10話 落ちこぼれ記者と白魔の喜び《ホワイトデーモンハッピー》
マンドラゴラから襲われる危機をヘッドホンで乗り切った飯田庵佐。白いウサギと白鳥のハーフの魔物から話をされる。その話の中でこの現実世界に来る際に、魔物も一緒に来ること、そして魔物が自分から現実世界に来る時は魔物が来ないことを知る。ならなぜこの話をしている魔物がいるのにマンドラゴラはいるのか?
僕が話した、「この世界に来たのは二人いる。」と言うのは、おそらく正解したのだろう。
ブンッブンッ!
「頷くのだけは僕に対するいじめだよ?今僕見えないんだから!」
空気の音で頷いたのがわかるからよかったが、それすらわからなかったら背中に文字を書くやつをやってたのかな。と言うか空気の音がするぐらい頷くって、子供みたいでいいなあ。
「ということです。オイラともう一人いるんだけど、それについての説明がちょっといるからまた一人喋りさせてー。」
「いいですよー!」
―――――――――――
献上品はとても貴重な素材から作られるし、素材もスピード感を持って作らないとダメになってしまうんだ。作ってからはダメになることはないけど盗まれる可能性があるから、普通は素材が取れたらすぐに作ってすぐに使う。二つ同時に使うことなんてほぼない。
でも今回はいろんな事情が重なった。一度ポータルを使うと無くなるんだ。だからすぐに素材を頑張って調達。そしてこの世界に来たんだ。そしてそこにオイラがいるってことになった。
まずその事情なんだけど、オイラと一緒に来たのはマイコって女の子なんだ。今は目が見えないあんたでも雰囲気だけで惚れるぐらい可愛いよ!
まあ、マイコは事情があってすぐにこの世界に来ることになった。その事情はオイラの口からは言えない。だけどすぐにこの世界に来る必要があった!
だけど、マイコは貧弱なんだ。オイラの住むせか、いや異世界に行ったことで多少は強くなったけど、一人でモンスターを倒せるほどは強くない。そして能力も戦闘向きではない。それに世界を移動した直後は多分倒れる。まあそうじゃないとしても魔物に襲われたら、、、
そうなればおそらく護衛が必要。オイラは最初は候補じゃなかったんだけど。。。
やばい奴らから狙われたんだ、オイラ。それもオイラのチームじゃ太刀打ちできない、依頼された獲物を殺さないと次の依頼に移らない。そんな主義の最強のヒットマンを引っ提げて。ついでに言うとそいつも異世界に来たやつなんだけどね!
もう逃げきれないってなった時にオイラのチームのリーダーが・・・凄い覚悟を決めて、この世界に来ることを指示してくれた。
この選択はとても難しい決断だったと思う。オイラにとっても賭けだった。
この世界に来たら、一定期間は異世界からこの世界に来た人に触れられない。だからマイコを運んで逃すなんてできない。それにマイコは倒れているから助けを呼べないし、オイラもこんな姿で助けを呼べない。となればちゃんと計画しないと生きることはできない。
ただ、出る場所については計画しなくて大丈夫!オイラの毛は自由自在に伸びるし、手首に巻けば巻いた人の位置もわかる。だからマイコの位置はわかる。マイコは場所を決めるのに時間がかかってた。でもオイラはやることがあるから先に出てたんだ。離れ離れになったけど安心だな!
でもそこからが問題なんだ。位置が分かっても、オイラ魔物倒せないから。でもアンタがいたら大丈夫!オイラがやることってのは魔物を倒せる、尚且つ異世界が好きそうな人を探す。そうなれば雨の中で異世界行きたーい!!ってなんかの箱を持ちながら言ってたアンタしかいなかったんだよ!それにスライム倒してたし!
――――――――――
よし、後2分ほどでマンドラゴラが泣く。この子に倒してもらおう!他力本願が僕のモットーだ!
ん?
「えっ、えっ、えっ、えっ、倒せない?倒せない?えっえっえっ?」
「実はアンタを初めて見たのは今が初じゃないんだよ?あ、これは言ってなかったもんね!驚くよな!でもあの時アンタはスライムの死骸を持ってた。スライム倒せるならマンドラゴラ倒せるでしょ!」
スライム?思い出さなくても倒してないぞ?勘違いにしては妙に正確な答え。もしかして、あれか?
僕は目が見えないから落とさないようにポケットを探る。
「もしかして、これのこと?」
ブンッブンッ!!!
また頷いた。今度は空気の揺れで葉っぱが楽しそうに揺れているな。相当強く首を振っているんだろう。やっぱ葉っぱは僕を叩く。痛い。
「これ、本物じゃないよ?アルスラって作品の特典。紛い物だよ?」
葉っぱの叩きは急に止まった。多分僕が痛い方がよかったんだと思う。暗闇の中に走馬灯が少し光を分けてくれている。多分、明るくなった時が、僕の運の尽き。
「僕死ぬのやだーーーー!!!」
この話の続きを今日中に投稿しようと思います!ぜひ面白ければ評価をよろしくお願いします!




