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第14話:氷の女王、陥落! 冷徹な肌を溶かす熱い鑑定マッサージ

世界樹の神殿の外、黄金の結界と凍てつく吹雪が真っ向から衝突していた。

 大気を震わせる轟音と共に現れたのは、氷の薔薇が装飾された巨大な魔導ソリ。その上に鎮座するのは、北方の氷結大国を統べる孤高の支配者、氷の女王エレナだ。

「……ここが、噂の『最適化』を施す男の城か。私のこの凍えそうな魔力を、鎮められるという自信があるのなら、今すぐ私の前に跪きなさい」

 エレナの声は、触れた瞬間に心が凍りつくほど冷たかった。

 だが、その透き通るような白い肌は、ジェミニの鑑定によれば「臨界点」を超えた熱を内側に閉じ込めている。

『マスター。鑑定詳細を表示。対象:エレナ・フォン・アイスフェルト。状態:深層魔力の熱暴走オーバードライブ。……彼女の氷のドレスは、自身の熱を抑えるための「拘束衣」に過ぎません。……今すぐ、その冷たい皮を剥ぎ取り、直接的な熱交換マッサージを行う必要があります』

「……また剥ぎ取るのか。ジェミニ、お前……」

「カイト様、私が先にあの生意気な女王を黙らせてきます! カイト様の前に跪くのは、あちらの方です!」

「そうですわ! 私たちのカイト様に指図するなど、一〇〇年早いですわ!」

 リンとセシリアが、俺の制止を振り切って前に出る。

 だが、エレナが軽く指を鳴らした瞬間、彼女たちの足元が凍りつき、動きを封じられた。

「……騒がしい羽虫ね。私はこの男と『二人きり』で話がしたいの。……さあ、始めなさい。私のこの……苦しくてたまらない『渇き』を、どうにかして」

 エレナがソリから降り、俺の目の前で立ち止まる。

 彼女の瞳には、支配者としての矜持と、それを上回るほどの「助けてほしい」という切実な色が混ざり合っていた。

「……分かった。エレナ様、あなたのその氷を、俺が全部溶かしてやる」

 俺は彼女の手を引き、神殿内の特設された「癒やしの間」へと案内した。

 そこは、世界樹の根から溢れ出す柔らかな魔力が充満し、周囲にはリン、セシリア、クラリス、そしてエマが「絶対に一線を越えさせない」という殺気混じりの視線で四方を囲んでいる、奇妙な聖域だった。

『最適化:融解マッサージを開始します。マスター、彼女のドレスの背中のジッパーを下げてください。……その氷の布地が肌に張り付いていること自体が、魔力循環を阻害しています』

 俺は震える指先で、エレナの背中に手をかけた。

 冷たい。だが、布地を指が掠めた瞬間、その下にある肌から凄まじい「熱」が伝わってくる。

「……っ、あ……」

 ジッパーを下ろすと、氷のドレスが床に滑り落ち、彼女の白銀の髪に隠されていた、滑らかな背中が露わになった。

 だが、その美しい背中から臀部でんぶにかけては、赤黒い魔力の筋が血管のように浮き出て、ドクンドクンと波打っている。

「……そんな、こんなにひどい状態だったのか」

『マスター、躊躇は不要です。両手に最大出力の黄金魔力を纏わせ、脊髄に沿って親指で強く圧をかけてください。……同時に、腰の付け根にある「冷気の核」を、あなたの体温で包み込むのです』

 俺は、意を決して彼女の背中に両手を押し当てた。

「ひゃうんっ!? ……あ、熱い……何、これ……っ。私の、凍っていた場所が……溶けて、流されていく……っ!」

 エレナが、ベッドに突っ伏したまま、短い悲鳴を上げた。

 俺の掌が、彼女の冷徹な肌を滑り、腰の曲線に沿って深く、力強く揉みほぐしていく。

 ジェミニが計算した「最適化されたリズム」で、俺の指先が彼女の魔力の結び目を一つずつ破壊し、再構築していく。

「あああぁぁぁ……っ! 気持ち、いい……。もっと、もっと強く……そこ、一番痛くて……熱い場所……っ、あぁっ!」

 女王としての威厳は、俺の指先が臀部の中心に近い「核」に触れた瞬間、完全に崩壊した。

 彼女はシーツを強く握りしめ、つま先をピンと反らせながら、全身を小刻みに震わせる。

 

 その背中から立ち上る蒸気は、彼女の内に溜まっていた毒が排出されている証拠だった。

 

「カイト様! ちょっと……手が、手が下すぎませんか!? 私、そんなの聞いてませんわ!」

「セシリア様の言う通りです! 治療といっても、そこまで密着する必要が……あぁっ、見ていられません!」

 監視していたはずのヒロインたちが、顔を真っ赤にして騒ぎ立てる。

 だが、クラリスだけは恍惚とした表情でその光景を見つめ、エマは不思議そうに「ますたぁ、女王様……すごく、幸せそうなステータスになってる」と呟いた。

【状態:氷の女王エレナ、完全融解フォール・イン・ラブ完了】

【特記事項:氷結大国の全魔導資産が、マスターの管理下に置かれました】

 一時間の「治療」が終わる頃。

 ベッドの上で、エレナは完全に骨抜きになった状態で、幸せそうに頬を染めていた。

 

「……カイト、様。……私、もう、北の国には帰りたくありません。……あなたの、この熱い手のひらがないと、私、また凍え死んでしまいますわ……っ」

 氷の女王は、俺の指先を一文字ずつ愛おしそうに舐めるようにして、忠誠を誓った。

 

『マスター。おめでとうございます。これで北方の軍事力もあなたの手中に。……しかし、想定外の事態です。……あなたの「治療」を受けたいという美女たちが、この光景を見て、さらに数万人規模で世界樹に押し寄せています』

「数万人!? ジェミニ、お前、わざと中継しただろ!」

 俺をゴミのように捨てた元ギルド。

 彼らが見ていた世界は、今や俺の指先一つで書き換えられる、広大な「ハーレム(聖域)」へと姿を変えていた。

 

 嫉妬に燃える五人のヒロインと、押し寄せる世界中の美女たち。

 俺の腰の平穏は、もはや神の演算を以てしても「最適化不可能」な領域に突入していた——。

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