アミュレット
突如出現した悪魔をユドラ・グシルの人間はデモーネと呼び、デモーネの対策を各国は優先的に行っていた。
ユドラ・グシルが崩壊してバルクレアは対デモーネ用の集団アミュレットを結成した。
ちなみにバルクレアの避難民は唯一デモーネの侵攻を食い止めた東の浮遊島スカイディナビアに避難した。
そしてデモーネの侵攻によりバルクレアの騎士団サーヴァントは壊滅し、サーヴァントの多くがアミュレットに入団する事となった。
だがバルクレアはもう一つ重要な物を失ったのだ。
それは王だ。
デモーネの侵攻により王城も壊滅した為、バルクレア国王、サルガス・アルデバランは死んだ。
息子のガルザー・アルデバランはいるが、軍を指揮する時に役立つことは難しい。
このような事からバルクレアは危機に瀕していた。
場所は変わり、浮遊島スカイディナビアの訓練施設。
この日はデモーネ殲滅組織アミュレットの初陣の日だった。
「これより、バルクレア奪還任務の内容を説明する」
アミュレットの団長ライデン・ディオニソスが任務内容を説明した。
「今回、奪還するのは王都ニラカグアだ、城には恐らく大量のデモーネ達がいるだろうが、ここに集まったのは優秀な者のみだ、お前達の力を信じろ!」
こうして、アミュレットの少数精鋭による王都ニラカグアの奪還が始まった。
(ようやく、デモーネを殲滅させる事ができる・・・アレス、あなたを必ず見つける!)
そう胸に誓った海のように澄んだ髪色が特徴の少女、アイリスは腰に剣を下げ、アミュレット兵長として、思い人を探す少女として浮遊島スカイディナビアを出た。
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「ん?あれは・・・」
未だに南のティルナーグに滞在にしているアレスとリヴィエは魔法で浮遊し、王都目指して駆けるアミュレットの姿をリヴィエは捉えた。
「アレス、人間達が王都に向かった」
部屋で剣の手入れをしているアレスに言うとアレスは剣から目を離さず、答えた。
「王都はかなり奴らがいたよな、大丈夫なのか?」
王都にデモーネが多い理由は、食物が集まりやすいからだ。
デモーネは人間と同じくエネルギー補給の為に休憩する。
そしてそのエネルギーは命あるものなら味方以外何でも食うのだ。
「大丈夫でしょ、少なくとも戦力のある人間だけが行ってるはずだし」
「あと、あの子が早く目覚めてくれると良いんだが」
剣の手入れを止め、奥のベッドに眠っている少女の方を見た。
「記憶改竄の魔法は使った?」
「あぁ、俺の天使の姿を見られると場合によってはまずいからな、そこは消しておいたよ」
アレスがそう言っていると、一階の扉ではなく屋上の扉の魔法障壁が消え、ネイレスが帰ってきた。
「おう、ネイレス帰ってきたか」
アレスの義妹ネイレスは外から狩ってきた動物を持ってきたのだ。
「ただいま、お兄ちゃん・・・何でリヴィエさんがいるのかなぁ?」
いつものように無邪気な表情だがこの笑顔は怒っている、完全に。
「別に私は暇だったから来ただけよ!」
「ほんとに?私が居ない隙にお兄ちゃんに接近しようとしてたんじゃないの?」
ネイレスが目を細め、リヴィエの顔を覗く。
「だ、だから!私はそんなんじゃ・・・!」
と、奥で眠っていた少女が目を覚まし、体をムクッと立てた。
「・・・・」
まだ目が覚めてないのか、その少女は半分開いた目で辺りを見回した。
「起きたか、大丈夫か?」
アレスは手入れしていた剣を置き、その少女に近づいていった。
「ここは・・・・」
「俺の家だ、周りに村もないのに君がいたからここまで連れて来たんだよ」
アレスが解説するとその少女はまた辺りを見回した。
「・・じゃあ、あなたがあの時の天使?」
「え・・・・?」