9話 落ちこぼれ記者と異世界の窓《ワンダーポータル》
マンドラゴラと出会った飯田庵佐。そんな時に追っていた魔物と出会う。謎の魔物からマンドラゴラについての話を聞く庵佐。しかしその途中で突然苦しみ出してしまう・・・
「嫌だ!嫌だ!嫌だ!」
僕の脳内に得体の知れない何かが襲ってくる。具体的に何なのか、わからない。思考の全てを奪ってくる。簡潔に言えば、苦しみそのもの。
目の前が見えない、その場に立つことしかできない。ただ苦しむだけの世界に僕は入り込んでしまった。
マンドラゴラという怪物を通じて、異世界の恐ろしさを知った。僕が安易に関わっていいものではなかった。
だからこそ、ここで諦められない。限られた脳で考えろ、僕!
まずはあの子に話しかけないと。あれ?そう言えばそうか。
「そう言えば名前聞いてないな?名前なに?」
「ぐゃぐやゃすぎゃ!!!!」
何だ!?あの子の返答が変だ。これもマンドラゴラの力か。まあ名前のことはいいや。とりあえずこれだけ伝えれば。
「僕のスマホ取って適当に音楽流してよ!」
「ぐきゃ?どらきゃらん!」
ああ何言ってるのかわからない。とりあえず僕は思い手を動かしてスマホを投げようとした。
動かない。投げようとした手が固まっている。落とすな、僕。
「身長低い君には投げないと!」
「殺す。」
なんか普通に聞こえてるんだけど。。。まあ乱数で決まっただけだと思うことにした。
だが、どうやっても手は動かない。本当に僕はここで終わるのだろうか。嫌な考えが脳を蝕む。
シュッ、パン!!
「えっ?!」
一瞬のことだった。僕は感覚だけでわかった。手が軽くなった。多分スマホが離れたんだと思う。でも距離的にあの子じゃ届かない。
ただ、今この状態なら多分大丈夫なはず!
僕は勝手に持って帰ったヘッドホンを装着した。
「ミュージック、スタート!!!」
♪悲しみだけの涙で一括りにされるほどアタシの涙は弱くはないのよ!
「君!やるじゃん!」
涙のワーク。この曲はアニメ、アインレーは異世界でスライムしか作れない!のOPだ。アルスラの世界と繋がっているから毎週リアタイしてたけど何故か作画が翌年のアルスラ4期より上だったからな。いやー普通にむかつく!
「いや動ける!動けるぞー!!」
体が元に戻っただけなのに何故か前より天高く拳を突き上げれている気がする!
やっぱりそうだった。あの感覚はマンドラゴラの奇声からだったら、大音量で音楽を聞けば治る。我ながら焦らずよく思いついたな!
「まだ見えない!!」
まだ目の前は真っ暗なままだ。よく考えれば拳を高く天に突き上げているのか?
「うわっ!!」
脱臼してしまうと思うほど腕が強く引っ張られた。あ、これ僕多分真横に拳突き出してたな!ははは!!
カチャッ
「ははは、じゃないだろ!!」
ヘッドホンを外されたと思ったら今度はあの子の大声が響く。この声があればマンドラゴラの範囲内に入れたと思うが...
ああ、そうだここにマンドラゴラが来た経緯を聞くことを闇の中にいたらすっかり忘れてしまった。目が見えない僕この子の手を握って安全圏に離れていく。
あれ、でも何でこの子はスマホ取れたんだろう。
「どうやってスマホ取ったの?」
ちょうど立ち止まったところで聞いてみた。顔が見えないからこれ聞いていいかどうかがわかんないな。
「それも経緯の途中に話します!」
まあそれならまた話聞きますか!
――――――――――
ポータルの話をしたからもっと詳しく話すよ。ここ重要だからね!
異世界からこっちに来るためにはポータルを通る必要があるんだけど、そのポータルは二つある。
一つは献上品を渡して現実世界に行きたい!って意思を持つ人が通るポータル。通るためには献上品ともう一つ条件があるらしいけどオイラはわからない!そしてそこを通るともう後ろには戻れない。
そしてもう一つはそのポータルを通った先にある。ここでは行き先の選択、心の準備ができる。
そしてこの二つ目のポータルを通ると、異世界の中から選ばれた魔物が現実世界に来る。その場所は現実世界で選択した場所と同じ。
あと先に言うとオイラも魔物ではある。でも一度正義を誓ったからここのポータルに選ばれて出ることはない。
選ばれて出ることがないだけ魔物は現実世界に出ることができる。オイラみたいにね。
ただ、オイラはこの現実世界を救うためにきた。でも単純に人を殺したい魔物がランダムで選ばれるのをめんどくさがってやる例が多い。酷い話だよ。
そして、ここからが大切な話。
魔物が献上品を持って現実世界に出る時は他の魔物が第二のポータルから出ることはない。
つまりどう言うことかわかる、君?
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「この場所には、もう一人現実世界に来た人が・・・いる。」
ややこしくてすいません!!ちょっとわかりやすくしたのをまた書こうと思います!




