第70話【Guest】
すぐ傍に居る
モルガナが部屋で目が覚めた、 何時の間にか眠っていた様だ。
「ん・・・」
「おはよう」
部屋の中にデッドが居た。
モルガナは飛び起きて構えた。
「誰?」
「デッド」
「・・・・・何者? 気配がしないけど」
「まぁこの世界では縁遠いが・・・お前を啓蒙しに来た」
「どういう事?」
「まぁ聞け、 お前はこの地獄みたいな世界から追放される事になる」
「死刑じゃなくて?」
「何か勘違いしているみたいだな、 この世界では死ねない」
「?」
「閑話休題、 お前はこれからこの世界を追い出される」
「まぁ家族と縁が切れるのなら嬉しい事ね」
「そうか、 それで向こうの世界で良い奴が居るんだ」
「良い奴?」
「ロダンと言う男だ」
「ロダン? どんな奴?」
「人を慈しめる良い男だよ」
「ふーん・・・」
興味が無いモルガナ。
「如何した?」
「いや、 折角家族とかしがらみから自由になれるんだから
ロダン? だっけ? そんな奴と会う必要が有る?」
「魔王討伐には重要な意味を持つ」
「え? 何で私が魔王討伐しないといけないの?
追い出されるのに?」
「残念ながら君はそうしなければならない」
「何故?」
「家族すら嫌う君が魔王を嫌いにならない訳が無い」
「?????」
「魔王はそれ程まで屑野郎と言う事さ」
「そうなの、 それよりも女の部屋に勝手に入るのは頂けないわね」
「俺にノックをする習慣は無いのでね」
「物凄い失礼ね、 貴方」
「それは失礼したね、 御嬢さん」
「ふん・・・却ってムカつくわね・・・それよりもどうやってここに入って来たの?」
「ドアから」
「そうじゃなくて見張りとか居るんじゃないの?」
「俺と税を遮る物は存在しない」
「ふぅん・・・」
興味を無くしたのかベッドに横になるモルガナ。
「まぁ如何でも良いわ、 そろそろ帰ってくれない?」
「えぇ? 折角だしお喋りしようぜぇ?」
「うざったいわね、 殴るわよ?」
「そいつは無理だな、 おっとお客さんだぜ?」
「客?」
ドアの外で言い合いが聞こえる。
「うん? 一体誰が・・・ねぇ」
デッドが消えていた。
「・・・・・現れるのも居なくなるのも意味が分からないわね・・・
幻覚か何か?・・・・・・・・・・・・・・・・ふふ」
笑うモルガナ。
「ふふふふふふふふ」
外に居る人間、 それは彼女が会いたかった人間だからだ。
「来たかぁ・・・」
だらしなく笑うモルガナ。