5 秘書兼、嫁
姉らしき人物はノブオを睨んでいる。
妹はニコニコしている。
国王ははあ〜っとため息を吐き、娘達に挨拶を促した。
「一姫の波です。私はあなたを王族として認めませんし、まして夫として認めません!」
これはどう返したら良いのだろう、ちょっとイタイ子だ。
「二ノ姫の汐です。初めまして」
とても素直な子だ。
「上のナミが18歳、下のシオが15歳になる。ノブオ殿の妻にはナミを予定している」
はあ、そうなんですか?
「お父様、お言葉ですが絶対なりません!あなた種子島は使えますか?」
「使えませんが?」
「ほらみなさい、戦士でもない者の所に嫁ぐのは嫌です」
(まぁ、日本人だから銃は使え無いしね、サバゲーはちょっとやってたけど。それにしてもなんか凄い言われようだな?)
「一姫はこの調子なのだ、申し訳無いノブオ殿」
「はあ、とりあえず姫の嫁うんぬんは無しでお願いします」
国王と大道寺の表情が凍りつく。ナミ姫は満面の笑みだ。(ああ、この姫意中の人がいるな)
ナミ姫を見てピンと来た!
「重ねてお願いしますが、姫との婚姻に関しては白紙にしてください」
国王と大道寺の表紙はどんより暗い・・・
「それと、明日からでも教育カリキュラムをお願いします。こちらの世界の事、内政、あとは武器の取り扱いをお願いします」
「それは心得た」
「ナミ姫は白紙と言う事なので・・・1人ノブオ殿専用の女官を付ける。後で挨拶に行かせるので判断してくれ」
「わかりました」
(おっ?専用秘書が付くのか?さすが王族!)
曙殿に案内され俺の部屋に案内される。
「こちらの菊の間がノブオ様の部屋になります」
扉を開け入る。鍵は無いようだ。
「何故、鍵が無い?」
「ここまで入られる事は無いからです」
「国母と王子が暗殺されたとか?」
「他国の訪問中です」
(それ外交問題になってないか?)
曙殿は用事があれは机のベルを押せば使用人が来る。という事を伝え部屋を出た。
それにしてもこの部屋広い・・・落ち着かない・・・
ソファを隅っこに引っ張っているとノック音がした。
「どうぞ!」
「失礼します」
軽くウェーブしてる髪の何とも美しくも優しい顔立ちの女性が入ってきた。
「お側係の零里です、18歳になります」
(ナミと同じ18歳の割にかなり大人びているな・・・)
「はい、よろしくお願いしますね」
「私でよろしいでしょうか?」
「?、もちろん良いですよ?」
「誠心誠意尽くします」
「?、よろしくお願いね」
「ところで旦那様は何をなさっているのでしょう?」
(旦那様と来たか!どっかの商人みたいだな!ダンナハーン!とかwww)
「部屋が広すぎで落ち着かないから、隅っこにコレを持って行って見ようかと思ってさ」
「お手伝い致しますね」
一緒にソファを動かした。
実はこの日ノブオはかなりの事をやらかしてしたのだ。
お側係は秘書だと思っていた。
いや、間違えでは無い。
彼女は小さい頃から努力し、特別優秀な秘書らしい。
で・・・
兼、側室だそうだ、第二夫人ってやつ。
で、このまま第一夫人に王族が入らない場合は第一夫人となり国母となるそうだ。
OKしたもんだから彼女の一族は大喜び。国王と大道寺のおっさんも少しホッとしたらしい。
なので彼女の使っている「旦那様」は、「社長さん・お偉いさん」じゃなくてまさかの「夫」の方のだんなさまだった・・・
・・・まぁ、かなり好みだし優秀で素直そうだし・・・
断る理由は1ミリも無かった。
夫婦になったので向こうから持ってきた、ダイヤモンドと9ミリ真珠のネックレス・イヤリングを渡した。
普段使いにアレキサンドライトのネックレスも渡した。
レイは緊張で震えていた。
何でもどれもかなり伝説的宝石らしい。
ふざけて追加で黒真珠のネックレスも首にかけてあげたら、そのまま気を失ってしまった・・・
「だっ、旦那様恐れ多い宝石です!」
気がついた一言目がこれだ。
「でも妻になるんでしょ?」
「それは・・・もちろん」
「向こうだとこのくらいは結納だから」
っと適当に嘘をついておいた。
「向こうの女性はとても大事にされて居るんですね」
「レイリもちゃんと愛してあげるから大丈夫ですよ?」
「はぁーわぁぁーーーーーそんな愛って❤️モニョモニョ・・・」
顔を茹でダコより真っ赤にしてモニョモニョ言っている。
「?」
「ぜっ、ぜっ、よっ、よっ・・・」
「?」
「ぜひ!よろしく全力で可愛がって下さい!!」
「?、可愛がりますよ奥さんなんだから?」
「ひゃあぁぁーーーーーもうむりぃ❤️ーーー!」
レイリが気を失った。
「何!?、どうして!」
しょうがないからソファーに寝かし毛布を掛けておく。
その後、部屋に来た曙殿は厳しい顔になる。
レイリがソファに寝て居るからだ。
「ノブオ様、何か異常事態ですか!」
「違う!違う!」
曙殿にレイリとの会話を話したら・・・
曙殿はニコニコ顔だ!
こっちの世界では愛しているとか大事にするとか、そういう甘い言葉は絶対的に言わないらしい。
「でも言わないと分かりませんよね?」
「そーーーなんですよーー!!あぁレイリが羨ましい・・・こっちのバカ男共は全くわかってない・・・モニョモニョ」
そのあとはずっと何か(おっさんの?)文句を言っていた。
レイリが目を覚ました。
「こっ、こっこ・・・」
(ニワトリか?)
「こっ、ここには旦那様がお運びに?」
「そうだけど?」
「どっ、どうやって?」
「どうやってって・・・左手で抱いて右手で足を持って、いわゆるお姫様抱っこで?」
「!!・・・おぅおぅ」
(アシカか?)
「おっ、お姫様抱っこ❤️」
「レイリ夢達成しました!ゲット・ザ・グローリーですぅ!」
レイリは鼻血を出した・・・
そんなに刺激なのかよ・・・
そこまで男免疫無いんじゃ、そもそも業務的に支障あるんじゃないか?
鼻血を拭いてやると目を泳がせるながら、「旦那様、嬉しい幸せ」を連発していた・・・
曙殿はそれを羨ましそうに見ていた。
(私も第三夫人に立候補しようかしら?そうだ!あの子送り込もうかしら!)