考察
「ここは……?」
わたしはどれくらい気を失っていたんだろう……、どこからともなく聞こえてくる鳥の鳴き声で目を覚ますとどこかの建物の中にあるベッドに寝かされていた。
どうやらわたしはユーリとエミリーという人たちに保護されたようだ
わたしはベッドから身体を起こすと制服のまま寝かされていたようでシワになっていた……。
保護された手前文句は言えないけど、せめてブレザーくらいは脱がしてほしかったかな……。
ベッドから窓を見ると、窓から陽の光が差し込んでいた。
森の中でも日が照っていたので、あれからそう時間が経っていないのかもしれない。
「それにしても、ここどこだろう……?」
辺りを見渡すと、とある違和感に気がついた。
この建物がどこかは分からないけど、木で出来た部屋に木の家具、これだけを見ると日本のどこかなのだろうと思うけど、日本では……、いや世界のどこであろうとほぼ必ずあるはずの当たり前なものがなかった。
「電気がない……?」
部屋の天井に電気が吊るされていなかった。
無いのは電気だけしゃない、テレビもなければエアコンもない。
それどころか、コンセントの差込口自体どこにも無い。
ここは電気もない外国なのだろうかと思ったけど、よくよく思い起こせば先程であったユーリにしろエミリーにしろ言葉が通じていた。
現地に住む日本人もしくはその子供だと考えれば言葉が通じるのも納得がいく。
「え……?でもちょっと待って……」
現地の日本人説で納得しかけていたわたしの脳裏に、犬の耳と尻尾のようなものがあの二人に付いていたことを思い出した。
それに、わたしを襲おうとした悪漢の中には二本足で歩く狼みたいなのもいた……。
もちろんユーリやエミリー、そして二本足で歩く狼達は衣装か何かを着てなにかの撮影かをしていると言う線も否定できないけど、その割にあの時見た流れ出る血は撮影とかじゃなくて生々しかった……。
「と言うことは……、さっきの出来事は実際に起きたこと……?」
悪漢たちから向けられた殺気も、血の匂いも実際に起きたことということになる。
そう思うと先程までの出来事に今更ながらわたしは恐怖した……。
『サナ、起きてる……?』
突然ドアをノック音と人の声が聞こえてきたため、わたしの身体は思わずビクっとしてしまった。
し、心臓が飛び出るかと思った……っ!
声からしてどうやらエミリーさんのようだ
「エミリーさん……?はい、起きてます」
『じゃあ入るわよ?』
わたしの返事を聞いてから部屋へと入ってきた彼女は最初に出会った頃のようなライトアーマーではなく、薄手の長袖のシャツに膝くらいまであるスカートを履いていた。
髪型は先程と同様にサイドポニーで、思わず彼女の胸元へと目を向けるとBカップくらいだろうか、スレンダーな彼女らしい小振りな胸だった。
勝った!
Dカップなわたしは思わず心の中でガッツポーズを取る。
「サナ、体調はどう?」
「あ、はい。大丈夫です……。それよりエミリーさん、ここはどこですか……?」
「あたしの事はエミリーでいいわ。それに、敬語も使わなくて言いわよ。ここはあたし達の家でこの部屋は丁度空いていた部屋よ。と言っても借家だけどね。それよりサナ、お腹空いてない?」
「お腹……?」
エミリーさん……、もといエミリーに言われお腹に手を当てると、わたしのお腹がぐぅ~っと鳴った。
はう……!
思わずわたしの顔が赤くなる……。
「あははは。まあ、仕方ないわよ。サナは昨日のお昼ぐらいからずっと気を失ったいたからね」
え……?昨日のお昼ぐらい……?
「え……?えっと、わたしどのくらい意識を失ったの……?」
「そうね……、サナが気を失ったのが昨日のお昼過ぎくらいで、今が朝だから……だいたい半日くらいかしら……?」
「んな……っ!?」
そんな……!わたしは人様の家で半日くらい気を失っていたの……っ!?
「さて、サナお腹空いてるでしょ?今頃ユーリが美味しい食事を用意してくれているから、食事をしながらサナの事を聞かせてもらえるかしら?」
「う、うん……。あの……!エミリー昨日は助けてくれてありがとうっ!わたし、ちゃんとお礼を言えてなかったから……」
「気にしなくていいわよ。あたし達も昨日は偶然通りかかっただけだから。それに、あなたにケガが無くて何よりだわ。それじゃあリビングのほうに案内するから付いてきて」
わたしはエミリーに促されるままこの部屋を後にするのだった……。