世界が滅んだ瞬間
チュンチュンと小鳥の声が少し開いた窓から少年の鼓膜を刺激し、窓から差す朝日は閉じていた瞼を開けようとしている。
日の光に負け、少年は目を覚ますと、一階から香ばしい匂いが少年の鼻孔をくすぐった。
匂いにつられ一階に降りると、肩につくかつかないかギリギリの所まで伸びた艶やかな黒髪をなびかせ、鼻歌を歌いながらキッチンで料理をしていた少女がいた。
「あ、お兄ちゃん、おはよ」
眠気も吹っ飛ぶぐらい明るい声音で言った少女の正体はアレス・シルヴィスタの義妹ネイレス・シルヴィスタ。
「おう、おはよ」
手で髪をとかしながら言ったアレスの容姿はと言うと、長すぎず短すぎずの黒髪で、身長も平均的で体型は太すぎず細すぎず。
だが、同級生と比べると少し筋肉の量は多めに見える。
顔も特別イケメンではない、ごく普通の少年だ。
「お兄ちゃん、早く着替えてきて、ご飯できちゃう」
「そうだな、先に椅子に座っていてくれ」
降りてきた階段をもう一度上がり、自室に戻り急いで着替えを済ませた。
ネイレスは兄であるアレスと食事をするのが大好きで、ご飯が少しでも冷めると、怒ってしまう為、アレスは大急ぎで着替えを済ませた。
「「いただきます」」
アレスとネイレスに親はいない、だからいつも起きるのが早いネイレスが朝ご飯兼お昼の弁当を作っている。
夜はアレスが作る、というのが二人の間では決まっている。
ネイレスの絶品といっても過言ではないご飯を食べながら、話をしていると、家の呼び鈴がなった。
「リヴィエの奴、もう来たのか」
そう言い、アレスが席をはずすと、ネイレスが少し不機嫌になり、頬を膨らませた。
「リヴィエ、少し早いんじゃないか?」
扉を開けると案の定、リヴィエがいた。
リヴィエ・エルキューレ、アレスの幼馴染み、明るめの茶色の髪を一つにまとめた、いわゆるポニーテールというやつだ。
下に視線をあてると、少々残念な胸が逆に目立っている。
「きょ、今日はいつもより早く朝ご飯食べ終わったから・・・」
「お前、昨日も言ってたぞ?それ」
アレスに言われ、昨日のことを思いだしたリヴィエはかあっと顔が赤くなった。
「とにかく、部屋にいれて!」
「お、おう」
リヴィエを部屋にいれ、アレスがネイレスのいるリビングの方を向くと、そこには完全に不機嫌状態のネイレスが腕を組み、仁王立ちしていた。
「お兄ちゃん?私と朝ご飯食べてる途中にリヴィエさんと何イチャついてるのかなぁ?」
昨日やったくだりを今日もやってることに気づかないのか気づいてるけど気にしてないのか。
とにかく、自分は無限ループの世界に入ったんじゃないかって少し不安になる。
「私がいて何か問題あるの?ネイレスちゃん」
実はアレスがネイレスと一緒に住む前まではネイレスとリヴィエ、二人仲良かったらしいのだ。(近所さんの情報)
そこにアレスが来て数ヶ月、ネイレスとリヴィエは急に仲が悪くなり、今に至る訳だが。
(人って変わるんだな・・・)
その後、アレスは二人の言い合いを止め、急いで朝ご飯を食べた。
今日は平日なので、学院に登校しなくてはならない。
アレス、リヴィエは同級生で、ネイレスは一つ下。
通う学院は一緒の為、登校もいつも三人で行っている。
そのため、男子達の視線が半端ないが。
15分ほど歩き、アレス達の通っている学院、シェルハイドアカデミーに到着。
ネイレスとは一旦別れ、アレスとリヴィエは教室に向かった。
「一時限目なんだっけ?」
「魔法学よ、確か課題が出てたわね」
「まじか多分俺、課題やってないな」
他愛もない会話を交わしていると、教室に到着。
「仕方ない、アイリスに聞くか」
「またアイリス・・・」
リヴィエが足を止め、アレスに聞こえないような小さな声で呟いた。
「おーい、アイリス」
本を呼んでいたアイリスの肩をポンポンと叩くと、
「ひゃう!?」
と、可愛らしい声をあげ、アレスの方を向いた。
「きゅ、急に声をかけてくるな!」
半眼で睨んだこの少女、アイリス・ハイドランジアはアレスの隣の席に座っている事から喋るようになり、今や下で呼びあう仲にまで発展した。
特徴的な蒼い髪は海のように済んでいて、とても美しい。
そして、視線を下に向けると、同級生の女子の中でも群を抜いて豊満な胸。
蒼い髪に豊満な胸という際立つ要素が多い上にとびきりの美人。
この女性に迫られると、断る男性はいないだろう。
「魔法学のノート写さしてもらってもいいか?やるの忘れちまって」
「し、仕方ないやつだな」
一時限目が魔法学だった為、机の端に置いていたノートをアレスに手渡し、読書を続きを始めた。
「サンキューな」
貸してから、約5分後。
「アイリス、ここはどういうことなんだ?」
「ん?分からない所か?どれ・・」
アレスの横まで行き、肩と肩がくっつくぐらいの距離まで縮まった。
「ちょっ、近い・・・」
「ん?どうした?ここの説明を聞きたいんだが・・・」
この一連のやり取りを後ろからじっと見ていたリヴィエはアレスとアイリスの所まで行き、
「二人とも、近い!」
「リヴィエ?どうしたんだ?」
ノートのことに夢中だったアレスが顔を上げ、リヴィエの方を見た。
「二人とも、近い!」
「いや、別にいいだろ?何かが減る訳じゃないんだし」
「それでもダメなものはダメなの!」
結局、授業が始まり、ノートはあまり写せなかった。
アレス達は知らない。
数時間後、アレスのいる惑星ユドラ・グシルに過去最大級の災害が降り注ぐことを・・・。
ミカエルです、どーも。
やっとの思いで五作目を出すことができました。
企画していたのは11月頃からでしたが、忙しくて・・・
結局、ノートに書き始めたのは2週間前。
とにかくやっと出せて嬉しいです。
「魔剣使いの救世主」
「高校入ったら日常が非日常に変わった」
「俺には彼女がいるのに美女に囲まれるのはなぜだろうか」
「おためし彼氏やってたらハーレムができたようです(投稿頻度はあまり高くない)」
全て連載中ですので是非!
あまり期待しないでくださいね?文章力ないので・・・。