4 ノブオ異世界に行く
「ノブオ殿、大丈夫でございますか?」
おっさんが俺の胸の中で俺の顔を見上げる。
俺は思わず吐き気をもよおしてしまった…
目の前は小田原城かな?
何か青いぞ?城が青いぞ?
「これ、小田原城?」
「相模城など言われますが、正式には小田原城です」
(江戸城みたいなもんか、あれも千代田城だし)
「ノブオ殿大変申し訳ない、国王が過労で倒れたと連絡があり居ても立っても居られず・・・急遽渡ってしまいました」
「あぁ、そういう事だったんですねそれは心配ですね」
(祭り最中に観光課職員が行方不明か、役場の上司達には迷惑かけるだろうな・・・)
向こうの小田原城と違い、城の下の石垣の一部が門になっている。
6名のBDUを着た衛兵がおりTAR-21タボールに似たアサルトライフルを持ち、腰には脇差を差している。
「なんか凄い銃ですね?」
「銃?あぁ種子島ですか、それは突兵二四型で最新です」
大道寺のおっさんが門に近づくと、衛兵が肩にかけていた銃を前に持ち替える。
おっさんが門手前のポールに手をかざすと、門の上部が緑に光った。
「おかえりなさいませ大道寺様!」衛兵達はおっさんに声かけおっさんもそれに答えている。
「仁様も同じように」
同じように手をかざすと門の上部が銀朱に光った。
それを見た衛兵からは驚きの声があがり一斉に跪く。
おっさんは満足そうだ。
「ノブオ殿と言う」
「お待ちしておりました我らが主ノブオ様」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
皆が驚き、顔をあげた。
「もったいお言葉でございます」
兵士達はすぐ下を向いてしまったが、微笑んでいるようであった。
城内のエスカレーター乗ったおっさんの後ろに続く。
「あの入り口のボールは王族の場合必ず朱色系が出ます」
「なるほど、それで俺は王族証明された訳だ」
「はい、間違い無く!」
後ろをついてあきながら、おっさんの服を見る。
こっちのパンツは袴では無く、どちらかというとガウチョパンツのような形だ。
上着の帯もベルトのような感じになっている。
和洋入り混じっているデザインだがとても動きやすそうだ。
・・・途中2回乗り換えた。
(方向的にはウチの小田原城の子ども遊園地の方か?)
次の分岐点で降り木の引き戸の前に出た。
おっさんが引き戸を開けた。
「大道寺ただいま帰りました!」
旅館の玄関のようになっている。
こっちは生活の屋敷という事か?
奥から気配がし60過ぎのおっさんと45歳ぐらいの女官が現れた。
「大道寺には禁術の渡り魔法使わせてしまった、ほんとうにすまぬの」
「いえいえ、結果は良かったです。国王様お体の方は?」
「さすがに、あまり芳しく無いな・・・で、そちらが?」
はっ!国王様、こちら宝城ノブオ殿です、お年は25歳になりました、それとこの証拠の印籠を」
「これは・・・600年前居た名工、左の作では無いか!」
「初めてお目にかかります。ノブオと申します」
「うむ相模国の国王の宝城大海だ、こっちは大道寺のカミさんだ」
「大道寺曙と申します。夫がご迷惑お掛け致しました」
おっさんの豪快さとは違い、ちゃんとした?人のようだ。
「さあ奥の方へ、姫を紹介しよう」
スリッパに履き替え狭い廊下を奥に向かう。
廊下が狭いのは刀が振りかぶれないようにであろうか?
奥の部屋に入っていく。
何とも心地よい香が漂っている。
ソファーには女の子が2人腰掛けていた。