臨月
ジオとシーファが結婚して数か月、アリスが臨月を迎えた
いつ産まれてもおかしくなく、僕はつきっきりだ
「 今ね? 婚約シーズンなのか、団員達が指輪を買いに来るんだよ 」
「 まぁ! それはめでたいですね 」ニコッ
「 ジオ様様だよね 」
「 やっぱりこの王都に住む人ですか? 」
「 そうだね冒険者だったり、王都の住人だったりと色々だけどね 」
「 やっぱり団員達は出て行くのでしょうか? 」
「 そうだね、家を探してる人も居たよ 」
「 家見つかるといいで 」ジンジン
( アリスの様子がおかしい )
「 陣痛でも始まった? 」
「 分かりません… 少し痛かったですが大丈夫です 」
僕は不安になって、団員の誰かに女医さんを呼ばしに走らせた
「 アリス大事を取って、タオルを敷いておこうか 」
「 心配症ですね いいですよ 」
防水シートを敷いて、タオルを何枚か重ねて置く
そして一緒に寝転がって、アリスのお腹を撫でた
「 大きくなったね もう産まれて大丈夫だから出ておいで 」
「 クスクス 」
3時間後に女医さんが、部屋に入ってきた
「 遅くないですか? 」
女医「 初産だから大丈夫です 少し診察をしますね 」
僕はベットから離れて女医さんと交代する
女医「 子宮口少し開いてますね もう直ぐ破水すると思います 」
「 無事産まれて来てくれるでしょうか… 」
女医「 私は何度も産婆の経験がありますが
焦らずじっくりですよ 」
その後中々産まれなくて、アリスに食事をさせたり
腰が痛そうなので、温めながらもんであげたりして世話を続けた
次の日の10月1日明け方、陣痛の感覚が短くなり
アリスが痛みで、不安そうだ
「 無事産まれるのを信じて下さい 」
「 死なないでね 」
「 死にません 生きて産みます! 」
この世界は医療技術が遅れている、へたをしたら…
僕は不安で涙が浮かんでくる
必死に腰をもんであげる。
( 出血多量になってしまったら、輸血出来ない… 父上… )
「 はぁはぁ 出て来ました 」
「 !? 」
女医「 少し見ますね うーん 頭が出て来てますね いきんで下さい 」
「 アリス頑張って! 」
アリスが頑張ってる、手を握り心の中で応援する
女医さんが、何かをしているのを横目に、頭を撫でる
女医「 もう少しですよ 頑張って下さい 」
「 はっはっはっ 」
「 おぎゃぁ~ おぎゃぁ~ 」
女医「 産まれました 元気な男の子です! 」
僕は感動で涙が流れてアリスに感謝の言葉を言う
女医さんはへその緒を切って
僕の子を産湯に入れている
それをアリスと二人で待つと
綺麗になった息子をアリスの腕の中に寝かせた
知識では確か胎盤を出さないと駄目だったな…
『 マイマスター おめでとうございます! 』
( ユリウス有難う! )
無事胎盤も取れ、異常もなく女医さんは
又明日来ると言って帰って行った
「 アリスお疲れ様 有難う 」
「 無事産めました 名前は何にするのです? 」
「 男の子だから アシェル 叶 アシェルだ 」
「 アシェル どんな意味が? 」
「 幸せな者と言う意味さ 」
「 良い名前ですね 今日からパパですね 」ニコニコ
「 君はママだよ さぁミルクを飲ませてあげなよ 」
「 はい 」ニッコリ
その後は家族団欒をして、ゆっくり寝た