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15話 落ちこぼれ記者と悲劇の少女《サッドガール》

まさかの誘拐の容疑がかけられた飯田庵佐。舞子の父親は庵佐に冤罪を被せる悪人。舞子が無事に帰ってきたことではなく、罪を被せられる庵佐が見つかったことを喜んでいた。何を隠しているのか。

 拍手は鳴り止まない。どれだけ素晴らしいショーでもここまでは長くない。手よりもむしろ聞いている側のこっちの耳が痛くなってきた。

「すごい、よくわかったね君!顔を見ただけで"記者"って思ったもん。」


嘘だ。誰の目から見てもただの普通のオタクとしか思われず、記者だって名刺まで見せてるのに永遠と否定され続ける僕が、、、やっぱりオーラが出てる人には分かるのか。出てる人同士。

「いや、君警視庁の記者クラブいたでしょ?私は直接会ったことはないけど君有名だよ?」

「やっぱ才能ですか?」

「いや、だって記者クラブ出禁の子でしょ?漫画とかゲーム機を置いてたんでしょ?」


悪名は無名に勝る、か。僕がオーラを発したからじゃなく過去の行動で記者ってバレたのか。恥ずかしさでこの場から逃げたいが、今の体じゃ扉すら開けられないだろうなあ。


「まあ、名前は覚えてなかったけどね。まだクビになってなかったんだ。」

クビになってなかったんだ、ってなんだよ。娘が誘拐されて笑みを浮かべている人間に嘲笑われるなんて恥でしかない。


 僕はこんな悪人と話しているのが馬鹿馬鹿しくなったのでさっき聞いたことをメモするため、腹部を曲げないように背中でベットを張って机の近くまで移動した。


「ああ!痛い!腕が取れる!」

故意に机と離されたベッドのせいで手帳が入っているバッグが取れない。こうなればパーカーに入れたスマホの方でメモをするしかない。

「そこにはないよ。君がメモできるようなものは。」

またカーテンの向こうから聞こえる。確かにどんなに問題行動を起こした無能の記者が相手、実際の声もない、たとえすぐに逮捕されるとしても自分の悪いところをここまでペラペラと喋るわけがない。


「・・・でも、僕が逮捕されたとしても舞子ちゃんは僕を犯人じゃないって言いますよ?計画甘すぎませんか?」

その場しのぎで僕の身動きを封じさせても、舞子ちゃんが目覚めた後の証言で僕は解放される。異世界に行ったとか意味わからないことを言ったとしても、僕に誘拐されたことを否定してくれれば不当逮捕となり相当痛手になるはずだ。


「私が何を隠しているのかの答えだが、まあ虐待だよ。今も出来の悪い舞子を殴ってやりたいが、まあ殴れないよ。」

虐待、、、



「まあそれもバレないよ。だって殺すからさ。」

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