世界が滅んだ瞬間Ⅳ
西に位置するラ・ホールから這い上がって来た正体不明の化け物達にバルクレアは蹂躙されていた。
そして正体不明の化け物が侵略し始めて4時間が経った。
正体不明の化け物に蹂躙されていたのはバルクレアだけではなかった。
バルクレアの隣国でバルクレアの同盟国であるライカダルでも正体不明の化け物達が地上を支配しようとしていた。
「エルナド隊長!竜型が来ます!」
ライカダルの組織、リンカーネーションの第6分隊隊長エルナド・ディルガは部下の声に反応し、竜に突撃していった。
「さすがに二体目はきついか・・・」
腰から剣を抜き出し、竜めがけて遠距離型の剣撃を放った。
「ソード・サンダー!」
竜の頭に雷剣が直撃、竜は少し怯み炎のブレスをエルナドに放った。
「ぐっ!」
後ろに後退するがギリギリ炎が掠り、左手が燃えた。
「エルナド隊長!」
魔法使いの隊員がエルナドに治癒の魔法をかけた。
「すまん・・・」
治癒の魔法をかけると傷は癒えた。
「エルナド隊長!後ろから大量のオーク型が来ます!」
エルナドが後ろを振り向くと、ここに来るまで人を殺して来たのだろう、オーク型の持っている棍棒には血がついていた。
「第6分隊に命ずる!俺とベルグズ以外はオーク型を殲滅せよ!」
エルナドとベルグズは竜型に突撃し、他の隊員はオーク型の群れに突っ込んでいった。
「ベルグズ!行くぞ!」
「はい!」
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「さてと、この子どうするかな・・・」
部屋の扉にサマエルの魔法混沌壁をかけ浸入を防ぎ、ラ・ホールから連れ出した少女をベッドに寝かせた。
と、アレスとリヴィエが着けている指輪が光だし、女性の声が聞こえた。
「アルシエル様!」
「久しぶりね、リヴィエ」
その声からは少女というより女性という方が相応しい、大人の雰囲気がにじみ出たような少し色気のある声だった。
「おいアルシエル、これはどういうことだ?」
「これは神魔界が仕掛けたことではないわ」
アルシエルの言葉に少し驚き、続いて質問をした。
「なら、この事件の黒幕はなんだ?」
アルシエルはこの質問に少し間を置いてから答えた。
「この事件の黒幕は、地下帝国ミストルティン」
「なっ!?ミストルティンだと?それは神話上の話なんじゃ・・・」
ユドラ・グシルに伝わる神話、ミストルティン。
かつて神王イザナミノミコトがこのユドラ・グシルを創る前の惑星の話。
ユドラ・グシルの前にあったのがミストルティンと呼ばれている。
つまりミストルティンとは神話上の惑星で存在しないものとされていたのだ。
「信じがたいでしょうけど、この災厄の黒幕はミストルティンよ」
アルシエルの言葉には信じがたい物もあったが、アルシエルは黒神だ。
神は全ての生物の頂点、物知りな人間よりも遥かに物知りだ。
だからアルシエルの言葉には説得力があった。
「では、私達の仕事はミストルティンの調査、とかですか?」
「いえ、二人にはユドラ・グシル未開拓の地に眠っている超越石という物の回収を頼みたいの」
こうしてアルシエルの命により一週間後、未開拓の地へ向かうことになった。