表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

格闘令嬢ジュリアシリーズ

とある乙女ゲームの悪役令嬢に転生した“格闘家”の寝言と動きがなんだかチグハグ!?

 なろうラジオ大賞用小説第十一弾

(ほぅ。コヤツが我々の目の上のタンコブであるジュリア・イーグルハイムか)


 ある夜。

 (なん)の因果か、乙女ゲーム『虹色クロニクル』の世界の悪役令嬢である少女(ジュリア)にTS転生してしまった者の寝室に侵入者があった。


 侵入者はジュリアにとっての敵の一体。

 なぜか彼女(彼?)の命を今なお狙っている謎の存在だ。


(なぜにこの少女が我々の目の上のタンコブかは知らんが、これもこの世界のためだ。死ねィ!)


 侵入者は、(いま)だにスースー寝息を立てながら眠っているジュリアに刃を向ける。

 侵入者としては、なぜ彼女が殺されなければいけないのか、憐憫(れんびん)ではなくただの好奇心でその理由が物凄く気になったのだが、その前に仕事を片付けなければ上司にどやされるため、命令通り彼女を始末しようとして――。






「……ムニャムニャ……だからヘレン……言ったでしょう……?」






 ――寝言と同時に、なんとジュリアはバク転して刃を(かわ)した。






「ッ!?」

 侵入者は驚愕した。


 ()()()()()()()()()()()()

 にも(かか)わらず、なぜ寝言とはまったく関係がない動きができるのかと。


「……うぅ~ん、それは……さすがにアウトですわ……ユリンさん……」


 ジュリアはさらに寝言を言った。

 同時に彼女は侵入者へと近づき手刀を放つ。


 侵入者は慌てて避けた。

 だが相手(ジュリア)のチグハグな言動のせいで攻撃の種類やリーチを予測できず、(かす)り傷を()った。


(いい加減にしろ! お前本当は起きてるんじゃないか!?)


 なぜ今の状況が成ったのか、侵入者には全然分からなかった。

 そして眠っているジュリアにそんな状況など分かるハズがなく。






 さらに彼女は伝統派空手の技の一つ『サソリ蹴り』で侵入者の頭部を打つ。






 攻撃はモロに入った。

 おかげで侵入者の平衡(へいこう)感覚に支障が出る。


「ナメんな!」


 思わず侵入者は声、そして刃を出す。

 だがしかし、それでもジュリアは起きず。






 それどころか彼女は次に、その刃に向けて蹴り……を放つように見せかけさらに上部を狙った蹴り……すなわち、同じく伝統派空手が由来の技『ナイマン蹴り』を放ってみせた!






「ぐはっ!」


 ナメてたのは侵入者だった。

 というか侵入者は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という理不尽摂理の存在を考えてなかった。


「ちぃ! ここは撤退だ!」


 まさかのイレギュラーを前に、侵入者は撤退する。

 そしてそんな騒動の中でも……ジュリアが目を覚ます事はなかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いや・・・。 どうやれば・・・w
乙女ゲーしゅごい( ˘ω˘ )
おお、サソリ蹴りですか! 美川〇一のごとく粘着質に密着して蹴りを繰り出す技とか(チガウ) ナイマン蹴り! これも有名ですね。漢字表記で元史蹴り。モンゴルの遊牧民から伝来し、空手で昇華した中上段の二段蹴…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ