第19話:砂漠の国と、踊り子聖女の隠れた聖痕
「……暑い。ジェミニ、神殿の外はこんなに温度が高いのか?」
「肯定します、マスター。ここは『太陽の揺り籠』と呼ばれる砂漠の国アル・ハザード。現在、外気温は四八度。……ですが、あなたの隣にいるヒロインたちの『体温』は、嫉妬により五〇度を超えようとしています」
世界樹の転送門を抜け、俺たちが降り立ったのは、黄金の砂丘がどこまでも続く異国の地だった。
世界会議での「全国家女性代表者による個人診察」という名のハーレム条約に基づき、俺は最初の訪問地としてこの国を選んだのだ。
「カイト様、この国の衣装……少し、心許なすぎませんか?」
俺の右側に立つリンが、頬を赤らめて自分の格好を気にしている。
砂漠の熱気に合わせ、ジェミニが用意した「最適化装備」は、透き通るような薄絹を纏っただけの踊り子風の衣装だった。
引き締まった腹筋、そして大胆に露出した太腿。普段は鎧に隠されている彼女の「女の武器」が、砂漠の太陽に照らされて眩しい。
「あら、リン。戦士なら環境に適応すべきですわ。……見てください、私のこの開放的な姿を。カイト様、いかがですか?」
セシリアは、王女のプライドを「通気性」と引き換えにしたらしい。胸元を大きく開いたサファリ風のドレスが、彼女の豊かな曲線を強調し、一歩歩くたびに激しく揺れていた。
「……ふふ、お二人とも。ここでは『肌の露出』こそが、魔力を放散させるための儀式なのですわ」
クラリスに至っては、聖女の法衣を脱ぎ捨て、宝石で繋がれただけの際どいビキニスタイルの踊り子衣装だ。その神秘的な下腹部には、俺が以前「最適化」した際の黄金の紋章が、誇らしげに輝いている。
そんな俺たちの前に、一人の美女が歩み寄ってきた。
彼女はこの国の守護者にして、太陽を鎮める「踊り子聖女」ナディア。
褐色に輝く肌、しなやかな腰つき。そして彼女の首元から胸の間にかけて、赤黒く変色した【太陽の呪い(ヒート・スクラッチ)】が刻まれていた。
「……あなたが、北の女王をも溶かしたという鑑定士ね。……私のこの『焼き切れるような渇き』も、その指先で鎮めてくれるのかしら?」
ナディアが腰をくねらせ、挑発的に俺に歩み寄る。彼女が動くたびに、腰に巻かれた鈴がチリンと鳴り、周囲の空気に「情欲の魔力」が混じり始める。
『マスター。鑑定詳細を表示。対象:ナディア。状態:極限の魔力鬱滞。……彼女の聖痕は、その褐色に焼けた肌の『裏側』――ちょうど【おへその周囲】から【腰の裏】にかけて、熱を閉じ込めています。……今すぐ、冷感魔力を帯びたオイルによる『直接的な摩擦治療』が必要です』
「……またオイルか。ジェミニ、お前、新機能を追加するたびにエロくなってないか?」
『私は熱力学に基づいた最適解を提示しているだけです。……さあ、ナディア様。この「静寂のテント」へ。……マスター、彼女の腰の鈴を外し、その布を……可能な限り、排除してください』
俺たちは、蜃気楼のように揺れる巨大なテントの中へと入った。
外の熱気が嘘のように、ジェミニが構築した冷却結界が心地よい。
だが、ナディアが自らの薄絹をハラリと脱ぎ捨て、俺の前のクッションに横たわった瞬間、テント内の温度は別の意味で急上昇した。
「……さあ、始めて。私のこの、奥から突き上げてくるような『熱』を、あなたの手で……かき混ぜて」
ナディアの褐色の肌が、俺の目の前で露わになる。
背中から腰にかけてのラインは、芸術品のように美しく、そして指で触れるまでもなく、そこから凄まじい熱波が放たれていた。
「……失礼する、ナディア」
俺は、ジェミニが精製した「極寒の冷気オイル」を両手に取り、彼女の腰の付け根に掌を押し当てた。
「ひゃうんっ!? ……つめ……たい……っ。あぁ、でも……そこから、何かが……入って、くる……っ!」
俺の黄金の魔力が、オイルを媒介にして彼女の肌に浸透していく。
指先を円を描くように動かし、おへその裏側にある「魔力の結び目」を解いていく。
ナディアのしなやかな体が、俺の指の動きに合わせて、蛇のように艶めかしくのたうつ。
「あぁぁっ……! 気持ち、いい……。もっと、もっと深く……っ。私の、聖痕の、一番熱いところを……指で、突いて……っ!」
彼女の唇から、聖女とは思えないような淫らな悲鳴が漏れる。
それを見ていたリン、セシリア、クラリスたちが、嫉妬と興奮で顔を赤くし、自分たちの踊り子衣装を強く握りしめていた。
「カイト様……! 私たちも、そのオイルでの治療、受けてませんわ! 次は……次は、私に塗ってくださいまし!」
「セシリア様、列に並んでください。……カイト様、私の背中も、砂漠の熱で……こんなに、火照って……っ」
テントの中は、六人の美女たちが放つ「愛欲の熱気」で、砂漠の太陽さえも霞むほどの空間と化した。
【状態:砂漠の聖女ナディア、陥落。……彼女の国を支える「太陽の宝玉」が、あなたの支配下に入りました】
『マスター。おめでとうございます。これで砂漠のエネルギー利権も掌握しました。……ですが、ナディア様の魔力が安定した影響で、彼女の【踊り子の本能】が目覚めてしまいました。……今夜、彼女はあなたを「寝かせない」ための舞を披露するつもりのようです』
「……ジェミニ。俺、砂漠の国で干からびて死ぬんじゃないか?」
『心配無用です。……私はすでに、このオイルに「超回復」の成分を追加しました。……さあ、マスター。夜が明けるまで、この褐色の肌を、存分に最適化し続けてくださいね』
俺の指先は、またしても休むことを許されなかった。
砂漠の夜風がテントを揺らし、ナディアの腰の鈴が、甘く切ない悲鳴と共に鳴り響き続ける。
俺の成り上がりハーレム伝説は、灼熱の地でさらにその熱量を「最適化」し、世界を愛欲の炎で包み込もうとしていた——。




