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3 胸に飛び込んできたおっさん

家に帰り玄米茶を淹れ、リビングに座る。

「この茶は何とも香ばしいですな!」

大道寺のおっさんは喜んでいる。

そう言えば・・・


親父の遺品を探した時に出てきた、桐の箱に入った印籠を出し見せた。


「これは! 間違いなく宝城の家紋4つ鱗!」

中には干からびた薬が入っている。

「これは!?、南州地域でごく少量採れる時の花の実か!ノブオ殿これがあれば確実に向かうの世界に帰れますぞ!」

オレが異世界に行くのは決定らしい・・・マジか!

ただ親父が死んで気が抜けたのは間違い無い。まぁ元々向こうの世界の人間ならば戻ろうと思う。


「ノブオ殿こちらはお父上か?」

「そうですよ先日他界しました」

大道寺のおっさんに父の死を話すと、おっさんは怒り恐ろしく鋭い目で、ネットの親父を殺した男を睨み付けた。


「ノブオ殿、向こうに渡るとしても、この男の息の根は止めておきます。その前にコイツに近い一族も掃除しておきます」

「何の事?」

「呪詛を発動します。向こうの世界では王族殺しは禁忌でもあり大罪です、他の国の王でも神が命じた王は殺してはいけません。天命だからです」


おっさんは机に魔法陣らしき物が書いてある紙を置くと、にゃもにゃと何か唱え中央に手から出た水?を落とした。

魔法陣が光り消えた。

「これで完了です。神罰を受けるでしょう」

「それは魔法?」

「まぁ、西洋ではそう言っていますな。我が国では陰陽道と言います」

向こうの世界は魔法があるらしい。っと言う事は科学はあまり発展していないかも知れない。

パソコンのモニターを見たが向こうにもあると言う、ただし魔力(陰陽道)の力で動く。やはり電力は無いらしい。そりゃお手軽なエネルギー源が他に有ればそれに越した事は無い。


すぐに家を処分し6月で退去だ。

市役所も退職する事にし、後輩に仕事を引き継いだ。

5月の北条祭りが最後の仕事となる。

金は基本的に宝石に変え、印籠と一緒に48リットルの登山用のリュック入れた。

電子百科事典も購入しノートパソコンにインストールし、ソーラー発電機と予備バッテリーとデジカメをリュックに入れる。


そのあとも色々と必要と思われるアイテムをせっせと日々集めてリュックに入れていった。


何だかんだぶっ倒れそうなぐらい、忙しい1ヶ月だった。


◾️◾️◾️


あの呪われた男だが、兄と母が病気になった。

身体が日々、腐っていくらしい。

病院にも連れて行かず謎のゾンビ病と言い、様子をネット配信をしていた。

そして配信中に自分の身体も腐ってきた。

(おっさんの呪詛って凄いな!)


焦った男は配信実況しながら病院に行ったが、伝染病の疑いがあり診てもらえなかった。

足が腐り落ち手が腐り落ち恐怖で泣き叫んでいた・・・

これが日本のタタリだ!っと皆に言われていた。


そして7日後、配信実況中に首が腐り落ち死んだ。

最後まで配信する配信者の馬鹿さにはほんと驚きだ。

それを見た大道寺のおっさんは、とても満足そうだった。


その呪詛を国母・王子を暗殺した者には使えないのか?と聞いたが、呪詛返しというか呪詛バリア?みたいのがあるらしい。

そりゃ魔法ありの世界なんだから、色々研究されているようだ。


◾️◾️◾️


さあ!

いよいよ北条祭りだ!気合いが入る!

年々客が増え続けていて我々、観光課としてもとても誇らしい。


昼になり人が一気に増える。

事故が起こらないように誘導し、人員整理をしていく。

色々なセレモニーが行われ、メインのパレードも何とか終わった。

「宝城お疲れ!遅くなったが1時間の休憩に入れ!」


ヘロヘロになりながら、二の丸広場でカマスの唐揚げを2本買い、食べながら常盤木門(ときわぎもん)を登っていると、俺のリュックを持ったおっさんが走って来る。

そして最悪な事に俺の胸に飛び込んだ。

(やめろおっさん!乙女か!)





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