第42話【Trap removal】
匠の技は分かる者には分かる
ダンジョンを登りながらロダンは口を開く。
「そういえばさっきも言いましたが僕はここに来る時に罠に引っかかって来たんですよ」
「それが?」
「だから罠はもう残っていないんじゃないんですか?」
「・・・君、 このダンジョンの事を知らないの?」
「知らないですね」
「・・・ここは通称【機械蜘蛛の巣】って言われているダンジョンなんだけど・・・
本当に知らないの? 結構有名なダンジョンらしいけど」
「いや、 知らない」
「・・・まぁ、 ここは言うならば自動で動く機械が徘徊するダンジョンなのよ
罠に引っかかったり罠を解除したりしても機械が自動で罠を再配置する
だから罠は補充されているのよ」
上の階層に着くロダンと花子。
「ほら」
「あ、 本当だ」
さっきロダンが通った時に無かったワイヤー等が張り巡らされている。
「待ってて、 直ぐに解除するから」
「大丈夫ですか?」
「病み上がりだけど、 この程度ならば簡単に解除出来る
ここの罠は数は多いし補充されるけど、 単純な物が多いし
まぁ安心してよ」
「よろしくお願いします」
花子は正に手慣れた様子で罠を解除していった。
「ほう、 見事な腕前じゃないか」
デッドが感嘆の声を上げる。
「そうだね」
「ん? 如何かしたの?」
「良い腕前ですねって」
「ありがとう」
テキパキと罠を解除していく花子。
「良い腕前じゃないか集中しながらも警戒を怠らない
あの歳で熟練した盗賊だな」
「そうなの?」
「あの年頃でそういう配慮は出来んもんだ」
「そうなんだ」
「あの、 さっきから一人で何ブツブツ言っているの?」
花子が振り返ってロダンを見る?
「デッドと話してるんだけど?」
「・・・・・うん、 とりあえずこっちに集中するわ
デッドとか言う人にも黙っている様に伝えて置いて」
「うぇーいwwwうぇーいwwwおしうぇーいwww」
「デッド、 急にはしゃがないで、 花子も困るから」
「・・・・・」
黙々と作業を続ける花子。
「あ、 そうだ、 近くに居た方が良いよね?
離れすぎて置いて行かれたら困るし」
「そうね、 罠の解除に失敗したら君も巻き添え喰うけどそれで良いなら」
「分かった」
ロダンは花子のそばに近付いた。
「普通は距離を取らない? 罠の解除に失敗したら巻き添え喰うよ?」
「回復魔法をかけるから大丈夫」