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レンツァの街に入る前。
馬車を停めてもらって、私は3人に頭を下げた。
「本当にありがとうございました!」
「顔上げてー。」
ヒロさんの優しい声。
言われた通りに顔を上げると、3人とも笑ってる。
「どうせ僕らもこの街に来る予定だったんだよー。気にしないで。」
「話し相手がいて楽しかったしな。頑張れよ。」
アキさんが私の頭に、ぽんっと手を乗せて馬車の中に戻って行く。
「久しぶりに女の子がいて、華やかになったよ、ありがとうね。」
ジュンさんもにっこり笑ってくれて、馬車の中に入っていった。
最後に馬車にのぼったヒロさんがニコッと笑って言う。
「また、会える日を楽しみにしてるよ。ライちゃん!またね。」
馬車はレンツァの街に入っていって、角を曲がって見えなくなった。
ここからが勝負。
お金はたくさん持ってきた。
城で読んだ【旅の基本】という本を思い出す。
街にはいってまずすることは、宿探し。
気合いを入れて、レンツァの街へと一歩踏み出した。