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?5話 帰宅の少女とNOT落ちこぼれ記者

舞子は母親が死んでしまうことを悟り、意識が遠のく。人形に完全になれば母親は死ぬ。混乱する舞子の前に、とある人物の影が。

 トイから元の世界の日程を聞かされた私は焦っていた。どれだけ目の前を見ようとしても焦点は時間が経てば経つほど合わなくなっていき、足にも力が入らない。その場から落ちていく感覚もある。


「ヒサト。舞子を連れて帰ってくれ、俺はこいつ片付けるから。」

トイが目線を私の足に移す。私の足を見ている。


お母さんの話で混乱して頭が回らないけれど、トイは私に対して下心を向けているようには見えない。仮面の奥から何も感じ取れないが、それだけは声色でわかった。


「・・・バレたか!!葉っぱが落ちてきてちょうどいいと思ったんだがなあ!!」

「逃げるよ、舞子ちゃん!!」


私は久兎に手を握られて飛び上がった。だけど、間違いなく私より身長が高い久兎の手を、久兎を見下ろしながら握っていた。

「木に飛び移るから目を瞑っててよ!」


 私は久兎の言葉を耳に入れなかった。その言葉は正しい。心身ともに弱くなっている状態で空中を飛び回れば意識が飛ぶのは間違いない。危険な状態になるかもしれない。でもその暗闇の方が目を瞑る暗闇よりもよっぽど価値がある。


木から木に飛び移るたびに、意識を落としている感覚。いつのまにかトイも消えているが、地面からは音と声が聞こえ、砂埃が上空まで舞っている。ただ地面の砂埃は私より前に来ることはない。不思議だけど、砂埃は私の長い髪に触れるくらいで、目に入ることはない。それと同期しているように動く地面の隆起も、私を越すことはない。



「・・・トイのサポートをしたい!私じゃないとできないから!」

「サポート?いいけど体大丈夫?」

「うん。あと久兎にも頼みがあるの。」

「OK、何?」

――――――――

「おいおい!俺にとって地面はホームなんだよ!この虫たちもテメーをブーイングしてるよ!」

「はぁはぁ、確かに早いな。さっき穴掘ったせいで息がもたないからなあ、あれできないし。」

「おいおい、あの可愛い子もあんたが出てこないから諦めたのか、急に地面に降りて来やがった!!穴掘り勝負は俺の勝ちだ!」

「・・・確かにもう無理だ、俺はお前に追いつけない。」

「よっしゃ!!女の子のパンツ見放題!!」

――――――――

声がよく聞こえる。トイの声も。


確かにトイは嘘をついていない。トイはもう追いつけない。私の真下に視線を感じる。嫌な気持ちになるけど、その嫌な気持ちが成長につながる。


「久兎やって!!!」

「OK!」

バサアッ!!!!


私の顔を葉っぱが覆う。緑色に目の前が染まっていく。360度、どこを見ても。

「これは何だよ!!仮面のやつ!木が俺を囲ってるのか!仮面のやつ、何とか答えてくれよ!」

「・・・・・お待たせ。お前がスカート見るなら、逆に俺がお前の尻見てやるよ!存分にね!お触りもしーちゃお!!!」

「いやーーー!!!」

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