し分ない筈なんですが…… ホント扱いにくい。


容姿はそこそこ。僕の周りの女子達のレベルが高いから霞んでるだけで、そこそこ美人さんです。

と言うか垢抜けてないだけで、素材はいいと思います…… 失礼、セクハラ発言ですね。


と、まあそんな方と二人で、僕は今まで頑張て来た訳で。



しかし、それももうすぐ終わる!

僕はこれから人間界に転勤するのだから!


解放の時は近い様です。






ケーニスのもとにリュミスから手紙が届いたのはそれから直ぐの事でした。

内容は……




「ケッちゃん! これからもよろしくっす♡」


恐ろしい言葉と不釣り合いの笑顔に、ケーニスは心が砕けていくのを感じていた。


放心状態のケーニスを客車の放り込むと、レグノーゼは馬を走らせた。

これから向かうのは魔都。そこで王と謁見して後に、ケーニスは人間界へと向かう事になる。

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