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27話 落ちこぼれ記者と黒を流れる不明物《ブラッククロールノーイメージ》

飯田庵佐は白松を呼び出し一発逆転なるか??

 白松さんと舞子ちゃんのお父さんの間には何か繋がりを感じる。僕の一瞬の判断でしかないが、白松さんが何かしでかしそうな気がした。


「あのー、ラーメンもらえますか?」

ここはひとまずラーメンをもらっておくことにした。


とりあえずバッグでギチギチな机に置いてもらったけど、ちゃんと作ってきてる。大体40分ぐらいできたけど、移動含めたらラーメン作る時間ないはず。


でも袋麺っぽさもない醤油ラーメン。あとで聞こ。



・・・あれ、どこでスマホ奪えばいいんだ?僕はふと疑問に思った。舞子ちゃんのお父さんがスマホを離す瞬間なんてない。ここはどうにかして、白松さんにスマホを奪ってもらうしかない。


「これってキャッシュレスしか無理なんですよね?でも僕キャッシュレスのアプリ嫌いで使ってないんですよ、舞子ちゃんのお父さん、奢ってください!」

「あー、そうなんですよ。うちキャッシュレスでして。他のお客さんも待ってるんで早くしてもらえます?」

さっきから態度悪いな白松さん。扉を閉めてないから看護師さんたちの視線が集まっている。白松さんはマスクをしているけど、その細い目がぎらついているのは隠せない。


「わかったよ、これでどう?」

 舞子ちゃんのお父さんはスマホを白松さんに渡した。白松さんに僕の作戦ちゃんと伝わっているかな?


「ちょっと置かせてもらいますよ。」

「いって!!」

白松さんが僕のお腹に出前の箱を力を込めて置いた。僕が骨折していることを知らないとしても、この力で置くのは人間としてどうかしている。


「この中で色々やるんで見ないでください。」

白松さんは出前の箱を開けてベッドから離れている二人に背中を向けさせた。


白松さんには伝わっていたみたいだ。スマホのロックも解かれている。


ボイスメモを確認して、さっきの時間に合っているボイスメモを見つけた。この場合、誰にこの音声を聴かせるか。


「そこの大きい男!この音声聞いて!!」

「なんだ俺に向かって!」

サングラスをかけた巨漢に僕はさっきの音声を聴かせた。


その音声にはしっかり、僕を誤認逮捕しようとしている舞子ちゃんのお父さんの声が入っている。


正義感が強い巨漢に聞かせればどうなるか。答えは一つ。


僕の近くに立っていた巨漢は舞子ちゃんのお父さんの方にゆっくりと近づいていく。


危険を察知したお父さんは逃げようと扉に近づいて行く。


「まだ決済終わってないんで。」

白松さんは出口を塞ぐように舞子ちゃんのお父さんの前にすぐに移動した。


「・・・・・・」

巨漢がお父さんを拘束してくれればあとは自由?この音声を他の警察に聞かせれば多分なんとかなる。


 ゆっくりと近づいて行く巨漢はようやく舞子ちゃんのお父さんの肩を掴んだ。


「拘束してください!」

「・・・・・・黒は、黒のまま、黒であれ。」


巨漢は舞子ちゃんのお父さんを両手で包み込んでいる。拘束しているように見えるが、何かがおかしい。

「・・・飯田、なんかおかしいぞこれ。」

舞子ちゃんのお父さんは悲鳴声をあげていない。地面には血が流れ続けているのに。


「おい、そこのでかいやつ!もうやめろ!」

「黒に、黒に。」

「ちゃんと目を見て話せよ!」


白松さんは近づいていき巨漢のサングラスを強引に外した。


「・・・痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

どこからか声が聞こえる。でもここにいる誰の声でもない。



巨漢は目の前の景色に呆然と立ち尽くしている。


血を流し続ける舞子ちゃんのお父さんの体と響き続ける声。僕は何が起こっているのか目を離してはいけない、責任を感じた。

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