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成り行きまかせの人形使い  作者: リオングレオ
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1 異世界転移

小説読むのは大好き書くのは初めての、ズブズブの素人でございます。どうかどうか暖かい目で見てやって下さい。


☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

 ドーン、ドーンと腹に響く音と夜空咲く花火を、僕は公園のさくに座ってぼんやりと見上げていた。

 

 金曜日から降り続いた雨で開催が危ぶまれた地元商店街の夏祭り。昨日土曜日は降ったりやんだりでかろうじて行われた。そして今日の昼頃から上がりはじめ、夕方にはすっかり晴れて祭りのラストを飾る花火大会は無事開催されてた。


 祭り会場からそれほど離れていない場所にある僕のバイト先のコンビニには、雨上がりの蒸し暑さから涼をもとめて避難してくる客でごった返して、夕方には帰れるはずがこんな時間なってしまった。

 まぁ、早く帰ったところで一緒に祭りに行く彼女がいるわけでもなし。焼き鳥とビールでも買って、最近ハマってるゲームでもやろうかと思っていて。大学の連れ達もバイトだ帰省だ就活だと忙しくしているので、僕もこの夏は目一杯バイトして金を貯めるつもりだ。

 僕は、すでに大学卒業後、叔父が経営してる小さな会社に就職することが決まってるんで、気楽なものだ。友人たちには卑怯者と罵られたが、気にしない。このご時世使えるコネは使わないと!なんて高らかに宣言するほどポリシーがあるわけではないが、僕があまりにのんびりかまえてるんで、危機感をつのらせた母親と結婚して近所に住んでる6歳上の姉が結託して、叔父に頼みこんだのだ。おかげで同期の誰よりも早く就職先が決まってしまった。

 僕は苗字は一(はじめ)名前は麟太郎(りんたろう)。21歳。10月になったら22歳になる。苗字が簡単過ぎるから名前は字画と文字数を多くしたいと思った両親が、運勢やら意味なんか無視してノリと響きだけで付けてくれたそうな。背丈こそ173cmとひょろひょろ高いが、細身で母に似た黒目黒髪のおっとり顔と、父親譲りの呑気な性格のせいで周囲が先んじて世話してくれることが多い。まぁ、世話されて困ったことはないからいいけどね。

 

 目当ての焼き鳥と缶ビールを買い、最近愛用しているリュックサックに母親と姉に頼まれたいくつかの買い物品と一緒に詰め込み、最祭り会場を離れようとしたところで花火大会が始まった。せっかくだから見て行こうかと思いたって公園に寄り道してところだ。

 この公園は、祭りメイン会場からちょっと離れてるけど花火を見るには最高のちよっとした穴場で人もほとんど来ない。

 僕の他には数人しかいない。姉くらいの年齢のカップルと、男子2人女子3人の高校生のグループ。あ、木の陰にもカップルが1組るな。お前ら、ちゃんと花火見なさい!

 見てないといえば、ベンチ腰かけて一心不乱にスマホを覗きこんでるオタクっぽい2人の男子学生。公園に入る時、通りすがりにチラっと見たけど、片方はどうやら携帯小説読んでるらしい。もう一人はゲーム。こんな暗くて蒸し暑いとこでやんなくても…なんて余計なこと考えてしまった。


 昼くらまで降っていた雨のせいで、公園にはまだ水溜まりがいくつか残っている。だから花火見物は公園の中央まで行かずに、入口付近に皆集まっている。木陰でイチャついてるカップルは良くよく見えないけど、もう1組の姉くらいのカップルは、さすがに大人だよな~って風に静かに空を見上げている。

 高校生グループの浴衣姿の少女3人は非常に眼復だ。黒髪のロングヘアーが朝顔柄の浴衣姿に映えるキレイな大人っぽいコ。ポニーテールが可愛いヒマワリ柄の浴衣の元気タイプのコ。一番小柄でふわふわした髪と小さな花をあしらったピンクの浴衣も愛らしいメガネっ子。かなりハイレベルなんじゃなかろうか。そんな美少女の連れの男二人はかなりの長身イケメンだ。黒髪短髪メガメと茶髪のチャラ男風。こいつらは浴衣じゃないだな。まぁ、男はどうでもいいか。美少女とイケメンのリア充グループなんかちっとも羨ましくないぞ、僕は。五人は楽しそうに時折笑い声をあげながら喋っていた。僕も人のコトは言えず、花火ではなく、カワイイ女の子達についつい目がいってしまう。あまりジロジロ見るとヘンタイだと思われるんで、あくまでさりげなくだ。 

 

 花火大会もラストスパートなのか花火が連続で上がりはじめた。商店街主催なので、花火大会といってもそんなに長い時間ではないのだ。僕もさすがに視線を空に向ける。

 上がる花火と地面に残る水溜まりに映る花火。空と地上に輝く花火で公園が不思議な空間になっている。

 

 「ねぇ、アレ何!?」


 木陰カップルの女が水溜まりを見ながらが声をあげた。

 彼らが見ている方に目をやると、水溜まりに不思議な紋様が浮かんでいるのが見て取れた。周囲の水溜まりにも次々と同じような紋様が浮かびはじめた。

 花火が水に写ってるだけじゃないのか?上空を見ると花火に混じって目立たないが、水またりに現れたのとは違う巨大な紋様が浮かんでいた。

 

 「魔方陣だ!」

 「マジかっ!!」

 「魔方陣ってなに!?」

 

 次々上がる花火。追うようにドーンドーンと打ち上がる音が響く。それに呼応するように空と地面に白く点滅する魔方陣。周囲から動揺した声と、光りが増し速くなっていく点滅。


 「なんだよっ!」

 「きゃあっ!」

 

 一際大きな音が響き、祭り最後の花火が上がった。巨大な魔方陣に巨大な花火が重なって、空も地上も真っ白に光り輝いた瞬間、僕は知らないどこかに転移していた。

 



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