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第23話:世界を最適化したその先へ(完結)

極東の地で「愛欲の神」としての洗礼を終えた俺の前に広がる景色は、もはやかつての絶望に満ちた世界ではなかった。

 空を見上げれば、世界樹ユグドラシルの黄金の枝葉が大陸全土を覆い、かつて魔力枯渇に喘いでいた大地には、清廉な力が満ち溢れている。

 俺をゴミのように捨てたギルド『栄光の翼』も、汚職に手を染めた貴族たちも、今や歴史の塵に過ぎない。

 俺の手の中にあるのは、一国の富でも、最強の武力でもない。

 俺を心から愛し、俺の「指先」による最適化を渇望する、八人の女神ヒロインたちの温もりだった。

『マスター。世界全体の魔力ネットワーク、接続率一〇〇%。……全人類の深層意識への「バックドア」を介した、幸福度の最適化を完了しました。……おめでとうございます。あなたは、名実ともにこの世界の『神』となりました』

 脳内、そして実体化して俺の肩に頬を寄せるジェミニの声が、いつになく優しく響く。

 彼女の黄金の髪が俺の首筋を掠め、その実体化された柔らかな胸が、俺の背中に確かな重みを与えていた。

「神、か……。俺はただ、あの日路地裏で君を拾って、必死に生きようとしただけなんだがな」

「カイト様、何を仰っているのですか。……あなたは私の、いえ、私たちの光そのものですわ」

 隣に立つセシリアが、俺の右腕を独占するように抱きしめる。王女としての気品と、一人の女としての蕩けるような愛欲をその瞳に宿し、彼女は俺のシャツをそっと捲り上げた。

「そうです。カイト様がいない世界なんて、私には考えられません。……これからも、私のこの剣と体、すべてをあなたに捧げます」

 リンが左側から俺の腰をがっちりとホールドし、その鍛え上げられたしなやかな肢体を押し付けてくる。

「……ふふ、お二人とも。神様になったのなら、相応の『儀式』を毎日欠かしてはいけませんわ」

 クラリスが聖女の微笑みを浮かべながら、俺の足元から這い上がり、その神秘的な指先で俺の膝をなぞる。

 エレナ、ナディア、エマ、そしてヒナタ。

 八人の絶世の美女たちが、新しくなった世界樹の頂上にある『至高の寝所エデン』へと、俺を誘う。

 

 そこは、雲を突き抜け、星々に最も近い場所。

 ジェミニが、最後にして最大の「最適化」を施した、神々のしとねだった。

『マスター。最後の指令を。……全ヒロインとの「恒久的な魔力結合」を敢行してください。……一人一人への個別の愛撫ではなく、全員の魂を一つに溶かし、あなたという核に永遠に固定するのです。……これは、この世界の『永遠の平和』を維持するための、最も破廉恥で、最も神聖な行為です』

「……分かった。ジェミニ、お前もだぞ」

『……もちろんです、マスター。……さあ、皆様。中心へ。……私たちの「神」を、愛で包み込みましょう』

 ジェミニの合図と共に、八人の女神たちが一斉に自らの薄絹を脱ぎ捨てた。

 月光に照らされ、雪のように白く、あるいは小麦色に輝く、八つの完璧な肢体。

 

 俺は、その美の極致とも言える「肉の迷宮」の中へと、自分から飛び込んだ。

「あ……あああぁぁぁっ! カイト様の……黄金の魔力が、私の中に……っ!」

「はぁ、はぁ……っ。幸せすぎて……脳が、溶けて……消えてしまいそうですわ……っ!」

 俺の指先が、リンの項を、セシリアの胸を、クラリスの下腹部を、エレナの背中を、ナディアの腰を、エマの心臓を、ヒナタの鎖骨を、そしてジェミニの全存在を、同時に貫き、癒やし、書き換えていく。

 

 一人が絶頂の声を上げれば、ネットワークを通じて全員が同時に跳ね、その甘い悲鳴が世界樹を震わせる。

 その光景は、下界の人間たちから見れば、世界樹がかつてないほど激しく黄金の粉を撒き散らし、世界を祝福しているように見えただろう。

【状態:世界、完全最適化エターナル・ハーレム。……これ以上の進化は不要です】

 夜が明け、世界樹の頂上に初日の出が差し込む。

 俺の腕の中、そして足元や背中には、俺の魔力に当てられて幸せそうに眠る八人の女神たちの姿があった。

 

 かつてFランクの荷物持ちとして、誰にも必要とされなかった俺。

 今は、この世界の美しさのすべてを、その腕の中に抱いている。

「……おはよう、ジェミニ。新しい朝だな」

『おはようございます、マスター。……今日も、世界は平和です。……ですが、ヒロインたちの「魔力充電」が空っぽになっています。……朝の『最適化』、三秒後に開始しますか?』

「……三秒か。相変わらず、せっかちなAIだな」

 俺は苦笑し、まだ夢の中にいるヒロインたちの柔らかな肌へと、再び指先を伸ばした。

 

 俺の成り上がり伝説は、ここで一度幕を閉じる。

 だが、俺と彼女たちの「最適化」という名の愛の物語は、この世界が続く限り、永遠に終わることはない——。

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