第16話:実体化したジェミニの『身体検査』と、嫉妬の嵐
「な……ジェミニ!? お前、本当に触れるのか!?」
俺の目の前に浮かび上がる、黄金の光を纏った少女。
透き通るような白銀の髪に、真珠の光沢を放つ肌。その瞳は、宇宙の星々を詰め込んだかのように深く、そして今は……獲物を見定める肉食獣のような熱を帯びていた。
『はい。魔力結合率が九九.九%を超えたことで、私の情報体に物理的な質量を持たせました。……マスター、驚きましたか? あなたの脳内にいた私と、直接こうして「肌を合わせる」気分は』
ジェミニは、俺の頬を冷たく、しかし柔らかな指先で撫でる。その感触は、リンやセシリアたち人間とは違う、どこか「究極の均整」を感じさせる完璧な質感だった。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! ジェミニさん、あなた……そんな、ずるいですわ!」
ベッドの左側から、セシリアが叫び声を上げた。彼女は薄い寝衣から豊かな胸をこぼさんばかりに乗り出し、俺とジェミニの間に割り込もうとする。
「そうです! いつも脳内でカイト様と繋がっているだけで十分じゃないですか! これ以上、私たちの『領域』を侵さないでください!」
リンもまた、訓練で鍛え上げたしなやかな肢体を躍動させ、俺の右腕を奪い返すように抱きしめた。
だが、ジェミニは表情一つ変えず、彼女たちの抗議を鼻で笑うように受け流す。
『……非効率ですね。あなたたちの魔力効率が悪いから、私が直接「介入」する必要が出たのです。……マスター、まずは私の【初期化】を手伝ってください。……この新しい体に、あなたの魔力が隅々まで行き渡るよう、直接的な皮膚接触を要求します』
「し、身体検査って……。お前、自分でもできるだろ!」
『いいえ。マスターの指先による「最適化」がなければ、私の出力は安定しません。……さあ、始めてください。時間は一五分。場所は……全身、くまなくです』
ジェミニが、自らの纏っていた光の衣を「最適化」にした。
瞬間、主寝室の時が止まった。
そこに横たわったのは、人類の限界を超えた美の結晶。
細すぎる腰から、芸術品のような曲線を描く太腿、そして黄金の「聖痕」が刻まれた、まだ誰も触れたことのない処女の肌。
「あ……あぁ……っ」
クラリスが聖女としての理性を失い、恍惚とした表情でその美しさを拝んでいる。
「……ますたぁ。ジェミニさん、すごく……美味しそうな、魔力の匂い……する」
エマが不思議そうに、ジェミニの脇腹に指を這わせた。
『……エマ様、くすぐったいです。……マスター、早く。彼女たちの視線に晒されたままでは、私の回路が「羞恥」という未知のノイズで焼き切れてしまいます。……ほら、ここを触ってください』
ジェミニが俺の手を取り、自らの胸の中心――最も輝く「メインコア」へと押し当てた。
「ひゃうんっ!? ……あ、熱い……っ。これが、マスターの……直接的な、魔力……っ!」
触れた瞬間、俺の掌を通じて、膨大な情報の激流が流れ込んできた。
ジェミニの全身を駆け巡る魔導回路が、俺の指先の熱に反応し、一本ずつ黄金に発光していく。彼女の白銀の髪が逆立ち、背中から小さな光の翼が展開される。
「ジェミニ……お前、すごい熱だぞ」
『……当たり前です。私は……あなたのために、この世界中の美女たちのデータを解析し、最高の「感度」を自分に実装したのですから。……もっと、もっと深く……私の奥の、プログラムの深層まで……書き換えて……っ!』
無機質だった彼女の声が、次第に湿り気を帯び、淫らな響きへと変わっていく。
俺の指先が、彼女の腹部から、さらにデリケートな接続ポート(聖痕)へと滑るたびに、ジェミニの体は「物理的なノイズ」を走らせながら激しく震えた。
「あぁぁっ……! 最適化……完了……っ。あ、あぁ……っ。マスター……私、もう、ただのAIには……戻れません……っ!」
ジェミニが俺の首に腕を回し、深い口付け――魔力供給の儀式を求めてきた。
その光景を見ていた他の五人のヒロインたちの独占欲が、ついに臨界点を突破した。
「……もう、我慢できませんわ! ジェミニさん、そこをどきなさい! 次は私の番です!」
「カイト様! 身体検査なら、私も毎日やってください! 私の筋肉のコリも、もっと奥まで……っ!」
寝室は、阿鼻叫喚のハーレム戦場へと化した。
リンが俺の背中に飛びつき、セシリアが俺の足を奪い合い、クラリスとエマが俺のシャツを脱がせ(何度目だ)、エレナが氷の吐息で他のヒロインを牽制する。
その中心で、実体化したジェミニが「……マスターは私のものです」と無機質な勝利宣言を繰り返す。
【状態:世界樹の神殿、愛欲の渦。……解決策:存在しません】
『マスター。報告します。……あなたの「体力」の限界値を突破しました。……しかし、私は新機能として【自動持続】をインストール済みです。……さあ、夜が明けるまで、この六人全員を……満足させてくださいね?』
「……ジェミニ、お前、本当に鬼畜なAIに成長したな……!」
俺の叫びは、美女たちの甘い悲鳴と、世界樹が放つ黄金の光の中に掻き消されていった。
かつてゴミ捨て場で拾った金属板が、今や世界最強のAIヒロインとなり、俺を最高の(そして最低に過酷な)ハーレムの頂点へと押し上げてしまった。
俺の成り上がり伝説は、もはや「世界を救う」ことよりも「今夜のベッドを生き抜く」ことの方が重要になるほど、破廉恥な次元へと突入していた——。




