閑話【重大機密】
大公家達の狼狽を見てスキルの持ち主が居るのかと察したジェスター5世。
「おぉ、 まさかスキルを持っている者がおるのか?
居るのならば名乗り出ろ」
「へ、 陛下、 御言葉ながら・・・スキルを持った者は
私を襲った為、 下界へ放逐しました」
ダイヤがおずおずと口にした。
「何と!? 今までに周知されていない未知のスキルを持った者を放逐しただと!?
何故スキルの詳しい確認をしなかった!!」
「問題を大きくしたくなかったのです・・・」
「大問題になっているじゃないか!! 貴様ッ」
「まぁ待つにょジェスター5世」
キングでぶ妖精が制する。
「おでぶちゃん・・・しかし」
「余からも御話があるにょ」
騒めく一同、 でぶ妖精から話? 一体何だ?
「魔王との戦いに人類が敗北した時、 この世界と君達の世界への出入り口を閉じます」
「な、 何だと!? どういう事だ!?」
「でぶ妖精会議での決定にょ、 仕方ないね」
でぶ妖精会議とはでぶ妖精の権力者達が集まる会議である。
怠け者のでぶ妖精にしては奇特な会議である。
「出入口を封鎖するだけでこの世界への居住は今まで通り認めるにょ」
「・・・・・」
静かになる一同。
「だがしかし我々は魔王に勝利しなければならない
勝って下界に戻らなければならないのだ」
ジェスター5世が力説する。
「失礼ながら、 この世界はとても住みやすい良い世界です
下界に戻る必要は無いのでは・・・」
ブリッスルが震えながら発言する。
「いや、 この世界は人間が住む世界では無い
だから戻らなければならないのだ」
「意味が分かりませんが・・・」
「分からなくても良い、 知る必要は無い」
「それは如何かと思うよ人間ちゃん」
人間ちゃんとはキングでぶ妖精がジェスター5世を呼ぶ時の呼び方である。
「彼等にも真実を教えるべきにょ、 それで如何するか
判断は彼等に任せるべきだと思うにょ」
「真実・・・?」
「一体何だ・・・?」
困惑する一同。
「・・・・・・・・・・・・分かった
ではジェスター王家が今までひた隠しにして来た秘密をお前達に語ろう
だがしかし・・・かなりショックな内容かもしれない事は念頭において欲しい」
ジェスター5世が声を絞り出した。
「・・・まずは我々大公家の当主が聞くと言うのは如何ですかな?
それで他の者達に伝えるか否か判断すると言うのは・・・」
ヒューグルが提案する。
「ならばそうしようか、 ヒューグル、 シロナ、 ダイヤ、 ブリッスル
こちらに来てくれ」
手招きを擦るジェスター5世に連れられる四人だった。