アリスとチェシャと帽子屋と女王
「…ちょっと。なんでアンタにやついてんのよ」
「へっ?」
女王に見られていたらしい。
「だって、来週だよ?」
「…は!?」
「…アリス、女王と帽子屋には招待状渡しただけでさっきのは言ってないから」
チェシャがフォローを入れる。
「あ、そか!」
そんな会話をしているともう自分の番が回ってくる。
今日は何を食べようかな…。
「おばちゃん、オムライス!」
「はいよ!アリスちゃん!」
「有栖川、ですよ!」
「まぁまぁ、いいじゃないの…で?姫ちゃんは?」
「私はイタリアンセットで」
女王はウィンクしながら食堂のおばちゃんに言う。
正直ウザイ。
何故ウィンクする必要があるのかが不明だ。
「悪かったわね!」
「…え、エスパー?」
「ちっがうわ!声に出てたのよアンタ!!」
「あ、ごめん正直者で」
私は半分棒読みで流す。
女王の扱いはこれくらいで充分だ。
「アリス!席とっといたっすよ!」
「ありがとチェシャ」
私達が(一方的な)言い合いをしている間に、チェシャと帽子屋で席を確保してくれていたらしい。なんと気がきく猫だろう。
私達はそれぞれ自分の食事を持ち、席についた。私は勿論チェシャの隣である。
「んで、さっきのどーゆーことか説明してもらいましょうか、アリス」
「んー、おーけーおーけー」
私はそう言って一口オムライスを食べた。
「…結論から言うと、何かが起こるのは来週の金曜日」
「なんですって!?」
「来週、ですか?」
「うん。あの招待状に書かれていた事をひとつひとつ思い出してみれば分かることだよ」
私がそう言うと帽子屋は考える素振りを見せる。
「…そう言えばあの招待状、質問がされていましたね」
「そうそう。私はその謎を解いたわけ。」
私はひとつひとつ説明していくことにした。