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第10話:王都の守護者、そして世界樹の予言

ザックス率いる旧ギルドの陰謀を粉砕し、第一王女セシリア、聖女クラリス、そして女騎士リンという、この国の至宝とも呼べる三人の美女を従えたカイト。

 亡霊公爵の館は、今や王宮を凌ぐ魔力と権威の集積地となりつつあった。

 だが、カイトの休息は長くは続かない。

「……はぁ、はぁ。カイト様、そんな……一度に三人は、いくら私でも……魔力が、溢れてしまいますわ……っ」

「セシリア様、ずるいです! 私の方が、カイト様の『最適化』を長く受けているんですから!」

「二人とも、静かにしなさい。……カイト様、私の聖痕も、また熱を持ち始めています。……どうか、その大きな掌で、鎮めてくださいませ」

 広大な主寝室。豪華な天蓋付きベッドの上で、俺は三人の美女に文字通り「押し潰されて」いた。

 薄い寝衣を纏っただけの彼女たちは、俺の魔力という名の甘い蜜に依存し、少しでも離れようとすると不安げに瞳を潤ませる。

 リンの引き締まった肢体、セシリアの豊潤な曲線、そしてクラリスの神秘的な白い肌。

 三者三様の「柔らかさ」と「熱」が、俺の全身に絡みついて離れない。

『マスター。お楽しみのところ失礼しますが、あなたの魔力バイパスに異常な信号が混入しました。……これは、この大陸の北端に位置する【世界樹ユグドラシル】からの緊急要請システム・コールです』

「世界樹……? あの神話に出てくる、世界の理を司る大樹か?」

『はい。鑑定情報をグローバル・スキャンに拡張。……見つけました。世界樹の根幹に、未知の「ウイルス性魔導回路」が寄生しています。……放置すれば、世界中の魔力が枯渇し、全人類が死滅します。……そして、その中心部には、封印された「第四のヒロイン」の反応がありますね』

「……また美女か。ジェミニ、お前わざとやってるだろ」

『私は効率を重視しているだけです。マスター。世界を救うついでに、最高の個体をコレクションする。……これが、私の設計思想プログラムですから』

 俺がベッドから起き上がろうとすると、三人の美女たちが一斉に俺の腕や足にすがり付いてきた。

「行かせません! せっかくカイト様と一つになれたのに……!」

「そうですわ! 私をこんな体に……あなたの魔力無しでは生きられない体にしておいて、無責任ですわ!」

「……もし行かれるのでしたら、私たちも連れて行ってください。聖女として、あなたの『夜のサポート』も全うしてみせます」

 三人の瞳には、決死の覚悟と、隠しきれない独占欲が渦巻いている。

 俺は苦笑し、彼女たち一人一人の頬を優しく撫で、耳元で囁いた。

「分かってる。……俺の『最適化』は、お前たちがいなきゃ完成しないからな。……全員で行くぞ。世界の果てまで」

「「「はいっ、カイト様!」」」

 俺たちは館を飛び出し、ジェミニが構築した「超高速移動魔法陣」を展開した。

 目指すは、極北の地に眠る世界樹。

 道中、空を裂いて飛ぶ俺たちの前に、かつて俺を「無能」と呼んで追い出したザックスの成れ果てが姿を現した。

 彼は禁忌の魔導に手を出し、醜い異形の怪物へと変わり果てていた。

「カイ……ト……! お前さえいなければ……俺が、俺が王女も、聖女も、すべてを手に入れていたはずなのに……っ!」

 怨嗟の声とともに放たれる、どす黒い魔力の奔流。

 だが、今の俺には、そんなものはノイズにすらならない。

『マスター。敵個体の脆弱性を一三万箇所特定。……最適化デリートの準備はいいですか?』

「ああ。……三人の女神たち、力を貸せ!」

 俺が二刀流の剣を構えると、背後の三人のヒロインが俺に密着し、それぞれの魔力を俺の体に流し込んできた。

 リンの「鋭さ」、セシリアの「重厚さ」、クラリスの「神聖さ」。

 三つの異なる魔力が俺という核で混ざり合い、黄金を超える「究極の最適化魔力」へと昇華される。

「消えろ、ザックス。……お前の人生は、最初からバグだらけだったんだよ」

 俺が一閃。

 黄金の光が世界を白く染め上げ、怪物は悲鳴を上げる暇もなく、分子レベルで分解されて消滅した。

 かつての因縁を、文字通り「ゴミ」として処理した瞬間だった。

 光が収まった後、俺たちの前には、雲を突き抜けるほど巨大な世界樹がその姿を現した。

 しかし、その幹は黒い茨に締め付けられ、悲鳴を上げているように見える。

『マスター。あそこに封印されているのは、世界樹の管理者……【精霊姫エマ】です。彼女を解放するには、これまでの治療よりもさらに「深い」干渉が必要になりますが……覚悟はいいですか?』

「……ああ。俺の指先が、世界の理を書き換えてやる」

 俺は、震えるリン、セシリア、クラリスを伴って、世界樹の最深部へと足を踏み入れた。

 そこには、水晶に閉じ込められた、神秘的な緑の髪を持つ美少女が眠っていた。

 彼女の衣装は、茨によって無惨に引き裂かれ、その白磁の肌には、呪いの刻印が赤黒く脈打っている。

【個体名:エマ(世界樹の管理者)】

【状態:深淵の呪い。解放条件:マスターによる「全身全霊の直接接触(濃厚接触)」】

【特記事項:救出した場合、マスターのハーレム(拠点)は神域へと拡張されます】

「……よし。最適化を開始するぞ、ジェミニ!」

 俺の手が、水晶の中の少女へと伸びる。

 Fランクの荷物持ちから始まった俺の逆転劇は、今、一国の英雄を超え、神々の領域を「最適化」する伝説へと昇華した。

 背後で、三人のヒロインたちが「またライバルが増える……!」と頬を膨らませる中、俺は新たなる美女の救出――そして、世界を上書きするための第一歩を踏み出した。

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