7
レンツァの街に入って数時間。
もうすぐ日も傾きかける頃。
ようやくちょうどいい宿を見つけることができた。
どの宿も、値段が高すぎたり、そうじゃなければ怪しげだったり。
あと、女の一人旅は泊められないって宿が多くって。
ようやく見つけた宿は、広い通りに面した大きな建物。
家族連れの旅行客の多い、庶民的で安全な宿だった。
部屋に通されて、すぐにベットにダイブした。もう、すごく疲れた。
目を閉じると、いろんな感情が混じり合う。これからの旅へのかなり不安、そしてすこしの期待。
だめだ、こんなことしてる場合じゃない。
ここから城へはたいして離れてないし、そろそろ捜索が始まってるはず。
私の髪の毛は黒髪でロング。
この街でも滅多にいない髪色に髪型。
城には私しかいなかった。
ここまでは帽子に入れて隠してきたけど、ずっとこうやってくわけにはいかない。
ガバッと起き上がってカバンをあさる。
ハサミと染色用の液をだす。
鏡に向かって、髪にハサミを入れた……
……
染めたあと、気づいたら椅子に座ったまま寝ていたみたい。
窓からみえる景色は真っ暗になっていた。月や星もみえる。
立ち上がって、鏡を覗く。
うん、きれいな茶髪になった!
一回やって見たかったんだ。
鏡の中にいるのは、茶色い短髪の、元気の良さそうな女の子。
もう、黒髪のお姫さまはどこにもいない。
服も、買わなきゃな。
今は、こっそり拝借してきた男物の旅用の服を着ているけど、やっぱり高級感がありすぎる。
明日、朝一でバザールに行って、さっさと売って、ちょうど良い服を買って。
そうしたらいよいよ仲間探しだ。
物語がようやくはじまります。