24話 落ちこぼれ記者と電話越しのタバコ男《テレフォンシガーマン》
どうしてもスマホを奪わなければならない飯田庵佐は白松に電話をしてスマホを奪う作戦にした。どのように奪うのか。
「わかりました、僕が電話かけますよ...」
おもむろに突き出されたのは他でもない僕のスマホ。
現在の僕は絶体絶命と言ってもいい。このまま何もせずに待っていれば僕は逮捕されて舞子ちゃんは殺される。
そんな今、僕は出前をすぐに頼まなければならない。自分のスマホだから知り合いにバレないように連絡すればいい、という気持ちも横切った。でも僕にはそんな度胸がない。というかそんなことはできない。
「早く連絡しろよ!俺が見守っててやるからよ!」
グラサンかけた巨漢がいたら尚更だよ、、、
とは言っても知り合いに電話することは不可能ではない。僕が舞子ちゃんの父から電話を借りようとした時に、電話番号を他人に教えてはいけない、ということを伝えた。
なら知り合いにかければいい。だから流石の巨漢でも僕のスマホ画面を見て電話番号を見ようとはしないはず。
「さっき電話番号他人に見せちゃいけないって言ってたよね。俺あっち向いとくよ。」
妙に物分かり早いな。僕が一呼吸して口に出そうとした瞬間にはもう言葉がすらすら出てきた。
巨漢は僕の方に背中をすぐに向けて、少し離れていた舞子ちゃんの父にも背中を向けるようにお願いをしてくれた。
「・・・まあいいけど、スピーカーにしてよ?知り合いにかけられたら厄介だからさ。」
また僕の一手を潰すようなことをしてきた。だが流石にこれは想定内。
僕がかけるのは白松という男。タバコを吸いながらボサボサな髪で人前に立つような男。そんな男が警察好きなわけない。大体ああいう人は警察とか権力に屈さない人だ。なら僕が警察という単語を出せばおそらく何か察してくれるはず。
つまり、この二人に察される前に注文と僕の目的を白松さんにだけ伝わるように話す。これだけできればあとはなんとかなるはず。頭の中で簡単なデモンストレーションを行う。
さっきまで背中を向けていた巨漢は僕が電話を開くまでスマホ画面をじっと見つめて、他のアプリを開かないか監視している。
僕は昨日もらった白松さんの名刺を思い出して電話番号がやっと思い出せた。時間がかかるたびに横にいる巨漢の口角が下がっていくのが怖かった。
「じゃあ掛けますね!」
ピッピッピっ
プルルルル
「・・・もし」
「もしもし!飯田です!あの注文したいんですけど!ラーメンですラーメン!警察の方たちもラーメン食べます?」
「飯田?警察?」
「頷いてないってことはいらないってことですね!いやー、スマホで注文できないの今頃時代遅れですよ!だって警察の偉い人のスマホで注文しようとしましたけど、そう言えばできないってわかった時怒りそうになりましたからね、僕!じゃあ!」
これが、パワープレイだ。




