閑話【モルガナとの婚約】
モルガナとの婚約はラッパにとっても苦労だった
馬車に乗っているショウ家の三人。
「そうだラッパちゃん、 貴方の次の婚約者だけど」
「私の婚約者はモルガナです」
「いや、 彼女は家を放逐されたから婚約は解消されたのよ
君に渡した婚約の条項に【家を放逐された場合、 婚約破棄】と書いてあったでしょう?」
「・・・あの勝手に貴方達が渡した書類ですか?」
「親に向かって貴方達とは何事だ!!」
声を荒げるヒューゲル。
眼を見開くラッパとクララ。
「ラッパ、 私は君の我儘を叶えているつもりだ
だから君が外食をして家族との夕食を取らないのも
利用価値の無い屑の様な娘との婚約を認めた
だが我儘にも限度と言う物が有る、 その限度を定めたのが
婚約の条項だ、 本来ならば君が勝手に婚約者を選べると思わない事だな!!」
一気に捲し立てるヒューゲル。
「そもそも子供の頃に少し会話してそれで婚約?
君は一体何を考えているんだ? 子供の頃のごっこ遊びと思ったら
ずーっと続けるし、 あのままなら本当に結婚する事になっていたんだぞ?」
「それは・・・」
モルガナとの出会い、 それは昔とあるパーティに出かけた時の事。
少年時代からラッパはモテていた、 何処に行っても女の子がやって来る。
自分の容姿と家柄に絶対の自信を持っていた、 どんな女の子も自分のトリコ。
そう本気で思っていた。
しかし自分に寄って来ない娘が居た。
地味な少女だったが話しかけると
『あの・・・私はソク家の五女です
大した事も無いので話しかけなくても良いですよ』
ラッパは震えた。
そして今までの見識を改めた。
今まで自分に寄っていた娘は大公以下の家柄だ。
それなのに自分に寄って話しかけて来る。
成り上がりたさが滲み出ている。
それに比べてモルガナは如何だ?
自分の身を弁えて此方の事を想っている。
何と言う心の深さか!!
それからと言う物、 モルガナに惚れた。
一目惚れと言って良い。
そしてモルガナと結婚する為に両親に相談した。
だが母は泣き始め、 父は怒り狂い始めて手を挙げられた。
そして納屋の様な部屋に閉じ込められた始めての折檻にラッパは泣き叫んだ。
しかしラッパは態度を改める事は無かった。
婚約を相談しては殴られ納屋に閉じ込められ相談しては殴られ納屋に閉じ込められ
それを何度も繰り返してやっとの事婚約を認めて貰えたのだった。