9 昇山・託宣(たくせん)
4人ともまだ感動でえぐえぐ泣きながら、昼飯のカップ麺をすすっている。鼻をすするのか麺をすするのかどっちかにして欲しい・・・
ゼンちゃんはシーフード味、レイリは青いキツネ、俺は一番塩ラーメンをチョイスしている。
あと2人の黒装束の護衛?の人だが、ひとりはチューブのゼリーを食べている。もう一人はカレー味カップ麺だ。
裏技としてシーフードは牛乳をちょっと入れるとクラムチャウダーヌードルっぽくなる。
青いキツネは熱湯を入れ10分以上ふやかした麺もうまい!そしてポン酢ちょい入れもうまい。
一番塩ラーメンはレモン入れると塩レモンラーメン。
梅干しと乾燥ガーリックちょい入れると梅塩ガーリックラーメンってやつになる。
海苔の佃煮を入れると海苔塩ラーメンになる。
こっちの世界でも安藤百福さんがいてくれて良かったとノブオは心から思った。
さてお腹も温まったし剣ヶ峰までもうひと頑張りしますか!
最後の急斜面をチェーンを掴みながら登って行くと剣ヶ峰の祠があった。向こうの世界だとここに[日本最高峰富士山剣ヶ峰]という柱がある。
祠にクッキーを備え祈る・・・
『その方、諸国をまとめ日の本の王となるがよい、その後、仙籍に入るがよい』
うぉ!頭に響いた!
ヘッドホンで音楽を聴くような感じか?っと予想していたが全く違った!
頭の中に直接響いたのだ!!
ぐわん!ぐわん!響いた!!!
ゼンちゃんとレイリと2人組も聞いたらしく、俺にひざまづいて居る。
嫁が部下がひざまづくのが嫌なのでレイリを抱っこして立たせ、ゼンちゃんと2人組にも立つように言う。
「ノブオ様、何ともこの度凄い託宣でありました。立会わせてもらい荒木一族の誉でごさいます」
「旦那様、山中一族としても誉れでごさいます。また妻としていただきこの上なき幸せでございます」
レイリは宰相の娘だったのだ。
宝城家の家来には筆頭の四家があり御由緒四家と呼ばれている。
陰陽道の大道寺一族・武系の荒木一族・文官の中山一族・あとは忍びなど情報系の荒川一族がある。
2人の同行者がマスクを脱ぎ頭を下げる。
小柄な身体付きだったのでもしかしたら?っと思ったいたらやはり女の子だった。
「荒川一族も誉れでごさいます」
「大道寺一族も誉れでごさいます」
「あーなるほど、チューブゼリーを食べた方が荒川さんかな?高所適応大変だったね?カレー味が大道寺さんかな?」
「そうです!何故おわかりに?」
「忍びは体臭が残る食べ物は口にしないでしょ?」
「はい、そうです!食べてもほんの少しだけです」
「大道寺さんは曙さんの娘さん?」
「はい、長女です。3兄弟で2人の兄がいます」
「2人の名前は?」
「穂乃果です。荒川穂乃果、16歳です」
ショートカットのクール美少女だ。
「唯です。大道寺唯、17歳です」
姫カットの美少女だ。
「なるほど・・・昇山を御由緒四家は立会いたいのか?」
「はい、面子がありますし、山中はノブオ様に嫁ぎ、荒木家にはナミ様が入りますから」
「パワーバランス?」
「それは四家とも非常に仲は良いのでございます。四家の序列は全くありません。ですがその下の外野からのやっかみが少々目障りでして・・・」
「あぁーなるほどね・・・」
(うーん・・・そうなると国内で馬鹿共がマウントを取ろうとして足を引っ張り合うんだよなぁ、そういうのは国益にならないんだよなぁ、何とかならないかな?)