第44話【Faces of a Fig】
出会えた事にありがとう
「まず私はギルドに所属している冒険者でパーティを組んでいたのよ
パーティの名前はイチジクの顔」
「イチジクの顔?」
「パーティメンバーが幼馴染でね、 近所に植えられていた無花果が好物だったの」
「幼馴染・・・」
ロダンの脳裏に何かが浮かびかけた。
「ロダン?」
「え、 あ、 あぁ続けて」
「パーティメンバーは剣聖の山田、 聖堂騎士の福島、 魔法剣士の京子と私」
「・・・・・デッド、 これってバランスは如何なの?
全員騎士とか剣士とかって・・・」
「あー・・・確かに剣を使えるが全員剣と治癒魔法、 剣と魔法とバランスは良いんじゃないのか?
後は斥候として盗賊を入れるって言うのは理に適っている」
「アタッカーと文武両道の二人、 そして私、 バランス的には良かったと思っていた
だけど連中は私の事を邪魔に思っていたみたいでね
私は置き去りにされたのよ」
「え、 な、 何で?」
「私は知らなかったけどイチジクの顔に勇者様からお誘いが有ったらしくてね
私が居ると5人パーティになる、 だから私をここで殺すつもりだったのよ」
「そんな・・・」
「連中にとって誤算だったのが、 普段は奥に居る筈の巨大な戦闘機械が
上層部に上がって来ていたって事ね、 それで私を囮に他の連中は逃げたって事」
「酷い・・・」
涙を流すロダン。
「裏切られたのは君じゃなくて私よロダン」
「なんで・・・なんでそんなに平気そうなんですか?
幼馴染に裏切られたんですよ!?」
「・・・・・まぁ私が合わなかったって事は薄々感じていた
連中が私を疎んでいたと言うのは分かっていた
だがまさか排除しようとしてくるとは思わなかった
殆どフルアタッカー構成に近い奴等が
斥候の重要性を分かっていなかったとは思いもしなかった」
悲しそうに言う花子。
「だけど、 今日裏切られた事は幸運だったかもしれない」
「え、 どういう事ですか?」
「君の様な凄い人材に出会えたからだよ、 君は今まで見た中でも最高のヒーラーだ
イチジクの顔の裏切りをギルドに連絡した後に強い前衛を入れれば
相当なパーティになるのは確定的に明らかだよ」
「そ、 そうなの?」
「確かにお前の治癒魔法の射程はおかしいし治癒能力も高い
それにこの娘っ子も充分過ぎる程斥候としての能力が有る
いい話だと思うぜ」
デッドが勧める。
「分かった、 じゃあそうしましょう」
「良かった」
にっこりと花子は笑った。