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第11話:世界樹の精霊姫と、四位一体の聖なる秘儀

極北の地にそびえ立つ、空を突くような巨木——世界樹ユグドラシル。

 その最深部にある『聖樹の心臓』は、いまや禍々しい黒い茨に侵食され、凍てつくような冷気と死の気配に支配されていた。

 その中心、巨大な水晶の牢獄の中に、彼女はいた。

 世界樹の管理者、精霊姫エマ。

 緑の透き通るような髪を乱し、茨に締め付けられた彼女の体は、布地と呼べるものがほとんど残っていないほど無惨に露わになっている。

「……あれが、世界を司る精霊様? なんてひどい……」

 俺の腕に縋るリンが、悲痛な声を漏らす。セシリアとクラリスも、その圧倒的な呪いの気配に顔を青くしていた。

『マスター。警告します。彼女を縛る【虚無の茨】は、接触した者の魔力を根こそぎ食らい尽くす性質を持っています。……普通の手段では、触れることすら叶いません』

「なら、どうすればいい? ジェミニ、俺の『最適化』なら、あの呪いも消せるんだろ?」

『肯定します。ただし、今回はマスター一人の魔力では足りません。……背後の三人の「魔力の器」を、一時的にあなたへと完全に結合リンクさせる必要があります。……いわば、四人での共同作業です』

 ジェミニが提示した儀式のプロセスは、これまで以上に過激なものだった。

 三人のヒロインが俺に密着し、特定の部位に触れ合うことで魔力の回路を極大化させ、その膨大なエネルギーを俺の指先からエマへと流し込む。

「……三人とも、聞いてくれ。エマを救うには、お前たちの助けがいる。……かなり、恥ずかしい格好で俺に密着してもらうことになるが……いいか?」

「何を今さら。……カイト様となら、私は、なんだって受け入れます」

 リンが真っ先に、自らの装備を解き始めた。銀の胸当てが地面に落ち、薄いインナー越しに彼女の体温が伝わってくる。

「私も、カイト様の翼になると決めましたもの。……恥ずかしがってなどいられませんわ!」

 セシリアもまた、覚悟を決めた瞳で俺の背中にその豊かな双丘を押し当ててくる。

「神聖な儀式ならば、聖女である私にお任せください。……さあ、愛を繋ぎましょう」

 クラリスが俺の正面から抱きつき、脚を絡めてくる。

 三人の美女の熱が、俺の全身を包み込む。

 リンは右から、セシリアは背後から、クラリスは正面から。

 それぞれの肌が俺の肌と密着し、ジェミニが構築した「結合回路」が起動した。

『魔力結合率、九八%。……臨界突破。マスター、そのまま水晶へ手を。……彼女の胸元に刻まれた「呪いの核」を、あなたの魔力で焼き切ってください!』

「おおおおおおっ!」

 俺の手が、水晶を透過してエマの肌へと触れた。

 瞬間、黒い茨が悲鳴のような音を立てて弾け飛ぶ。

 だが、呪いの反動は凄まじかった。エマの体内に溜まった負のエネルギーが、俺を通じて三人のヒロインたちへも流れ込もうとする。

「あ……あぁっ! カイト様の……熱いのが、私の中に……っ!」

「あ、あああぁぁぁ! 脳が、蕩けてしまいそうですわ……っ!」

「はぁ、はぁ……っ。四人の魂が……混ざり合って……っ!」

 三人が同時に、恍惚とした悲鳴を上げて俺にしがみつく。

 俺の体は、四人の魔力が渦巻く巨大な「炉」と化していた。

 そして、ついに水晶が粉々に砕け散った。

 中から滑り落ちてきたエマの体を、俺はしっかりと抱きとめる。

「……ん……ぁ……。あなたは……?」

 エマの瞳が、ゆっくりと開かれた。

 翡翠のような瞳が俺を見つめ、彼女の小さな唇が震える。

 彼女の全身を覆っていた黒い呪印が、俺の指先から流れる黄金の魔力によって、眩い白銀の光へと上書きされていく。

『最適化、完了。……精霊姫エマ、完全覚醒。……おめでとうございます、マスター。世界樹の全権限が、今、あなたの手に委ねられました』

 エマは俺の首に細い腕を回すと、まるで雛鳥が親を慕うように、俺の胸に顔を埋めた。

「温かい……。ずっと、待っていました。私の心を……この世界を、正しい形に直してくれる方を……。あなた様が、私の新しい……マスター、なのですね?」

 鑑定ウィンドウが、かつてないほどの数値を叩き出していた。

【対象:エマ。状態:霊的結合完了(一五〇%)】

【特記事項:世界樹の苗木をマスターの拠点へ移植。これより、あなたの屋敷は『世界の中心』となります】

 だが、感動の再会も束の間。

 背後から、冷え切った三人の視線が突き刺さる。

「……カイト様? その新しい女の子、ずいぶん甘えん坊さんですね」

 リンが、引きつった笑顔で俺の腰をギュッと掴む。

「世界樹の姫君といえど、順番は守っていただかないと困りますわ。……カイト様、今夜は四人分のお世話を、覚悟していただかなくてはなりませんね?」

 セシリアが、扇子を広げるように魔力を逆立てる。

「……ふふ、四人での魔力共有。これは、聖典にも記されていない、新しい禁断の儀式になりそうですわね」

 クラリスは、どこか楽しげに頬を染めている。

『マスター。生存確率、再び低下中。……推奨:新拠点となる「世界樹の館」へ即座に転送し、全員まとめて「添い寝」で鎮めてください』

「ジェミニ、お前……それが一番の重労働だって分かって言ってるだろ!」

 世界を救い、精霊姫を仲間に加えた俺。

 だが、俺の戦いは、ここからが本当の地獄――いや、最高に贅沢な「夜の最適化」の始まりだった。

 世界樹の輝きに包まれながら、俺は四人の美女を連れて、さらなる高み(ハーレム)へと歩みを進めるのだった。

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