11話 落ちこぼれ記者と爆睡少女《グッドナイトガール》
マンドラゴラを倒すのがどちらも相手だと思っていた飯田庵佐と白い魔物。マンドラゴラを倒せない二人はどうやって解決するのか?
頼みの綱が極太のしめ縄から1センチの小さい毛になってしまった。
ただ、誰が悪いというわけでもないのが辛いなあ。人は常に誰かを責める生き物。人を責めるというのは良くないことかもしれないけれど、こんな辛い気持ちになるなら、責めたかった気もするなあ。
まあ、そんな諦めたようなセリフを残すのは諦めた時だけ。まだ僕は足を止めていないし、この子も同じだろう。
「そう言えば僕名前聞いてなかったよね。」
「それ今オイラに聞くことなのか!?」
暗い気持ちを晴らすためには気分転換するしかない。というか気分転換というよりこんなに死の局面を共にしているのに名前を聞いていない方が変な気がする。
「僕は飯田庵佐。庵佐って呼んでね!」
「庵佐、か。オイラはハレント!!」
ハレント、ね。
「よし、じゃあ僕も暗闇を晴らすとしましょうか!」
「ハレント、いけないからね!」
ハレントは笑顔になってくれたようだ。目が見えないから正確にはわからないけど。声色が明らかに穏やかになったのがわかる。とにかく気分転換できたならよかった。
ただ、結局どうすればいいのか見当が一切つかない。
目が見えないから確認することができないが、周りには人の気配を一切感じない。
「ここら周辺は人いないの?」
「ああ。でもこれはオイラがそうしたんだ。」
ハレントが周りの人をいなくしたのか?助けを呼べないが、それでいいのか?
「異世界からこの世界に戻った人がいればいいんだが、探すのが困難なんだ。その人は能力を持ってるしマンドラゴラの倒し方も適切だし。本当はそんな人がすぐ見つかればいいけど、すぐ見つかるはずない。そんな中で庵佐が見つかったからよかった、よくはないんだけど。」
すぐに訂正されるとなんか恥ずかしいな。
「確かに助けを呼べればそれがいい。ただ警察ってやつに頼ろうとしてもオイラみたいな奴の言うこと聞いてくれるはずない、マンドラゴラなんてのもハテナが浮かぶだろうし。来てもマンドラゴラにむやみやたらに触ったら多分全滅するし。後、今封鎖している理由は散歩とかドライブに来た人が立ち止まってここに来ても、相当危険でしょ?なら知識を持っている庵佐とオイラ、あとマイコだけを一定範囲に入れて入れないようにするのが一番いいと思ったんだ。まあオイラの毛が伸びる能力で車とかを押し返してるだけなんだけどね。入れないようにって洗脳するんじゃなくて物理的なのがちょっと恥ずかしいぜ。」
あれ、今大切なことを聞いた気がする。
「一定範囲ってどれくらい?」
「大体半径200メートルくらい。あと、毛が伸びる長さは20メートルぐらい。」
頼みの綱が一気に太くなった。
それなら、マンドラゴラに勝てる!
ピギャギャギャギャ、、、
微かに聞こえる悍ましい声。
「庵佐、マンドラゴラが動き出した!」
「キャア!!!」
「えっ!?」
ハレントの叫び声ではない甲高い声。女性にしか聞こえない、これがマイコちゃんの声?だとしたらマイコちゃんもまずい!
明日、章の完結編を出したいと思います!




