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13話 落ちこぼれ記者と痛みの連鎖《ペインペイン》

マンドラゴラをハレントと倒した飯田庵佐。マイコちゃんも救えてよかったが、庵佐は川に沈んでしまう。カナヅチな彼はどうなったのか。

 僕の体に刻み込まれた跡は戦いの勲章である。そしてそれと共にあの場所に上半身裸でいたという紛れもない証拠になってしまった。起きあがろうとすれば腹部には電撃が走る。体力測定で腹筋を不正する時のような動きしかできない。


僕のことを犯罪者と勘違いしているであろう警官によると僕は橋でバンジージャンプをして怪我をしたらしい。だが、その場所で発見されたものについて何度聞いてもマンドラゴラのマの字もない。それに加えて僕の体に傷をつけた毛を提供したハレントについての説明もない。


ただ、なぜこんな目で見られているかの説明は一つもなかった。ただ、少女という言葉が何回も使われていたのでその少女が大きく関係していると僕は直感で感じた。


 多分病室には四つのベッドがある。僕は左側に扉が見えるベッドに座っている。正面には誰もいない。僕の右側の、窓が近いベッドには誰かがいるのだろう。


ただ、カーテンがあるせいで正面しか見えないのでどんな人がいるのかはわからない。また斜めのベッドにはいるかいないかが正確にはわからないが、痛みに耐えながら体を少し動かすとブランドもののバッグが乱雑に置かれているのでいないと考えていいと思う。


警官はカーテンの奥にいるであろう上司から警察署に帰るよう指示されたあと、

「回復を祈っています。」

と上司に向かい深々と礼をした後扉を開けて出て行こうとした。



「あの、流石に僕の服ぐらいはちゃんと畳んでくださいよ!」

扉の近くにある机の上に乱雑に置かれた僕のパーカーとバッグ。誰かが揺らせばすぐにでも地面に落ちてしまうほどはみ出して置かれている。


ベッドに横たわる僕を警官は180cm程の長身と悪意を込めたとしか思えない爪先立ちで何分間も見下ろした。まるで自分で直せとでも言いたそうだ。


「なんですかその目!!ベッド見たら分かるでしょ!ズレてますよ!」


鏡写しのようにベッドと机が置かれているはず。なのになぜか僕の前にあるベッドの位置が僕のベッドの位置と違う。


僕の方のベッドが机よりも30cmぐらい離れている。どう考えても誰かが悪意を持って離したとしか思えない。そのせいで直せないとこの警官もわかっているはずだ。


「まあいい、直してあげるついでにそこの書類も渡してくれ。それから戻れ。」


警官の上司は僕を憐れんだのか救いの手を差し伸べてくれた。カーテンの奥に居るから顔は見えないが、さぞかし良い人なのだろうな。想像が膨らんで仕方ない。


 警官は緩めた口を締め直した後、嫌そうな顔はしながらも正確なテクニックで僕のパーカーを直し心を改めてくれたように見えた。かと思えばさっきの話に出た書類とやらを僕の腹部にオーバースローで雑に投げることで最後の抵抗を見せた後、すぐに扉を開けて出て行った。


警官から可哀想な扱いを受けた書類を僕は手に取った。警察の書類を記者である僕に見せて良いのか?僕が無能だから舐められているのか?


封筒の中に入っているようなので僕はすぐに封筒を開いて中身を見た。


ファイル?この中に何かがあるのか。



「えー、大下舞子失踪事件。マイコ、、、マイコちゃん!!」

ハレントの言っていたマイコちゃんだ。さっきの少女はマイコちゃんのことなのか。


その文字の下を見ると、今度はペンで加筆されていた。

「誘拐だったのか、、、えーっと犯人は


飯田、、、庵佐」

 


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