第59話【稽古】
鍛錬は大事
Odevu verseの片隅のジェスター特別区。
その一角にあるジェスター王立学園。
その王立学園の一角にある武闘場で五大公ソク家の五女、 モルガナ・イト・ソクと
武道担当教官の五大公の分家、 ヒラマサ・ホソヌメが稽古をしていた。
素手同士の拳闘だがその実力は一線級である。
「ふむ、 ふむ良いねモルガナ、 今日は実に調子が良いじゃかね」
「っ・・・!!」
ヒラマサの攻撃にモルガナは必死に対応する。
しかしガードが切られ、 モルガナの眼の前に正拳が飛んで来る。
「はい、 一本」
「はぁ・・・はぁ・・・ありがとうございます・・・」
頭を下げるモルガナ。
周囲で見ていたでぶ妖精達がモルガナに水を渡す。
モルガナがそれを受取って飲む。
「いやいや、 良いんだよね、 これが仕事だからね
しかし今日は何時になく調子が良いね、 何が良い事でも有ったのかね?」
「ぷはっ・・・実は明日成人です」
「ふむ、 それは良い事なのかね?」
成人して神からスキルを貰うのは名誉な事である。
しかし命の危険性も有るのだ、 手放しで喜べる事ではない。
「いえいえ、 これで漸く一人前ですから」
「もう既に一人前を超えていると思うけどねぇ
君は相当強いよ? 君の婚約者が君の事をおちこぼれと噂しているけど
ハッキリ言って単なる僻みだと思うよ?」
「私の婚約者ですか・・・」
彼女の婚約者、 五大公ショウ家ラッパ・エンゼル・ショウはイケメンで
ショウ家の跡取りとして知られている、 モルガナの一歳年上で【聖人】のスキルを持っている。
「そんな方が何で私の様なのを妻に娶りたいと言っているのか分かりませんね」
「さぁね、 適当じゃ無いかね、 適当に遊びたいから適当に地位の低い君を選んだ
無くは無い話じゃないかね?」
「遊ぶなら勝手に遊んでほしいのですが・・・」
正直ラッパの趣味に合わせるのは苦痛でしかない。
ラッパの悪趣味に合わせるのは苦痛でしかない。
そんなラッパの人生に付き合わされるのは凄惨でしかない。
モルガナは正直ラッパの事は嫌いである、 嫌悪している、 生理的に受け付けない。
しかし家の為に態々我慢しているのだ。
「ラッパ君の話になると顔が青白くなるね、 何か言われたの?」
「いえ・・・・・単純に私とラッパ様が合わないだけです」
「そうかね、 まぁ何も言わないね」