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序章

ぽかぽかと日差しの暖かい春が、ルアムハルク城にも訪れた。2階のテラスにこのあたりではとても珍しい、真っ黒な髪の少女と、赤く輝く鱗をもつドラゴンがいた。


いつもと同じ、昼下がり。


のはずだったが、突然真っ黒な闇が空を覆い、ドラゴンと少女が叫ぶ声が響いた。



城の中から慌てて女中がでてきたが、真っ暗で何も見えない。


「姫さまーっ!?」





数分後、空は晴れわたり、姫を見つけた女中は彼女に駆け寄った。

大声で泣いているが、怪我はないようだ。

しかし、ドラゴンの姿はどこにもなかった。






泣きわめく少女の手の中には、一枚の真っ赤な鱗が握られていた。





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