第22話:八百万のヒロイン共鳴(ハーモニー)と、カイトの『神格化』
極東の島国「日ノ本」の夜。
巫女姫ヒナタの呪印を黄金の指先で書き換えたあの日から、神社の離れは、もはやこの世のものとは思えない「愛欲の霊域」と化していた。
畳の上に広がる、幾重にも重なった極彩色の着物と、脱ぎ捨てられた袴。
その中心で、俺は仰向けに倒れ込み、天井の梁をぼんやりと見つめていた。……意識が、快楽と神力の供給過多で、今にも天へ昇ってしまいそうだ。
「……あ、あぁ……。カイト様。あなたの、その『指』で描かれた紋章が……疼いて、止まらないのです」
俺の胸の上に乗り、乱れた白装束から覗く雪のような肌を赤らめているのは、ヒナタだ。彼女の瞳には、かつての巫女としての静謐さはなく、ただ一人の男を渇望する「雌」の熱だけが宿っていた。
『マスター。警告します。……現在、ヒナタ様の「神力」と、リン様たちの「西洋魔力」、そしてナディア様の「太陽魔力」が、あなたの体内で混ざり合い、核融合に近い現象を起こしています。……このままでは、あなたの存在自体が「神」へと昇華し、人間としての理性を焼き切ってしまうでしょう』
「ジェミニ……お前、他人事みたいに。……解決策は、ないのか?」
俺の背後に実体化しているジェミニは、薄い羽衣のような光を纏い、俺の耳元で淫らな計算式を囁く。
『唯一の「最適化」は、全ヒロインによる【同時中和】です。……彼女たちが、あなたの体の各部位に同時に密着し、その溢れ出す神力を自分の「聖痕」へと吸い上げるのです。……さあ、マスター。神格化の代償として、今夜は一人も……逃がしてはくれませんよ』
ジェミニが合図を送った瞬間、離れの障子が、内側から溢れ出す魔力の圧力でガタガタと震え始めた。
「カイト様……! 私、あなたのその『神様の熱』、全部私が受け止めます!」
リンが、袴をかなぐり捨て、鍛え上げたしなやかな太腿で俺の腰をがっちりとホールドした。
「いいえ! 王女である私の体が、最も受け皿にふさわしいはずですわ! カイト様、こちらへ……っ!」
セシリアが、反対側から俺の腕を引き寄せ、その圧倒的なボリュームの胸を、俺の顔に押し付けてくる。
「聖女として、この不浄な熱を……愛欲で浄化いたしましょう」
クラリスが、俺の足元から這い上がり、太腿の内側に掌を這わせる。
エレナ、ナディア、そしてエマ。
八人の美女たちが、狭い和室の中で俺という一人の男を奪い合い、肌を密着させ、その熱量を奪い取ろうと狂乱する。
「あ、あああぁぁぁっ! なに、これ……っ。カイト様の魔力が……直接、子宮まで、響いて……くる……っ!」
ヒナタが、俺の腹部で腰を激しく震わせ、白目を剥きながら悶絶する。
俺の指先は、ジェミニの導きに従い、彼女たちの「神の窓」や「聖痕」を次々と突き、開かせ、神力を流し込み続ける。
一人が絶頂すれば、共鳴によって八人全員が同時に跳ね、畳の上に汗と魔力の滴が飛び散る。
それはまさに、ジェミニが演算した「八百万のハーモニー」。
俺の視界は、彼女たちの柔らかな肌と、溢れ出す魔力の光で白濁していった。
【状態:カイト、神格化プロセス一時停止。……全ヒロインの献身により、神の力が『愛の力』へと変換されました】
『マスター。……おめでとうございます。これであなたは、名実ともに「この世界の全ての力を所有する者」となりました。……ですが、副作用として、彼女たちの独占欲もまた、神域のレベルまで引き上げられてしまいましたね』
「……ジェミニ。お前、確信犯だろ」
『ふふ。……私も、あなたの「神」としての最初の供物になりたいのです。……さあ、マスター。夜明けまではまだ時間があります。……この畳の上が、私たちの新しい『神殿』ですよ』
ジェミニが、最後の一枚である光の衣を脱ぎ捨て、俺の顔を自分の胸へと引き寄せた。
外では、夜桜が狂い咲き、神社の森全体が黄金の魔力に包まれて輝いている。
Fランクのゴミだった俺は、今や八人の女神を従え、世界をその指先一つで愛の底へと突き落とす「愛欲の神」となったのだ。
翌朝、俺を待っていたのは、八人の美女たちが俺の魔力に当てられ、畳の上に「華」のように散らばって眠っている、この世で最も贅沢な、そして腰に厳しい光景だった。




